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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第1章 成長の先に見えるもの
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飛び出せ、新生活(3)

「「「(ジリィィィィーー)」」」


 僕とシオンは今、憎き因縁のライバル、リュウとにらみ合っている。

 ハナちゃんが建ててくれた豪邸の新しいお風呂に突入して、絶賛入浴中の女の子たちの姿を覗こうとしているのだが、行く手に立ちふさがるようにリュウが立ちはだかる。


「……さぁ、こいよ! このマヌケがァ……ッ!」

「くッ!」


 僕たちを煽るようにリュウが立ち振る舞うが、僕たちは思うように動けない。


「リュウのやつ、ここで暴れられないのをいいことにっ!」

「ハナがせっかく作ってくれたばかりだからな……壊すような真似はできないぜ」


 うむぅ……と眉間にしわを寄せ、苦戦する。どうすればヤツを突破して、桃源郷へのキップを手にすることができるのだろうか……?

 いや、突破するだけじゃダメだ。コイツを再起不能リタイアさせなきゃ、ゆっくりとNO・ZO・KUことができない!


「いったい……僕は……」

「……ほらほら。そうこうしているうちにアイツらが風呂からあがっちまうぞ?」

「……ぬうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


 まずい! 非常にまずいよ!

 リュウのやつを戦闘的に動けなくするのは、まず不可能だ。僕との実力は、悔しいけど、ほとんど等しい。

 だから……、ヤツの弱点を狙うしかないんだけど。


「……はっ!?」

「なにか思いついたのか、ウシオ!?」


 僕と同じように頭を悩ませていたシオンが尋ねてくる。

 そうか、その手があった!

 リュウは極度のピュアだ。ナツミちゃんのバスタオル姿を一目見ただけで自我を失い発狂してしまうほどのピュアなんだ。

 だったら、そこを利用してやる!

 そのためにはまず…………。


「お前の下半身を、ぺろりんちょしてやる」

「「――――――――――」」」


 なぜだろう。

 空気が凍ったんすけど。

 仲間であるはずのシオンでさえ、顔を引きつらせて僕から距離をとっている。

 な、なにかまずいこと言ったかな……?

 …………。


 ――お前の下半身を、ぺろりんちょしてやる。


 …………手遅れか。

 とんでもない自らの過ちを訂正するように、僕は手をおおきく振りながら声を張り上げた。


「ち、違うよ二人とも! 僕が言いたかったのはリュウの下半身をペロリと舐めるとかそういうことじゃないんだ! ただ、リュウの息子さんを降臨させてやると言っただけで!」

「……結局、どっちもどっちだろ!!」


 血の気が引いた真っ青の顔をしたまま、リュウが叫ぶ。

 ダメだ、大いなる誤解が発生しておる。


「な、なぁシオン! お前ならわかってくれるよね!?」

「……フルフル(ガタガタ)」


 生まれたての小鹿のように小刻みに震えながら、首をふりやがった。


「オ、オレは貴様のようなぶっ壊れ野郎とは手を組まない! 一人で桃源郷へ到達してやる!!」

「こ、この裏切り者めェェェェェェェェェェェ!!」


 くっそ……ッ!

 こうなったら、信じられるのは己自身だけだ。


「お前らなんか、素っ裸にしてやるからなッ!!」

「……テメェだけは、地獄に送ってやるぜ!」

「さぁ、かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」


 トライアングルの配置でお互いの出方をうかがう僕たち。

 さて、僕の作戦はこうだ。一番の優先事項は、もちろん桃源郷へと到達すること。

 つまり、リュウから先に片付けることになる。シオンはあとから説得できるかもしれないからね。

 リュウの倒し方について、どうして下半身をあらわにさせるのかというと……。

 まぁそれは、お楽しみにしておいてほしい。

 ともかく僕は、ヤツのウインナーを拝まなくてはならない。

 大技を繰り出さずにポロリ☆させる方法。

 それは――――――小刻みにできる忍術で、相手の衣服をビリビリにやぶることだ!


 シュババババババッ!


「助平忍術その参! ~いやん、ビリビリにやぶけちゃうぅぅぅぅぅ(はーと)~の術ッ!!」

「……な、なにィィィィィィィィ!?」


 突き出した手のひらから、まるでナイフのような小雨が噴き出す。それはリュウの服をこれでもかというほど、ビリビリに引き裂いた。

 今の攻撃だけで、リュウの肌をけっこう露出させることに成功した。


「……ちっ。服がビリビリで、今にもはじけそうだ……ッ!!」

「ウ、ウシオのやつ…………本気で掘る気か……?(ガクブル)」


 掘るいうな。

 それはさておき、もう一撃でリュウのエクスカリバーが出現する。

 ここまでくれば、あとは楽勝。

 この勝負、もらったっ!


 シュババババババッ!


「助平忍術その弐! ~きゃっ、このドロっとした液体のせいで服が溶けちゃうぅぅぅぅ(はーと)の術ッッ!!」


 ドピュっ。


 拳銃の形をつくった僕の指先から、白くてドロドロした液体が勢いよく飛び出す。これはその名の通り、相手の衣服だけを溶かすというなんとも優れた忍術だ!

 顔からぶっかかれば、一発の代物だぜ!


「死ねい、リュウゥゥゥゥゥ!!」

「……や、やべェ!?」


 圧倒的攻撃を目の前にし、絶体絶命のリュウだった。


 ――しかし。


「……フッ。なんてな」

「なッ!!?」


 全身白濁液まみれ+全裸という最低最悪の状況になるという危機にも関わらず、リュウは不敵な笑みを浮かべた。ど、どこからそんな余裕が……ッ!!

 リュウは自身の手で、僕と同じように銃の形をつくりだし、


「……助平忍術その弐! ~きゃっ、このドロっとした液体のせいで服が溶けちゃうぅぅぅぅ(はーと)の術ッッ!!」

「ダニィィィィィィィィッッ!?」


 ドピュっドピュっ、ドピュ……っっ!!


 リュウの能力、他の技をまるパクリできるというチートを使って僕の術を発動した。っていうか、僕の術より量が多くない!? こいつ、修行でまた力をつけやがったな……!

 なんて考えてる場合じゃなかった。

 リュウがドピュドピュ発射した白濁液は、僕の出したモノを飲み込むように融合し、その勢いのまま飛んでくる。

 やばいっ!

 ぶっかけられるッ!!?


 ピチャピチャッ


「あぁぁぁぁぁぁぁんんんんッ!!! あついのきたのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!!」

「「…………」」


 …………。


 あまりの反応に、リュウとシオンが絶句する。

 全米がひいた。僕もひいた。

 服が溶けたほぼ全裸の状態で、ガクガクと笑うひざをひっぱたきながら、僕は立ち上がる。


「……出すときは出すって、言ってよね」


 上目づかいで言ってやったわ。


「……死ねこの変態ッッッ!!!」


 案の定、ぶち切れたリュウが僕の息の根を止めようと襲い来る。


「はんっ! いい気にならないこと(とぅるんっ)だねェェェっ!?」


 ドスンッ。


 しまった!

 足元に転がっていたせっけんを踏んづけて滑っちゃった!


「……チェックメイトだぜ、ウシオ」

「くっ……!」


 仰向けになって倒れている僕を見下ろす形で、リュウはこちらに銃口(指ですけどね)をむける。


「……さぁ、観念して普通に風呂に入ることだな」


 ……あれ?

 僕をなだめるように口を動かすリュウだったが、その立ち姿を見て、ある秘策を閃いてしまった。

 ……この方法ならいけるんじゃね?

 目をつむって説教モードに入ったリュウの隙をつくように僕は動く。


「ここだぁぁぁぁッ!!」


 ズルッ!

 パオーン。


「……HA?」


 思いついた秘策。

 それは単なるズボン下ろし。

 ゾウさんを出現させるには服をやぶらなきゃなんて固定観念があったけど、意外にもこうすればよかったんだ。


「「………………」」


 とはいえ、目の前に現れたゾウさんがパオーンしているのを見るのは相当な苦行だった。


「……UUUUUURRRRRRRRRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」


 正気の沙汰を失ったリュウがJOJOの奇妙な奇声をあげる。

 だけど、これで終わらないぜ!

 ダメ押しとして、最後のアタックをしかける。


 シュババババババッ!


変化へんげの術!!」


 ボフンっ


 けむたい音と共に煙が発生し、僕の姿が一瞬隠れる。

 そうして出てきたのは、


「いやんっ、リュウ! こっち見ないで、えっち!(特大はーと)」


 リュウのとびっきりの弱点である、ナツミちゃんの全裸姿だった。

 もちろん、大事なところは煙で修正されているよ(安心だね)


「……ッ!!(ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!)」


 バタンッ


 こうして、RYUは再起不能リタイアになった。

 第三部、完ッッッ!!


「おいおいおい、オレを忘れてもらっちゃあ困るぜ」

「…………」


 背中に声をかけられゆっくり振り向くと、シオンが大股を開いてJOJOの奇妙な体勢をとっていた。

 ……そういや、コイツもいましたね。

 シオンは自信満々の表情で、


「さぁ、ウシオ! 果たして、この完璧な体勢のオレのズボンを下ろすことができるかな!? 名付けて、パーフェクトハーモニィィィィーッ!!」

「…………」


 ポップコーンがはじけるようなテンションのシオンに対し、僕は仏のような目つきで歩み寄る。


 スタスタスタ

 ピタッ


「こいよ! オレの完璧なパーフェクトハーモニーを打ち破るこ――――(メリィィィィィィィィィッ!!!!)」


 僕の足の甲が、シオンの股間にメリ込んだ。


 ――悲報。息子終了のお知らせ。


「パーフェクトもハーモニーもないんだよ」

「オレのムスコが、息シテナイ……」


 バタリっ


 こうして、BAKAは再勃……再起不能リタイアとなった。

 邪魔者はいなくなった。


「待ってろ、僕の桃源郷! 今度こそ、たどり着いてみせるから」


 グッと固く拳をにぎりしめ、凛とした表情で決意を新たにする。

 ガラッと浴場の扉を開くと、中の湯けむりがもわもわと僕の顔面を覆ってきた。銭湯や温泉に特有の、妙に落ち着いてしまういい匂いが鼻孔をくすぐる。

 正直、覗きとかどうでもよくなってしまう。

 普通にゆっくりしたい……。

 けれど僕は、亡き戦友たち(死因――鼻血または息子終了)の想いを胸に、立ち向かう。


「高いなぁ……」


 楽園を隔たる大きな壁を見上げて、ポツリとつぶやいた。

 今までは露天風呂だったから壁も小規模だったけど、ここは室内だ。どちらかといえば、銭湯と表現したほうが適切なのかもしれない。


「……行こう!」


 外であろうが内であろうが、関係ない。

 僕は、成し遂げなくちゃいけないんだ……ッ!


 キリッと顔を引き締め、一歩前へ進みだした。


 ――その時。


 ドガアアアアアアアアンンンッッッ!!!!


「――――――」


 ……………え? え?

 なんか突然、女湯と男湯を分ける壁がぶっ壊れたんですけど…………。ぽっかり穴のできた壁の付近では土煙があがり、パラパラと壁の破片がこぼれ落ちている。


 スッ


 煙の影から、複数人の何者かが姿を現した。


「あらっ。奇遇ですね、コーさま(にこっ)」

「…………ヤ、ヤア。本当に奇遇ダネ?」


 それらの正体は、女湯に入っているハナちゃんたちだった。

 朗報。男湯にバスタオル姿の女の子たちが入ってきた。



 ――――壁をぶっ壊して。



 *



 その頃、鼻血を流している囚人は。


「……うぅ……そんな汚らしいものをぶっかけるなぁぁぁ…………アーッ……」


 ひどすぎる悪夢にうなされていた。

 一方、黄金の玉を玉座に戻そうとしている王様は。


「……先生この子、息してません! よし、人工呼吸だ!」


 精……もとい生死の境をさまよっていた。


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