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ライス・ライフ〜女の子に食べられた僕は獣に目覚めました〜  作者: 空超未来一
第2部【白い王宮編】 - 第11章 裏口での決着
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飛翔しゆく鷹(4)

「……『奪盗スナッチ』が使えなくとも、俺は人の能力を真似できるんだよ」


 十数メートル先の大木にたたきつけてやったイーグルにそう言い聞かせてやる。

奪盗スナッチ』は相手の能力をコピーする上に、威力を高めることが出来る。しかしその分、エネルギーを消費してしまうのだ。

 精神エネルギーが残り少ない今、リュウに残された選択肢は一つしかない。それこそ、『囚人』であった頃の初期能力、相手の能力を真似ることだ。

 もちろんオリジナルの能力よりは劣るが、応用が利く。


「……お前のその目」


 蒼い瞳をしたイーグルがリュウのことを睨みつける。

 彼と同じ色をしたリュウの瞳を、だ。


「……これか? これはお前の瞳だよ」

「僕の能力を『コピー』したってことか……」

「……まぁな」


 大木に体重を預けているイーグルに一歩また一歩と近づいていく。まるでシカの子供をみつけたトラのように。逃がさないぞとばかりに、慎重に歩み寄る。


 ザッ、ザッ、ザッ、


 砂利を踏みにじる音だけが空間を支配する。

 二人の聴覚に、周りの音は聞こえなかった。

 緊張の糸が張る。触れれば弾かれてしまいそうな張りつめた世界。


 ザッ、ザッ、ザッ、


 ――――攻撃圏内に入った。


 イーグルを見下ろすリュウが冷淡な声で宣告する。


「……チェックメイトだ」


 炎竜鎧えんりゅうがいの炎から一つの炎剣が生成される。

 切っ先をイーグルの喉仏に当てた。焦げた肉の匂いが微かに鼻につく。


「……じゃあな、イーグル……ッ!!」


『仲間』という意識に後ろ髪が引かれるが、振り返っている余裕はない。

 前を見据えなければ、未来へは進めないから。

 腕を引き、一思いに突き刺そうと試みる。

 せめて、楽に殺してやりたい。


「――――」


 イーグルが静かに目を閉じた。

 だが、一度上がった幕が簡単に閉じることは無かった。


「させるかよォオオオオオッ!!」


 闘牛のごとく唐突にリュウの横から何者かが突進してきたのだ。構えていなかったリュウはあっけなく吹き飛ばされてしまう。


「……ぐっ!?」


 すぐさま体勢を整え直したリュウはその人物を目にした。

 ユウと共に『堕天使』の獣人と化したルンと戦っているはずの、ライオネルだった。


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