VSフォレストドラゴン
「フォレストドラゴン? ドラゴン系のモンスターなのか」
ドラゴンっぽい姿だもんな。
「……お兄ちゃん、あいつの相手を任せていい?」
リィナは真剣な顔をして言う。
「他にモンスターがいるのか?」
「……フォレストリザード。蜥蜴のモンスターがいるのよ。数少ない二体のエリアボスがいるフィールドなの」
……そりゃ、一人じゃ厳しいな。
「わかった。そっちは二人に任せたぞ」
「うん、お兄ちゃん。そっちの方が強いから頑張って」
……じゃあ代わってくれよ。
「ったく。信用してるんだから、死ぬなよ」
俺がフォレストドラゴンの相手をしてやるから。
「ええ。リューヤも死なないで」
「ああ!」
俺は言って、ツインフレア・オブ・チェンジエッジを構えて突っ込む。
「【炎舞】」
二本の剣で華麗に攻撃するアビリティ。
回転したりしながら、剣を連続で叩き込む。
「っと」
さすがにドラゴン系だけあって、効果有りだってのに、あんまり効いてない。
「チェンジ・双太刀」
スキルじゃないが、声に出さないと駄目らしい。
光って、二つの太刀になった。柄が黄色で、右の刃が紅、左の刃が朱色なのは変わらない。
「【業火演武】」
十三連続攻撃アビリティ。
「うおおおぉぉぉぉ!」
やっと十分の一減った。
「っ!」
攻撃が終わったところに、フォレストドラゴンの尻尾がきて、吹っ飛ばされる。
「ちっ。七分の一くらい減ったか」
尻尾がこれくらいなら、ブレス喰らったらヤバいよな。
「ガアアアアアア!」
と思ったら、緑色のブレスを吐いてきた。
「くっ!」
間一髪、後方に大きく跳んで避けた。
「チェンジ・双大剣」
一番攻撃力の高い双大剣にする。
「はっ!」
フォレストドラゴンが一旦反動を受けている隙に双大剣を叩き込む。
「【怒濤火焔】!」
火を吹いたツインフレア・オブ・チェンジエッジは一撃一撃が大ダメージな乱舞を放つ。
「グガアアアアア!」
フォレストドラゴンが苦しそうな声を上げる。
「へへっ、ざまぁみろ」
威力は高いが反動が大きい。しばらく動けなくなる。……フォレストドラゴンはもう体力が半分だが。
「ガアアアアアア!」
フォレストドラゴンは怒って俺に爪を振るってくる。
「がはっ!」
俺はなす術もなく吹っ飛ばされた。
「……このっ!」
かなり吹っ飛ばされたようで、木にめり込んで止まった。
「……強いな。さすがドラゴンだ」
苦笑して呟く。
邪悪竜はブレス攻撃が多かったが、フォレストドラゴンはブレス攻撃が少ない。尻尾や爪が多いんだな。
「【ハイヒール】」
回復魔法を唱える。残りHPは五分の一を切っていた。
「【ハイヒール】、【ハイヒール】、【ハイヒール】」
さらに三連続で唱える。回復魔法が少ないんだよな。
よしっ。満タンだ。
「『ウエポンチェンジ』」
アヴァロンソードとブレード・オブ・ロッドに変える。
「やっぱ、今は使い慣れたこれがいいよな」
即席の武器で挑むもんじゃない。
「ちょっと使い慣れてからならいいんだけどな」
その辺でちょっと狩ってれば良かった。
「ったく、面倒だな!」
言って、両手を構えて突っ込んだ。
「おおおおおぉぉぉぉ!!」
両手で斬りつけながら、フォレストドラゴンの攻撃を防いだり避けたり、最大限に集中して挑む。
「ガアアアアアア!」
残りHPが三分の一になって、ブレスを吐いてきた。
「【マグナムヒート】!」
こっちは炎系魔法を放って相殺する。
「【百華武斬】!」
決めにかかる。『二刀剣術』の一つだ。
ランダムで十以上の連続攻撃をし、斬撃も放つ大技だ。
あとちょっと!
フォレストドラゴンのHPが減ってきた。
「くそっ!」
結局、あと一撃まできて止まった。
「ガアアアアアア!」
フォレストドラゴンは瀕死になったからか、バサッと飛んだ。
「逃げるのか?」
ラッキー。攻撃しないなんてな。
「『ウエポンチェンジ』」
T・Gを構える。
「じゃあな」
呆気ない幕切れだな。
「【閃光】」
銃口から三本の閃光が放たれる。
「ギャアアアア!」
それらはフォレストドラゴンを貫き、フォレストドラゴンはHPが真っ白になって墜落する。
「……ふぅ」
フォレストドラゴンがガラスのように割れて消えるのを見て一息つく。
「お疲れ、リューヤ」
姉ちゃんとリィナも今終わったらしい。
「ああ、お疲れ」
ってか、マジで疲れた。
「一人で戦ったのなんか久し振りだな。いつもアルティ達に頼ってたし」
腕が鈍ってたらしい。
「それでも、フォレストドラゴンを一人で倒しちゃうなんて凄いね、お兄ちゃん」
リィナがはにかんで言う。
「ありがと。んじゃま、帰ろっか。報酬も見たいし」
俺は笑って言って、久し振りに三人で喋りながら帰った。
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「さ~て、整理するか」
「……何でウチ?」
結局、いつものアリシャの鍛冶屋に来ていた。
「いや、報酬、見たいと思ってな」
「……見たい」
正直だな、アリシャは。
「お兄ちゃん、いつもここに来てるの?」
「まあ、大体はな。素材売ったりするし」
「そうなの」
おっ? 何か二人が怖いぞ?
「「お兄ちゃん/リューヤのバカ!!」」
何か涙目で怒鳴られた。
「は?」
俺はそんな二人に呆然とするだけだった。




