第23話 聖女の夜
―― 聖樹王暦2000年 2月 1日 22時 ――
聖女マリア。
人々は私をそう呼びます。
15歳で政略結婚。
しかし夫は聖樹王の大穴から侵入してきた悪魔と戦い帰らぬ人に。
夫婦として1度も一緒に過ごすことなく、私は未亡人となりました。
18歳で魔法士団に入団。
それから12年間、魔法士として第一線で常に戦う日々。
女であることを捨てた私にとって、戦うことが唯一の生きる意味。
そう思っていた時でした。
ルシラ様と出会ったのは。
奇跡の力を使えるガブリエルちゃんがある日、私に手紙を渡してくれました。
ガブリエルちゃんからの手紙なんて嬉しいわ♪ と思ったら、ガブリエルちゃんの親友から私に渡して欲しいと頼まれた手紙だとか。
手紙には聖樹の祝福のことが書かれていました。
ガブリエルちゃんは、自分は何も言えないから会って確かめて欲しいとだけ言って、部屋に戻ってしまいました。
聖樹の祝福。
それを失いすでに1000年の時が流れているのに、今でも人々に語り継がれる神秘の力。
ガブリエルちゃんの奇跡の力を見た時、この子は聖樹の祝福を受けた子なのでは? と思い客人として招いたのです。
ガブリエルちゃんは聖樹の祝福のことは知りませんでした。
違う……ガブリエルちゃんの奇跡の力に偽りはありませんでしたが、私はちょっとだけ残念に思ってしまったのです。
そこにこの手紙。
運命を感じました。きっと何かあると。
次の日、私は王城10階でルシラ様と出会います。
ガブリエルちゃんからルシラ様の姿を聞いていたのですぐに分かりました。
木の間でルシラ様、そしてミカさんと話しました。
そこでルシラ様は伝説の金剛石、そして見たこともない大きな最高純度神石をお出しになりました。
大きな最高純度神石の中には聖純度神石まであると。
私は本当に頭の中が真っ白になってしまいました。
このお方はいったい何者なのかと。
その時、ルシラ様が仰った言葉。
「それは、僕が聖樹の祝福を授ける者だからです」
神。
このお方は神だと思いました。
聖樹王の大穴の脅威は日に日に増しています。
ティア様は賢老会に問題ないと伝えていますが、実際には大きな被害が出ています。
ルシラ様はそんな私達を救ってくださる神。
すぐにでもティア様とお会いさせたかったのですが、ティア様は賢老会との話し合いでその日は無理でした。
私はすぐにルシラ様達を自分の屋敷に招きました。
そして今となってはルシラ様専用の館となった別館にすぐに向かいます。
ルシラ様も男性です。
きっと私の身体を見て楽しんで下さると思い、胸元が大胆に開いて深いスリットの入った黒のロングドレスを着ていきました。
思った通り、ルシラ様の視線は私の胸に釘付けです。
ルシラ様の熱い視線が、忘れていた女の情熱に火をつけてしまいそうでした。
私はルシラ様に聖樹の祝福を与えて欲しいと願い出ました。
この木の棒を両手で持ちルシラ様に祈りを捧げたのです。
私の身体の中で何か大きな力が動いたのが分かりました。
それが何か分からないまま、私はルシラ様に抱きついてしまいました。
それは真なる光魔法でした。私は真なる光魔法を使えるようになったのです。
ルシラ様は真なる魔法のことをご存知でなかったので、私は身体を密着させながら説明しました。
次の日、ティア様とルシラ様達の会談。
そこでティア様の予想もしない一言。
「私の直属の部下になって欲しい」
正直私は怒りました。
神であるルシラ様を部下だなんて! なんて失礼な!
でもすぐに冷静になりました。
ルシラ様がティア様の直属の部下になれば、ずっと一緒にいられる?
ルシラ様もティア様の直属の部下になることを了承されました。
チャンス!
私はすぐにルシラ様達を自分の屋敷に住まわせたいと願い出ました。
ティア様も快く承諾してくれたことで、ルシラ様達は私の屋敷に住むことになったのです。
私はすぐに男性客人用別館を、ルシラ様専用の館にしました。
私の屋敷に住むことになったルシラ様は、私にさらに聖樹の祝福を与えて下さったのです。
私は全ての魔法を真なる魔法へと祝福を頂きました。
さらには、特別な加護のような祝福まで。
聖樹の祝福を与えるには、ルシラ様の魂の力を消費するはず。
私のためにこんなにも魂の力を……。
私はルシラ様に身も心も捧げること誓いました。
それからは幸せな日を過ごしました。
ルシラ様との魔法特訓の日々。
ああ……思い出しただけで身体が震えるほど幸せです。
ルシラ様はゴブリンを使役されていました。
エルフは精霊を召喚して力を借りて戦うと聞きます。
神であるルシラ様は召喚を使えて当然なのでしょう。
さらに使役されているゴブリンは、あの伝説のゴブリンの息子さんだとか。
ゴブルンという名のゴブリンと共にルシラ様と楽しく特訓をして過ごしたのです。
ナール様が武器を作り終えたと連絡があり、みなでナール様の工房にいきました。
私の杖には聖純度神石が使われていました。
ティア様が国で保管してある貴重な聖純度神石を使うように指示していたのです。
ああ……私はこの感謝の気持ちをなんてティア様にお伝えすればいいのか分かりませんでした。
そして今日の穴での出来事。
あの圧倒的な魔力の少女。
悪魔ではありません。
最後にルシラ様のゴブルンに叫んでいた名前。
ニニ
このことを明日、ティア様に報告しなければいけない自分の心をどう整理したらいいのでしょうか。
1000年前、聖樹様に仕えたとされるのは1匹のゴブリンと3人の女性。
ゴブリンとはゴブルンのお父様でしょう。
そして3人の女性。
一説には3人とも女神であったと……ディースであると伝えられています。
3人のディースの詳細はほとんどが謎です。
ですがその中でたった1人だけ、名が伝わっているディースがいます。
氷の魔女ニニ
あの少女が伝説の氷の魔女ニニ様なのでしょうか。
少女は叫んでいました。
「聖樹様を傷つける悪魔!」と。
私達が聖樹様を傷つけた?
なぜ?
私達は悪魔と戦っているだけなのに。
今は考えるのはやめましょう。
どれだけ考えても分からないのですから。
今はルシラ様の木の棒を清めて差し上げるの先です。
脱衣所でメイド服を脱ぎます。
ルシラ様に淫らな女だと思われたくないので、清純な印象を与えながらも男性の心を掴みそうなメイド服をチョイスしました。
ルシラ様が目覚めた時に着て見て頂きたいのですが……実際には恥ずかしくてできません。
さっきはルシラ様が眠っていたのでメイド服で行けましたが。
もしルシラ様がいきなり目覚められたら……なんて考えるとドキドキしてしまいます。
スリルを楽しんでしまっているのでしょうか……ああ、なんて淫らな!
メイド服の下には、私が持っているランジェリーの中でもお気に入りの白の可愛いランジェリーです。
ああ……ルシラ様にこのランジェリー姿を見て頂きたい。
私にあの熱い視線を注いで欲しい!
でも私は今年でもう30歳。
ルシラ様はこんな年上の女性なんて興味ないかもしれません。
ルシラ様とミカさんは良い仲に見えます。
私から見てもお似合いです。
でもいいんです。
私はルシラ様の側にお仕えすることだけ許して頂ければ。
たとえルシラ様とミカさんが結婚されても、私のルシラ様に対する愛情は変わりません。
むしろそこからいけない恋愛に発展してしまう、背徳的な展開に萌えそうです。
白のランジェリーを脱いで一糸纏わぬ姿へ。
鏡の前で自分の身体を見ます。
30歳にはなりましたが、ずっと魔法士として鍛えてきたのです。
正直、スタイルには自信あります。
ティア様にだって負けていないと思っています。
ルシラ様はどんな身体の女性がお好きなのでしょうか。
ミカさんも私と同じように胸は大きいです。
胸の大きい女性が好きなら、きっと私の身体も好まれるはず!
ルシラ様の木の棒を持ってお風呂に入ります。
「星の湯」と名付けた自慢のお風呂です。
ティア様の「聖なる湯」にも負けないお風呂です。
ルシラ様の木の棒にそっとお湯をかけます。
木の棒を洗うのに石鹸を使うのはおかしいですよね。
お湯で濡らしたタオルで優しく拭いてあげます。
上から下へ……下から上へ。
ああ……ルシラ様の血と汗が染みこんだ木の棒。
洗い流すのがもったいないぐらいです。
はっ!
私の匂いをこの木の棒に染み込ませたら……ルシラ様はいつでも私の匂いを嗅ぐことに。
私はタオルを横に置くと、自らの手で木の棒を擦っていきます。
上から下へ……下から上へ。
私の匂いが染み込むように……ゆっくりと丁寧に擦っていきます。
その時です。
木の棒から突然力が溢れてきたのです。
「え?」
信じられません。
この木の棒は、持つ者の闘気魔力を回復してくれる素晴らしい効果を持った木の棒です。
ですがいま感じている力は闘気魔力とは違います。
これは……ルシラ様が聖樹の祝福を与えてくださる時に感じる力と似ています。
何が起こっているのでしょう。
私は木の棒を手でさらに擦ってみました。
私が擦れば擦るだけ、木の棒から力が溢れてきます。
今にも木の棒から力が溢れて外に出てきそうです。
私はさらに激しく木の棒を擦ってみました。
「で、でてくる?」
木の棒から力が溢れ、やがてそれは放出されました。
「え?! ああ、あああぁん♡」
木の棒から放出された力は私の身体を覆いました。
その瞬間、私の身体は快楽を感じてしまったのです。
あ、あんな淫らな声を出してしまうなんて……。
この力はいったい……。
私は確かめるためにもう1度、木の棒を擦りました。
再び力が溢れはじめる木の棒。
ああ……でちゃう、でちゃうわ。
さっきの力がまたでちゃう。
そう思っても私の手が止まることはありませんでした。
そして……
「はぅぅん♡ あぁぁん♡」
2回目の快楽。
それはさっきよりも強くなっていました。
「はぁはぁ……はぁはぁ……」
私は木の棒を持って湯に入りました。
湯の中で木の棒を見つめます。
ルシラ様の木の棒……ルシラ様の木の棒から得られる快楽。
私のいけない考えは止まりませんでした。
だって! 身も心も捧げると誓った神が持つ木の棒が私に快楽をお与えになるのですよ!
どうして我慢することができましょうか!
名ばかりの政略結婚。
そして女を知ることなく未亡人となり、戦いの日々。
自分で自分を慰める毎日。
…………きっとルシラ様の木の棒は、私の奥底にある心を感じてくれたんだと思います。
ルシラ様にはミカさんがいる。
でも私にはこの木の棒がある!
「はぁはぁ……ルシラ様は神。神が持つこの聖なる木の棒……聖樹様」
そうだわ。私にとってこの木の棒は聖樹様なんだわ。
私は湯の中で、自らの胸で聖樹様を挟みました。
長さは50センチほど聖樹様です。
私の胸の中に埋まると、先端だけ可愛く顔を出します。
私は両手で胸を揉み、聖樹様を清めていきます。
ああ……聖樹様の硬さが素敵です。
私の胸を……まるで責めてくるようです。
聖樹様から再び御力が溢れてきます。
そして3回目の放出。
「はぅぅぅぅぅぅ! んん♡ んん♡ んん♡」
意識が飛びそうになりました。
すごいです。
聖樹様すごいです。
私はもう自分の理性を気にすることをやめました。
「聖樹様♡ 聖樹様♡」
胸に挟まれて可愛く顔を出す、聖樹様の先端。
その先端を口で咥えると、舌で綺麗に清めたのです。
「んん♡ んん♡ ちゅちゅ♡」
すぐに4回目の放出がきました。
私は止まりません。
5回、6回、7回、8回、9回、10回。
あまりに長い湯でメイドが心配になって様子を見にくるまで、私はお湯の中で聖樹様から快楽を頂いていました。
星の湯から上がり聖樹様をタオルで丁寧に拭きます。
私もネグリジェに着替え、冷たい水で喉を潤します。
ネグリジェも清純の白です。
でもデザインはちょっとセクシーです。
「今日はもう休むわね」
メイド達にそう伝えると寝室に入ります。
ルシラ様達が私の屋敷に住むようになってから、メイド達に伝えたことがあります。
私が眠っている間、寝室に入ることのないように。
朝も自分で起きるので、誰も入ってくることのないように。
なぜこんなことを伝えたのか。
もちろん部屋は鍵を閉めてあるのですが、念には念をです。
メイド長は私の寝室の合鍵を持っていますしね。
私の寝室には隠し扉があります。
私の魔力にしか反応しません。
隠し扉の先にある私の秘密の部屋。
もともとは私が1人で研究をするために作った部屋でした。
でも今は違います。
部屋の壁一面に張られたルシラ様の写真。
そう写真です。
ティア様がバル王国の「機械」の中で「カメラ」と言われる機械の研究をされていることは知っていました。
なんでも人や物の姿を絵のように映し出し保存できる技術とか。
そして映し出されて保存されたものを「写真」と呼ぶそうです。
あまり優先度の高い研究ではないため、私も最初にそれを聞いた時には便利な機械だなぐらいの認識でした。
でもルシラ様と出会った時から、私はカメラが欲しくて仕方なくなりました。
ルシラ様の御姿をいつでも見たい!
ルシラ様にいつも見られていたい!
私は機械研究部門の部門長からカメラに関する資料を読ませてもらいました。
優先度の高くない研究です。
機密性の高いものでもないですし、なにより私は第1魔法士団団長であり、女王ティア様の幼馴染の側近です。
部門長は快く、資料を全て公開してくれました。
私は闘気魔力全開で、1時間で全ての資料を読み、30分で全ての理を理解しました。
そして私は創りだしたのです。
私だけのカメラを!
これが、ティア様が研究されているカメラと同じなのか分かりません。
ですが私には十分です。
私にとってのカメラとはルシラ様の姿を映し出すものだからです。
真なる光魔法、真なる水魔法、真なる氷魔法、真なる土魔法。
魔法の4種混合。
魔法士団の中でも上位でなければ、そもそも混合魔法は使えません。
3種混合ともなれば最上位。
4種混合ができるのは、私と愛弟子シャルムぐらいでしょう。
理を理解したとしても、すぐにカメラは完成しませんでした。
血反吐が出るまで特訓しました。
私はたった1日でカメラを手に入れたのです!
私は歓喜しました! これでルシラ様の御姿を映せると!
光と水と氷を使い、薄い土の上にその姿を映しだします。
そうしてできた写真を、私はこの隠し部屋の壁一面に張ったのです。
ああ……なんて素敵なルシラ様の御姿。
ルシラ様に囲まれて過ごせるこの部屋にいるだけで私は幸せです。
隠し部屋にも寝室があります。
最近はずっとこっちで寝ています。
隠し部屋の掃除は、全て自分でしています。
これぐらいはできて当然です。
なぜなら私はルシラ様専属メイドなのですから。
将来、ルシラ様とミカさんが熱い夜を過ごしたベッドの掃除だってできます。
むしろそのベッドの匂いを嗅ぎたいです。
聖樹様を持ってベッドの中に入ります。
ベッドには抱き枕。
お気に入りの抱き枕です。
ルシラ様等身大抱き枕
これを作るのも苦労しました。
妥協なき作成により、本当にルシラ様がいらっしゃるような気持になれる抱き枕となったのです。
はっ!
そうだ……この抱き枕の手に聖樹様を握らせると。
はぅぅぅぅぅ!
ルシラ様です! 聖樹様を持つ凛々しいルシラ様です!
くぅぅぅぅ! これは堪りません!
ルシラ様が目覚めても、聖樹様を夜貸してもらえれば……。
私はいつものように抱き枕のルシラ様に抱かれる姿勢で寝ます。
でも今夜はルシラ様だけではなく、聖樹様も一緒です♡
聖樹様は私のネグリジェの中へ。
胸に挟んで寝ることにしました♡
ああ……ルシラ様がお目覚めになられないというのに、私はなんて淫らなことばかり……。
でもルシラ様はきっとお目覚めになる。
神なのですから。
明日の朝早く、聖樹様をルシラ様にお返ししておかないと。
おやすみなさいルシラ様♡ 聖樹様♡
次の日の早朝、マリアは誰にも見られることなく木の棒をルシラの部屋に戻す。
自分の匂いがついた木の棒をルシラに持って欲しいと思い、ルシラの手に握らせながら。




