表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/505

聖夜の後のお楽しみ(1)

「わぁ、中身はなんだろうね~!」

「楽しみだねっ!」


 クリスマスにもらったプレゼントを手に、女の子たちがワイワイと騒いでいる。

 その姿を僕たちは、居間の隅から眺めていた。


「ねぇ、リュウ。ナツミちゃんに何をあげたのさ?」


 さっきからずっと気になってたんだよね。

 恋愛に奥手なリュウのプレゼントなんて想像もつかない。


「……べ、別になんでもいいだろうがっ!」


 当の本人はこんな感じだからどうしようもない。ナツミちゃんが開封するまで待つしかないか。

 ウズウズしていると、横からシオンが声をかけてきた。


「そういうウシオは何をプレゼントしたんだ?」

「ぼ、僕? それは開けてみてのお楽しみかな……っ!」


 開ける前にネタバレしちゃったらつまんないもんね。いや決して恥ずかしいとかそういうのじゃないから。リュウとはまったく違うから。


「ちぇ。お前もリュウと一緒かよ」

「こんなヤツと一緒にしないで!」

「……こんなヤツとはなんだコラ」


 リュウが胸ぐらをつかんできたので、僕はギロリとにらみ返してやる。

 コイツには一言モノ申してやらないといけないな。


「君みたいなドウテ――」

「……お前は死にたいようだな……?(ガチャッ)」

「生まれてきてごめんなさい」


 真顔でこめかみに銃口を突きつけられた。

 顔が近すぎて、迫真過ぎる。


「まぁまぁ、リュウ。お前も子供じゃないんだからさ」

「……ちっ、仕方ねえ。今回のところは勘弁してやる」

「ところでお前ってアレだったんだな。ドウテ――」

「……よぉーし二人とも並べ。額に風穴を開けてやる」

「「どうか勘弁してください」」


 瞬間、僕とシオンは床に額をなすりつけた。

 この間、わずか一秒足らず。

 圧倒的、ど☆げ☆ざ。


「……オラオラ。もっとなすりつけろよ」


 ドSモードを発動したリュウが、僕たちの頭を銃口で押し付けてくる。

 木造建築の床は、なぜだか温かみを感じるなぁ……。癒されるぅ…………。

 土下座のなかにある幸せを見つけたとき、女の子たちの声が一段と大きくなった。

 なんだなんだ……?

 不思議に思った僕たちは、女の子たちの近くに寄って、様子をうかがった。


「ナツミちゃんっ! そのネックレスすごく素敵だねっ!」

「え、えへへ~……」

「羨ましいですわ……」


 ナツミちゃんがプレゼントを開けたらしい。

 どうやらリュウのプレゼントはネックレスだったようだ。先端に星がついているネックレスで、光沢のある銀色がこれまた美しい。

 ナツミちゃんはそれを天に掲げて、うっとりとした表情で眺めていた。


「よかったな、リュウ! 大喜びじゃんか!」

「……う、うるせぇ!」

「あれぇ? さっきまでの勢いがなくなってるよリュウお兄ちゃ~ん?」

「……あ?(ガチャッ)」

「すんません気のせいでした」


 まったく……とんだ照れ屋だね。

 そうこうしていると、次にイッちゃんがプレゼントの包装を解き始めた。中から出てきたものを見て、わあっと歓声をあげる。


「これ髪留めだっ! 雪の結晶みたいですごく綺麗……っ!」


 そう。

 結局僕の贈り物は、髪留めにすることにした。

 イッちゃんは髪が長いし、ボリュームもあるからちょうどいいかもと思ってね。雪の結晶にしたのは、窓の外の雪を見て閃いたっていうのもあるけど、紅い髪のイッちゃんに似合うだろうなって。

 正直喜んでもらえるかは、不安だった。

 でも……。


「よかったね、イネ! ちょ~かわいいじゃん、これ!」

「わたくしも欲しいくらいですわ……」

「あたしも付けたいです!」

「ふふっ、ダ~メっ!」


 女の子たちからの評価は上々だ。

 もちろんイッちゃんも嬉しそうだから、ひとまずは成功って感じかな?


「……お前、結構センスあるんだな……今度教えてくれよ」

「なに? またナツミちゃんにでもあげるの?」

「……だ、黙ってろっ!」


 ニヤニヤしながらからかったら、リュウは顔を真っ赤にした。ほんと、どんだけ恋愛が苦手なんだよ。

 やれやれと肩をすくめていると、シオンの息をつくのが聞こえた。


「……ふぅ。助かったぜ」

「助かったって、何が?」

「お前とプレゼントが被らなかったってことだよ」


 そう言って、ハナちゃんが手にしている二つの小包に視線を送った。

 そういえば、シオンのプレゼントって何なんだろう? 考えているのも束の間、最後にハナちゃんが動いた。


「さて。最後はわたくしの番ですわね」

「何が入っているのかなっ?」

「楽しみだね~」

「です!」


 ウキウキしている女の子の傍らで、僕たちも様子をうかがう。


「では、開けますわ……」

「「「ごくり……」」」


 その場の全員が生唾を飲み込んだ。

 一つ目の小包から出てきたのは…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ