表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆襲聖女~婚約解消?わかりました。とりあえず土下座していただきますね♡~  作者: てんてんどんどん@★見捨てておいて コミカライズ開始★


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/69

51話 ひっくり返る真実

 ――すごい。


 リネアは息をのんだ。


 もし自分が罪をなすりつけられていたら、リネアは否定しただろう。

 それなのに、レティアは違った。


 罪を否定せず、逆に利用したのだ。


 そしてやってもいない認め、死んだ貴族を逃げた罪人ではなく英雄として祭り上げることでセドムの民衆の心をつかみ、観衆の感情ごと味方につけた。


 しかも――

 帝国の騎士団に罪を押し返す形で。


「自らの罪を隠すためだろう! そんな綺麗事で逃げられるものか!」


 騎士団長が怒鳴りあげる。

 だがレティアは一切怯まず、きっぱりと言い返した。


「私たちは逃げていません。

 むしろあなた方こそ、セドムの誇り高き貴族たちの 勇気と尊厳 を踏みにじろうとしている」


 レティアが観衆へ向けて声を張る。


「なぜ彼らの誇りを奪うのですか?

 なぜ“英雄としての死”を、あなた方は“無駄死に”に貶めようとするのですか!!

 そこに答えがあるではありませんか!」


 その瞬間――


「そうだ!!」


「帝都の連中はいつもそうだ!

 税だけ奪って、嫌なことは全部押し付けるんだ!!」


 怒りの声が観衆から湧き上がる。


 レティアが視線をアレスへ送ると、アレスもすっと前に出た。


「帝国の騎士団が、セドムの民を“囮として利用した”証人もいます」


「な……何だと?」


 グランゼ伯爵がアレスを見る。


「黙れ!! もういい!! 裁判は終わりだ!!」


 アンヘルが立ち上がり叫んだ。


 ――が。


 それこそが最悪手だった。


 観衆の憤りに火に油を注ぐ形になった。


「続けろ!!」


「説明しろ!!」


「真実を話せ!!」


 闘技場中に怒号と怒声が鳴り響くのだった。


(な、なにこれ……!?)


 皇妃はハンカチで顔を隠しながら震えた。


 本来の筋書きはこうだ──


 - 「ウィル達が貴族を殺した」と断罪

 - 感情的な群衆裁判でウィル達を公開処刑

 - アンヘルの失態を闇に葬る


 完璧なはずだった。


(なのに……どうしてこっちが追い詰められているの!)


 観衆は怒りに震え、セドムの貴族ですら皇妃達に詰め寄り始めた。


「説明を!」

「何故隠していた!?」


 焦る皇妃を横目に、騎士団長は歯噛みする。


(まずい……! 勢いが完全にあちら側だ……!)




「わかった」


 怒声と怒号が鳴り響くなか、静かな声が闘技場全体を染めた。


 皇帝が立ち上がったのだ。


 痩せた身体、病弱な印象。

 だがその瞳には鋭い光が宿っていた。


「今回の件は、帝都に持ち帰り――

 この私が責任を持って調べる。」


 場内が静まり返る。


 皇帝は、皇妃の方も見ずに宣言した。


「ウィル、リネア。

 双方を帝都にて審問する。

 これは、皇命である」


 皇妃の顔が凍りつく。


 アンヘルは唇を噛みしめた。


 そしてリネアは思った。


(……レティアさんは “この瞬間” を作るために、すべて仕組んでいたんだ)……と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■□■宣伝■□■
★書籍化&漫画化作品★
◆クリックで関連ページへ飛べます◆

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ