表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆襲聖女~婚約解消?わかりました。とりあえず土下座していただきますね♡~  作者: てんてんどんどん@★見捨てておいて コミカライズ開始★


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/69

48話 まぁいいか。←いいのか(´・ω・`)?

「早く! 早く逃げるんだ!!」


 アンヘルが馬を走らせながら叫ぶ。

 すでにかなり距離は稼いだはずなのに、背後の空は魔龍の放つブレスで断続的に明るく染まり、影が地面に踊る。


 恐怖が、逃げる者たちの背中を押した。


 帝都から来ていた貴族や騎士が必死についていく――。


「ご無事ですか!」


 前方から数十騎の部隊が現れ、馬上の男が声をあげた。

 皇妃ミネルバの側近、騎士団長だった。


「母上の親衛隊!? 来てくれたのか!」


 アンヘルが叫ぶと、騎士団長は馬上で深く頭を下げた。


「ご無事で何よりです。

 皇子と帝都の貴族の方々は、この魔導士たちとお逃げください」


 魔導士たちが次々に魔法陣を展開する。


魔力障害ブラインド・フォース

 この魔法なら龍に感知されません。セドム首都へ向かえば、皇妃と皇帝がいます」


「ありがたい!」「助かった……!」


 安堵の声がもれる。


 魔導士たちがアンヘル達に次々と魔法を施していると、アンヘルの護衛が騎士団長に駆け寄った。


「セドムの貴族どもを、途中で置き去りにしてきました。

 砦が陥落しても、しばらくはそちらで注意を引けるかと」


「よくやった。なんとしてもアンヘル皇子を――」


 騎士団長の言葉を遮るように、


 ―――かっ。


 闇夜を昼のように照らす、激しい閃光が空を裂いた。


***


 何が起きたのか、すぐには理解できなかった。


 セドムの騎士たちが城壁から戦いを見守っていた。

 突然、視界が白に塗り潰され――誰もが思わず目を閉じ、光が収まったとき。


「……竜がいない」


 そして本来竜がいるはずのそこに立っていたのは――光り輝く剣を手にする、青い髪の青年。


 ウィルだった。


 銀の馬鎧バーディングを纏った名馬を操り、ギーブがウィルへ歩み寄る。

 ウィルの手を高々と掲げ、大声で叫んだ。


「我らの勝利だ!!

 龍を打ち取った勇者――第二皇子 ウィルをたたえよ!!」


 わずか数秒の静寂。


「うおおおおおおお!!!!!」


 砦中に歓声が爆発した。


***


「……一体何があった」


 アンヘルたちを先に避難させ、騎士団長は遠視魔法を使う魔導士に尋ねた。


「魔龍を倒したようです。

 砦も無傷――健在です」


 その言葉に、騎士団長の顔色が変わる。


(セドムの貴族を囮にしたことが明るみに出れば……

 アンヘル皇子の評判は地に堕ちる……!)


「まさか魔龍を倒しただと?」

 

 騎士団長がどなると部下がうなずく。


「しかも……倒したのは ウィル皇子 のようで」


(このまま戻れば、アンヘル皇子が見捨てて逃げた事実が……!

 ならば――逆に利用する。ウィルの功績を アンヘルのものにすればいい)


「途中で置き去りにしたセドムの貴族……まだ生きているな?」


「は、そのはずです」


「なら利用する! 行くぞ!」


 騎士団長が馬を走らせる。


「特殊部隊はついてこい! 他は皇子の護衛だ!」


「はっ!」


***


「え? なんで俺が倒したことになってるんだ?」


 砦の歓声を浴びながら、ギーブに腕を引っ張り上げられたウィルが呟く。


「もちろん。あなたが英雄になった方がアンヘルにざまぁ出来る からに決まってるでしょ」


 魔龍の魔晶石を抱えて、レティアが満面の笑み。


「え、そんなの聞いてないんだが? 俺の意思は?」


「聞いたら絶対イヤって言うでしょ?」


 レティアがべーっと舌を出した瞬間、


「すごいです……! ウィル様っ!」


 リネアが頬を赤く染めて駆け寄る。


 ウィルはレティアにツッコミかけて――やめた。


(……まぁ、いいか)


「……それでいいよ」


 小さく呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■□■宣伝■□■
★書籍化&漫画化作品★
◆クリックで関連ページへ飛べます◆

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ