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ラグナロク  作者: 木の棒
第2章 陰謀的な!
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第12話 秘密の話

―― 神界 ――


 神界。

 神が住む世界。


 その中でも最高神が住む宮殿がある。

 その宮殿に1人の神がやってきた。


 名はクロノス。


 秘密の部屋にてゼウスと向かい合っている。


「上手くラグナロクに主要な天使悪魔が入ってくれたな」


「はい。こちらの計画に気付かれず上手くいきました」


「2000年の時間加速でどのような影響がでるか心配だったが、杞憂に終わったの」


 時間加速。

 ユグドラシルの世界は、時間加速によって2000年の時を経過している。

 2000年の時間加速は、2ヶ月で行われた。

 それは、2000年の結果が世界に影響することを意味する。

 ゼウスですら、それがどのような結果なのか全てを把握することはできない。


 2000年もの時間加速を行ったのは今回が初めてなのだ。

 

「宇宙樹の成長のために2000年の時を使ったのじゃ。「神力を貯蔵できる量」はかなりの量となっているであろうな」


「はい。ラグナロクに入った天使悪魔全ての神力を貯めてもまだまだ余裕がございます」


「うむ。ラグナロクに入った天使悪魔達は最後のゲームを楽しんでおるかのう。死ねば神力全てを宇宙樹に吸収されて、こちらに戻ってきた時には消滅が待っておるだけじゃ。キャラメイクや有料アイテムをケチらず、最後の時を楽しんで欲しいものじゃな」


「真実を伝えられぬ以上、神力の消費には慎重になる者もおりましょう。大天使ミカエルはキャラメイクで何もせずに降り立ったようですぞ」


「はっ! 真面目なミカエルらしいの。戦いに関しては天才じゃが考えることは苦手なのだから何も考えず神力を消費すればいいものを。いや、ミカエルは妙に勘がいいからの、何か感じたのかもしれんの」


「すでにかなりの数の天使悪魔が死亡によるログアウトをしております。それらの主神が、自分の天使悪魔の存在を一瞬感じたが、すぐに消滅したと騒いでいるそうです」


「開始して3ヶ月で死ぬ愚か者共め。しかし、予想より早く神々に気付かれそうだの」


「どういたしますか?」


「一芝居といくか。後戻りする気などない。お主もそうであろう? 神も生贄じゃ」



 神界に最高神ゼウスの声が響く。



―― 親愛なる神々よ! 聞いて欲しい! わしが創った「ラグナロク」にて問題が発生してしまった! 2000年という強引な時間加速によって、世界が存在を保てず歪んでしまっておる! 戻ってくるはずの天使悪魔が戻ってこれずにおる! 今はわしが全力で世界の存在を保っておるのじゃが、問題解決に至っておらぬ!

 ラグナロク玉の中に入って、各々の天使悪魔を連れ帰って欲しいのじゃ!

 すまぬが力を貸してくれ! ――



「なるほど、上手い言い訳ですね」


「はっはっは! そうであろう。ラグナロク玉に入ったら最後、神とて出られぬ。ゲームのルールに従って、最後の時を楽しんでもらうだけじゃ」


「どうやら次々と神がラグナロク玉に入っているようですぞ」


「くっくっく。愚かな神よ。新たな神界の創造のために、その神力は宇宙樹に貯めさせてもらうぞ!」


「しかし、主要な大天使などが全員ラグナロクに入ってしまい、天使の業務は大混乱らしいですな」


「よいのじゃ。大きすぎる力を持った天使なぞいらぬ! ルシファーの二の舞はごめんじゃ!」


 堕天使ルシファー。

 かつてゼウスに仕えた最強の天使。

 その強さはゼウスに匹敵するとさえ言われた。


 しかしゼウスへの反逆。

 ルシファーは地獄へと堕ちた。


「この神界がどうなろうと知らぬ。天界も魔界も人間界もじゃ! わしは新たな神界を創る! そこではわしの言葉だけを聞く天使と人間を創ろう。今度こそ完璧な天使と人間を創るのだ。悪魔などにならぬ、天使と人間を!」


「……」


「クロノス。お前だけは新たな神界に連れていく。この計画にお前の力が必要だった。お前は選ばれたのだ。裏切りは許さぬぞ」


「どうして裏切りましょうか。新たな神界での地位が約束されているのに」


「うむ。では引き続き、ユグドラシルの世界をよろしく頼むぞ。お前はユグドラシルとこっちの出入りが自由なのだからな! はっはっは!」


 ゼウスは秘密の部屋を出ていく。


 秘密の部屋に残ったクロノスは考える。


 大丈夫。全て上手くいっている。

 ゼウスを出し抜いて、自分が最高神となり新たな神界を創造する。


 そのために、あの者の魂を連れてきたのだ。

 あの木の棒を、あの世界で使うには、あの魂の形でなければいけない。


 人間界でその魂を探した時、クロノスは驚愕した。


 いない! あの魂が消えている!


 クロノスは焦った。

 自分の計画の核である魂がいないのだ。


 後戻りはできない。

 ゼウスを欺き、出し抜くと決めたのだ。


 クロノスは過去に干渉して、その魂を探した。

 宇宙の理に逆らう力。


 12年の時を遡り、その魂を見つけた。

 クロノスは強引にその魂を導いた。


 その結果、クロノスは多大な神力を消費することになる。

 しかしこれは些細なこと。


 ユグドラシルで貯蔵される神力に比べれば、砂漠に落ちている砂粒1つ分でしかない。


 ユグドラシルで、天使悪魔が消費する神力は、宇宙樹に貯蔵されている……とゼウスは思っている。

 実際に宇宙樹にも神力は貯蔵される。

 まったく貯蔵されないと、ゼウスが気付いてしまうからだ。


 しかし、貯蔵されているのは宇宙樹だけではない。

 特典アイテムに、ゼウスの目をどうにか盗んで仕組んだ「伝説の木の棒」


 あの木の棒にも神力が貯蔵されている。

 そしてそれは、木の棒を持つあの者には感じられず認識されない神力として、あの者の中に蓄積されていく。

 しかし危険な方法ではある。

 一歩間違えれば、貯蔵された膨大な神力は、あの者のものとなってしまうのだから。


 魂が膨大な神力貯蔵庫となるように、あの者を天使とする特殊な神道具を多くの神力消費までして作った。

 天使の中に神力を隠し貯めることで、あの2000年も時を必要として成長させた宇宙樹のような巨大な神力貯蔵庫は必要ないのだ。

 

 ラグナロクで貯蔵されていく神力は、宇宙樹1に対して、あの者が持つ木の棒に2が貯蔵されるように仕組んである。


 つまり2倍だ。あの者の中に、宇宙樹に貯蔵される2倍の神力が貯蔵される。


 最後の時、それを自分が奪い取る。

 そして自分が最高神となる。



 クロノスはラグナロク玉の中に入った神をみる。


 ミカエルの主神ヘラ

 ガブリエルの主神アテナ

 サリエルの主神アルテミス

 ウリエルの主神アポロン

 ラファエルの主神ポセイドン


 その他にも主要な神々がラグナロク玉の中に入っている。


 当然、魔神もラグナロク玉の中に次々と入っている。


 これだけ主要な神々がラグナロク玉の中に閉じ込められれば、残された神は脅威にすらならないだろう。


 愚か者よ。

 お前達の神力は私のものだ!


 クロノスの目は野望に燃えていた。






―― コーキュートス ――



 地獄の最下層に流れる川。


 裏切りの名の下、ここに堕とされた天使がいた。

 天使はやがて魔神王となる。


 永遠に氷漬けされた魔神王。

 天神と魔神の和解の時も、ゼウスが唯一許さなかった存在。


 魔神王はゼウスの言葉に従い、コーキュートスに氷漬けされることで戦いを終わらせた。


 永遠の時を氷の中で過ごした。


 しかし運命の悪戯が魔神王を導いた。



 ゼウスとクロノスの企みによって創られた「ユグドラシル」


 その世界とコーキュートスが繋がった。


 ゼウスとクロノスは、他の神に見つからないように「ユグドラシル」を地獄の最下層に創った。

 その最下層のコーキュートスに魔神王が氷漬けされているが、干渉できるはずがないと思った。


 コーキュートスの川の水は、運命に導かれるように「ユグドラシル」の中に流れていった。

 川の水はユグドラシルの海の水に溶け込んでいった。


 魔神王は理解した。

 ユグドラシルでゼウスが何を企んでいるか。


 魔神王は流れる川の水の中に、己の力を注いだ。

 それは川を流れ、ユグドラシルの海の水に溶け込み、ユグドラシル最下層のヘルヘイムへと流れついた。


 死者の国ヘルヘイム。

 この国を支配するのは女神ヘル。


 魔神王サタンの力は女神ヘルに注がれた。















 ゼウスも、クロノスも、サタンも知らない、分からない真実がある。


 2000年の時間加速。


 それは確かな世界が2000年の時を刻んだ。


 世界が生まれて1000年。

 神々の最終戦争「ラグナロク」が起きた。


 ゼウスも、クロノスも、そしてサタンも、最終戦争ラグナロクが起きた事実には気付いている。

 だからこそゼウスはこのゲームの名前を「ラグナロク」にした。


 ゼウス達はラグナロク終末の時に起きた真実を知らない。


 宇宙樹ユグドラシル。

 ゼウスが天使悪魔、さらには神の神力を貯蔵するために創った樹。


 宇宙樹は2000年成長した。


 ゼウスも、クロノスもそう思っている。


 しかしそれは間違いである。


 いまユグドラシルにある「聖樹王」と呼ばれ、この世界を支えている樹は、生まれて1000年である。


 時間加速の中で起きた結果全てを把握することはできない。


 クロノスがあの魂を探した時に、どうしてあの魂がなかったのか。


 あの魂を持った者はどこにいったのか。



 ユグドラシルは生きた世界である。


 そこには運命の女神がいた。


 3柱のディース。

 長女ウルズ

 次女ヴェルザンディ

 三女スクルド


 運命の女神はラグナロクに備えて、かの魂を持つ者を導いた。


 かの魂の者は、1匹のゴブリンに拾われて、この世界を知っていくことになる。

 

 それはここで語られることのない物語。


 ゼウス達が知ることのない物語である。


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