表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第4章 王宮の手触り
99/505

こんにちは、アンダーワールド(3)

「……炎陣えんじんの術……ッ!」

「…………ッ」


 リュウは残像が見えるほどの速さで印を組み、術を発動した。大男を取り囲むようにして炎が噴き上がる。彼はほんのわずか、身動きを止めた。


「もらったぜ! 影千本シャドウレイン……ッ!!」


 シオンが影を操って、少しばかりの隙に狙いをつける。一本の太い影が虫を捕食するハエトリグサのように、グワッっと何本もの細い糸に分裂した。

 大男を串刺しにしようと、鋭い影先で襲いかかる。

 しかし。


「…………ふんぬッ!!」


 大男はその強靭な肉体で炎の壁を突っ切り、凄まじいスピードですべての影を叩き潰した。すべては、その拳一つで、である。


「くっそォ……あの野郎はバケモンかよ!」

「……襲撃された時と同様、全力でかからないと俺たちに未来はない」


 憤慨するシオンに、リュウはそう助言を与えた。

 リュウの言う通り、メラメラと燃える炎を背にして立ちそびえる大男の姿は、さながら百戦錬磨の覇者だ。修行して強くなったリュウたちでさえ、力を出し切っても大男の足元に及ぶかどうかは分からない。

 ともすれば、対策は一つである。


「……炎竜鎧えんりゅうがいの術!!」

瞬雷風しゅんらいふうの術!!」


 二人が術を唱えた瞬間、嵐と雷を伴って炎の身体を持つ双竜が現れた。


 双竜は火花を散らしながら、リュウと一つになるように彼の身体を包み込んでいく。

 雷は轟音を起こしながら嵐に導かれ、シオンの真上に落下した。


 自然なる力を纏った二人が、姿を現す。


 一人は、竜の形をかたどった紅蓮の鎧に身を包み。

 一人は、烈風と電撃を従え、髪を逆立てて。


 二人の戦士が、雄叫びをあげる。



「……よっしゃァ……ッ!!」

「勝負はここからだぜ……ッ!!」



「ちょっと待ったぁ……ッ!!」

「「えぇ!!?」」


 久しくも恰好がつき、心をたぎらせていた男子たちに水が差される。声の主が、二人の肩をバシッと快活に叩いた。


「私だって戦えるんだから! 二人だけで盛り上がらないでよね~!」

「「……うっ」」


 二人の男子が、嫌なところをつかれたとばかりに顔を歪ませる。

 けれど今度は、すぐに口が歪む。


「……あぁ、そうだなナツミ!」

「三人であのバケモノを倒そう!!」

「お~ッ!!」


 三人の気持ちが今ひとつとなり、勝利に向かって走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ