武器試し①
遅くなりました
数日間貧血気味でめまいに襲われ、書く気力が起きなかったんですが、今日から随時更新していく予定です
「……ふーっ」
俺は無限迷宮にて、大きく息を吐いて呼吸を整えた。階層は五十。レベルは問題ないが、装備の試しを含めてなので少し慎重にもなる。俺が最初に試すのはヤマタノオロチという、アリシャ曰く投擲細剣の武器だ。
投擲にも使えるからか一本一本がかなり細く、でかい針のような印象を受ける。だがよく見ると刃になっていて、これを八本持って切り裂くのにも使える。別に八本同時に持たなくても使えるんだけどな。
細くて持ちやすく、投擲しやすい。確かに両立の武器ではありそうだった。長さは刀身だけで大体一メートルくらいなので、攻撃範囲は手から一メートル先までと、投擲による射程距離との二つがある。俺は色々やってたので投擲も可能であり、他の上位プレイヤーのように作り変えて使うこともない。鍛冶スキルはまだまだなのでアリシャに頼むことになるだろうし、止めておいた方がいいだろう。アリシャもいくらテンションが上がると言っても疲れただろうしな。
投擲、刺突、切断と応用が利き、さすがに神の名前を持つだけあって頑丈という超高性能武器だ。杖や斧にしてしまうには勿体ない気もする。ちゃんとヤマタノオロチだから八本で一つの武器なんだろうしな。
上手く使えるように練習しつつ、無限迷宮を進んでいこう。
……正直に言って威力が高すぎて練習にならない。
振ったり投擲したりする練習にはなるが、一撃で倒せるので連続攻撃の練習は出来ない。
唯一不便と言えるのは切れ味よりも鋭さが高いため、投擲として使うのが一番で、投擲した後自分で取りにいかないといけないことだろうか。
攻撃力が高いので特に文句はない。投擲武器の使った後取りにいくという不便さは俺も分かっているつもりだ。……手裏剣とかどんだけ回収しないといけないと思ってるんだ。たまになくなることもあるけど大変なんだぞ。
「……『ウエポンチェンジ』」
俺は五十階層を難なく突破した後ヤマタノオロチを変える。次は光線銃、アマテラスだ。
左手にアマテラスを出現させると五十一階にいた最初のモンスターに向けて引き鉄を引いてみる。すると銃口から炎を纏った光線が放たれ、モンスターを貫き発火による炎で焼き尽くした。……なるほど。二属性を持っているレア武器ってことだな。しかも高威力で射程距離も長く使いやすい。
しかも光線単体と炎単位で攻撃出来るので、かなり便利ではある。まあ一番は両方を使ってダメージ範囲の少ない光線の傷口から発火させるという使い方なんだろうが。
そのまま俺はアマテラスの使い方をよく知るため、六十階層までを突破した。レベル差もあり、武器の強さもあり、簡単に突破出来た。
だから俺は六十一階層からまた武器を変える。
「『ウエポン・チェンジ』」
次の武器はカグツチ。アリシャ曰く爆発大槌である。紅蓮の双頭龍を模したような巨大なハンマーで、先端では紅蓮の双頭龍の頭が左右に分かれハンマーを形取っている。口を大きく開けているため普通のハンマーのように表面が平ではない。
アリシャの話だと攻撃と同時に爆発するようだが、スキルを見ると任意に爆発させることも出来るとうだ。攻撃と同時の爆発はデフォルト効果らしい。どっちの口からでも爆発、火共に出来るので、それを使った戦闘方法がスキルなのだろう。確かにこれは大槌で使うスキルだと思われる。
俺は六十一階層に出てきた最初のモンスター、岩石に手足が生えたようなロックン・ロール相手に試してみる。一応槌のスキルも持っているので問題はないが。
ロックン・ロールは転がる攻撃が強烈で、こんな道幅の狭いダンジョンではかなり厄介なモンスターだ。最初に遭遇した時は全速力で逃げ回っていた記憶がある。しかもいきなり使ってくるのだから、仕方がない。というかその攻撃しかしてこない。
ロックン・ロールはこの階層でも変わりなく、手足を引っ込めて転がる攻撃を使ってくる。軌道はいきなり変更することもなく、ただ当たると怖い攻撃だ。
「……ふーっ」
俺は大きく息を吐いて呼吸を整えると、カグツチを野球の要領で大きく両手で振り被った。
「……【バーニング・ストライク】!」
俺が転がってきた巨大な岩石に合わせてカグツチを振りながらアビリティを発動させると、俺は左打ちなので後ろの左側にある口が爆発を吐き出し、急加速する。
「うおっ?」
俺はあまりの衝撃に体勢を崩すが、上手く当たってくれて、ロックン・ロールがホームランもかくやという勢いでダンジョンの天井に当たり壁に当たり床に当たり、を繰り返して彼方まで飛んでいき、遠くで光の粒子になって消える様が見えた。……一撃か。まあ扱いづらい武器だが、威力は今のところトップだからな。
ちなみに今の攻撃でも自動で右の口が爆発し、威力を上げていた。そのため振り切った後は爆発の勢いが殺されて止まれるのだが、体勢を崩さずコントロール出来るようにならなければならない。
俺は七十階層のボス戦までにカグツチが上手く使えるように練習することを決め、無事七十階層を突破した。




