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122.真実の救出

 二週はあかずに投稿できた(汗)

 運動会とか町民運動会とか、休日にイベントが多いと更新がきついんよ。


 聖歌手が加わる討伐前に、恒例の調査隊が虫けらのダンジョンを訪れます。

 その中には、生ハーブをもらって帰された荷運びの少女もいました。

 彼女はなぜ、調査隊に加えられたのか。そして彼女の身に起こっていた、彼女は気づかないが命に関わる危機とは。

 討伐軍の出陣を間近に控え、冒険者ギルドから三度目の調査が行われることになった。

 虫けらのダンジョンはこれまでにも、攻めようと思ったら成長して深くなっていて、物資などの計算を狂わせてきた実績がある。

 出陣してからそれを是正するとなると大変なため、出陣前に確認するのだ。

 それに、年が変わってから数百人の冒険者や貴族の私兵がダンジョンに潜ったが、戻ってきたのはほんの一握りだ。

 これまでいなかった脅威が、ダンジョン内に発生している可能性がある。

 それを調べるために、冒険者ギルドが調査隊を派遣した。

 メンバーはいつものマリオンと鑑定官、ハゲ戦士のハゲツルヌス、そして……ダンジョン8階層から生還した荷運びの少女である。


(ハァ……何でまたこんな所に)

 荷運びの少女は、ダンジョンを進みながら内心ため息をついていた。

 もう二度と、ここに来るつもりはなかったのに。自分では到底かなわない敵に、二度と来るなと言われたのに。

 だが、少女は連れて来られてしまった。

 貴重な深部からの生還者だから、調査の案内人として。

「悪いな、こっちも仕事なんでね。

 できるだけ深くまで探ってこいって言われてんだ。こういう時に、俺らが知らない階層を知ってる奴がいるのといないのとじゃ大違いなんだよ」

 まだ小学生に見える自分よりちっこい忍者が、悪びれずに言う。

 このマリオンという忍者を見た時、少女は困惑した。こんな自分より小さな女の子まで、ギルドは戦いに駆り出すのかと。

 しかし自分と同じくらいの年だと説明され、さらにダンジョン内で機敏に動き戦うのを見て、自分の思い込みが間違っていたと思い知らされた。

 そして、失礼な態度をとってしまった自分が恥ずかしくなった。

 縮こまる少女に、マリオンは軽く笑って言った。

「アハハッ俺は気にしてねえよ。いつもの事だ!

 ただ……物事を表面だけで判断すると痛い目に遭うぜ」

 マリオンの忠告に、少女はうなずいた。

「そうですね……このダンジョンだって、見た目はきれいなのに簡単に人を殺すとっても怖いところですし。

 私を卑劣な男どもから助けてくれた妖精さんたちも、私のために泣いてくれたように見えても邪悪な魔女の手下ですし。

 本当、表面に惑わされちゃダメですね」

 それを聞くと、調査隊の面々はなぜか悲しそうに顔を見合わせた。

 それを見て少女は、励ますように声をかけた。

「あ、べ、別に皆さんや冒険者の方を責めてる訳じゃないんですよ!

 ただ、元聖女って肩書と清楚ぶってたのに惑わされて、これ以上人が魔女にやられてほしくないですから。

 私たちが、しっかり化けの皮をはいで帰りましょう!」

 少女の言葉に、鑑定官は切なそうにうなずいた。

「ああ、しっかり正体を知るといい。

 そして……どうするべきか、自分で決めたらいいさ」

 その言葉の本当の意味を、少女はこの時知る由もなかった。


 調査隊は、驚くほどスムーズに浅い階層を突破していった。

 ダンジョン内は、奇妙なほど静かだった。前に少女が来た時の騒々しさが、嘘のようだ。他の戦闘音も悲鳴も、ない。

 ちょっと前はあんなにいた下品な冒険者や貴族の私兵たちが、ほとんどいなくなっている。

 理由は簡単、聖歌手の部隊が到着したことで、フリーの者たちもそこに合流して行こうと単独での攻略をやめたからだ。

 その方がより安全に、手柄をかっさらえると判断したのだろう。

 何より、中に入った者がほとんど出てこないと今いる者は知っている。

 いくら英雄となり極上の女体を味わえると言われても、無駄死にしては意味がない。安全に、美味しい所をさらう方法を考えるべきだ。

 そんな訳で、ダンジョン内は閑散としていた。

 嬉しい事に、なぜか敵まで閑散としていた。

 調査隊が進むのに、敵があまり現れない。確かに無用な戦いを避けるために気配を消してはいるが、不気味なほど静かだ。

「すごい……こんなに進めるなんて!

 もしかして、これまで突入した方々のおかげで魔女の手下がだいぶ減ってるんですかね?

 だとしたら、街が平和になる日も近いのかな。あの人たちは乱暴だったけど、きちんと平和のために戦ってくれたんだから……」

 しんみりとする少女に、マリオンは真顔で言った。

「ああ、俺たちも平和と正義のために動いてる。

 ただ、真の平和と正義は真実の上にしか成り立たねえ。

 おまえも、自分が信じたいのと別の真実にぶつかるかもしれねえが……そん時に、選択を間違えねえようにしろよ」

 少女は、力強くうなずいた。

「ええ、もちろんです!

 嘘と真実、悪と正義を間違えたりしませんよ!」

「そうか、いい返事だ。なら、安心して行けるな」

 マリオンの口調に皮肉がにじんでいたことに、少女は気づかなかった。


 あっという間に7階層に着くと、調査隊は杏で腹ごしらえをした。

 ここの杏には一割ほど苦い毒杏が混じっているが、鑑定官がいればどうということはない。

 甘くて美味しい杏だけ見分けて、素直に腹に入ってもらった。

「うー美味しい!

 でもこれ、すっごい意地悪な罠ですよね。みーんな同じ見た目でいい香りがするのに、少しだけとんでもないのが混じってるなんて。

 引っかかる人とそうでない人が出てパーティーで意見が割れちゃうし……卑怯なうえに不公平だわ!」

 少女が憤慨すると、ハゲツルヌスが突っ込んだ。

「そうだな……だが、世の中そんなもんだろ。

 おまえが冒険者に襲われたのだって、いつ誰でもそうなる訳じゃない。それに、内心そういうことを考えている奴を外見で区別できる訳じゃない」

「うう……その通りですね。悔しいなぁ」

 少女がぼやくと、ハゲツルヌスが諭すように言った。

「そうだ、悪い奴は、いかにも自分は正義って面してることがある。周りからも、正しくて偉いと思われてることがある。

 その辺りを、きちんと見抜いて判断できるようにならんと」

 その言葉に、少女は元気よくうなずいた。

「はい、次は騙されませんよ!

 つまり、聖女のフリした猫かぶりの魔女みたいな奴を見逃すなってことですよね。全く、学園の他の聖女さんや偉い人たちがしっかりしてくれたら、こんな事にならなかったのに!」

 そう言って拳を握る少女を前に、ハゲツルヌスは困ったように毛のない頭をかいた。

 少女はそれを見て、自分がふがいないからだと思い、もっとしっかり正義の戦いの力になれるよう猛省した。


 そうしているうちに、一行は8階層に着いた。

 木々が青々と茂りハーブが香る美しい森の中に、ちょっと前惨劇の舞台となった廃屋が佇んでいる。

 かつてフェミニアが出てこなかったそこに、少女は胸を刺す感傷を覚えた。

 そこに、しずしずと歩み出てくるビキニアーマーの蜘蛛女。

「おやおや、二度と来るなと言ったはずでありんすが……どういうことでありんすか?

 そこの方々も、わざわざ約束を破らせるとは悪い方々ですえ」

 恨みがましく言う蜘蛛女に、マリオンは軽く声をかける。

「おー、それはマジで悪かったな。

 けど、こっちにも事情があるんだよ。こいつをこのままにしとく訳にいかねーもんで……土産もあるから、ユリエルにつないでくんねーか?」

 その言葉に、少女は総毛だった。

 今、こいつはユリエルにつないでくれと言った。

 つまりこいつは、ユリエルの味方なのか。街の味方のふりをした、内通者なのか。

 気づいた瞬間、少女は荷物を放り出して駆けだしていた。振り向かずに近くの茂みに飛び込み、全力で気配を消す。

(そんな!騙された!裏切られた!

 何て馬鹿な私、あんなにもう騙されないって思ったのに!!

 知らせなきゃ……街のみんなに!お願い神様守ってください、フェミニア様が生かしてくれた命を無駄には……!)

 頭の中を、愚かさへの後悔とやるべき事がものすごい勢いで巡る。

 しかし次の瞬間には、マリオンに乗られて腕をひねられ、拘束されていた。

 絶望にこわばる背中からかけられる、切羽詰まった声。

「動くな!おまえ、帰ったら殺されるぞ!!

 俺たちは、おまえを助けたくて連れて来たんだ!!」

 マリオンの声は、悲鳴のようだった。

 それがどういう意味かとつい考えてしまった隙に、前も縛られた蜘蛛女の糸が少女の全身に絡みつく。

「おやおや、訳ありでありんすか?

 生かすために帰したのに、何とまぁ……」

「あー……それで都合が悪くなる奴がいたってことだ」

 気の毒そうに少女を眺める蜘蛛女とマリオン。鑑定官とハゲツルヌスも、当然のように助けようとしない。

 少女は、立場を言葉を素直に信じた己を食いちぎらんばかりに恨んだ。しかしもう全ては後の祭り、少女にできることはもう何もないかに思われた。


 しばらくして、少女の側にダンジョンの妖精たちがやって来た。以前も会った老婆に、白とピンクのドレスの女。

 そのピンクのドレスの女を見ると、マリオンは目を丸くした。

「おまえ、ユリエルか……!ずいぶんイメージ変えたな!」

「お、さっすがマリオン!

 これに着替えてから私だって気づいたの、魔物学の先生だけだったよー」

 この会話に、少女は凍り付いた。

 あの優しくて自分のために泣いてくれたピンクのドレスの女が、まさか諸悪の根源たる神敵ユリエルだったとは。

(ああああ騙されてた!!初めっから、騙されてたぁ!!

 魔女から解放されますように、じゃなくて、何としても殺すべきだったぁ!!)

 以前会った時は、人に近い心を持っているようだったから、早く悪い奴の手下をやめられますようにと祈ったのに。

 最悪の形で裏切られた。

 目を血走らせて息を荒げる少女を見て、魔女は困ったような顔をした。

「……で、何でこいつ連れて来てんの?

 ちゃんと当面生きられる金目のものはあげたのに」

「金だけじゃ生きていけねえんだよ。

 こいつの体験は、性欲に引きずられて集まって来る冒険者への信用や待遇を揺るがす。ギルドマスターやインボウズにとって、都合が悪いんだよ!」

「はああぁ!?んな勝手な!」

 勝手なのはおまえだろうと憤慨する少女を置いてけぼりに、話は勝手に進んでいく。

 マリオンや鑑定官たちは、少女を助けるためにここに隠すか自分たちの仲間にする、という建前でここに来たらしい。

 せっかく集めた冒険者の悪評を広められたと逆恨みしたギルドマスターが、少女を害そうとしているからと。

 しかもそれに、少女に冤罪を着せようとして失敗した審問官ワイロンが協力している。

 さらに、少女と共に炊き出しをしているシノアを陥れようとするティエンヌも。

 そのせいで、炊き出しの場に頻繁にならず者冒険者が現れて、シノアや少女たちを力ずくで連れて行こうとしている。

 修道女が守っているが、討伐が始まって修道女が離れたら、もう守り切れない。

 それを聞いて、少女は確かに心当たりがあった。

(そう言や、よく来るわねそんな奴ら。しかも、高貴な聖女ティエンヌ様に言われたとか喚いてること多いし。

 ……いや、まっさか悪い奴の言う事が本当な訳……)

「ご丁寧に、ティエンヌは何もしてねえってワイロンが審判のフリしてんだよ。あいつら完全にグルだぞ」

「えっ……それ絶対やばいやつ!!

 私の時と同じだ。偉い人と審問官が組んで悪い奴だって決めつけられたら、もう誰に何を言っても信じてもらえなくなる!」

 その言葉に、少女はあれっと思った。

(ギルドマスターと、審問官様が……確かに、私が犯人かもって言われてそうなった!あの時は本当に、どうしていいかと……。

 いやいや待って、審問官様だよ!本気でする訳ないじゃん!

 最後には、ちゃんと本当だって認めてくれたし……惑わされるな、私!!)

 思い当たる節らしきものはあるが、少女は必死に神に祈って己を支えようとした。

「……でも、こいつ助かってんじゃん。

 普通法廷でそうなっちゃったら、終了だと思うけど……よく助かったね」

「ああ、教会以外で真偽を判定できるアイテム持ちが来たもんで。

 クッサヌ家が、フェイクブレイカーでこいつの嘘を断罪しようとしたんだよ。奴ら、そりゃ大慌てだ。あのままやらせたら、判定が食い違っちまうからな!」

「なるほど、それは取り下げるわ」

 それを聞いて、少女はぎくりとした。

 言われてみれば、あの時審問官の態度が露骨に変わったのは、フェミニアの親戚が自分を断罪しようと短剣を振り上げてからだった。

 あれが出るまで、審問官はどんなに泣いて本当のことを訴えても聞いてくれなかった。

 さすがに言葉を失う少女の荷物をマリオンがまさぐり、フェミニアの遺品を取り出す。

「ほら、これと同じやつ」

「あーっ!!あの女騎士が私に使ってた!

 何か、当たればいいって感じで斬りつけてきてさ……三回攻撃してきたら殺そうって思ってたけど、私が攻撃する前にいきなり血が噴き出して死んだんだけど。

 それ、代償とかあるやつ?」

 ユリエルの言葉に、鑑定官は悲痛な顔でうなずいた。

「ああ、他人の言葉ではなく自分の言葉を判定するモードの場合だが……自分の言葉が偽りであった場合、全身から血が噴き出す」

 すると、途端に魔女が崩れ落ちた。

「うああっあの女騎士、私の純潔を嘘だって、冤罪も教会が悪いってのも全部嘘だって言い切ってた!!

 それで、真実が分かったのに、死んじゃったぁ~!!」

 少女は、心臓を握りつぶされたような心地だった。

 もしそれが本当なら、フェミニアはこいつに殺されたのではない。自分で間違った断罪をしようとして、報いを受けたことになる。

(や……やだやだ、そんなのってある!?

 いや待て、しっかりしろ私!!

 状況が合ってるだけで、神敵と裏切り者が言う事だぞ!信じるな信じるな信じるな、私は惑わされたりしない!

 いやらしい神敵め、ファミニア様を汚すな!!)

 少女は心を鬼にして、歯が砕けそうなほど食いしばった。

 これまでさんざん騙されてひどい目に遭って、せめてこれ以上騙されて利用されてたまるかと、その一心だった。


 そんな少女の様子を見て、マリオンは残念そうにぼやいた。

「……とまあ、騙されて自分の危機にも気付けないかわいそうな奴なんだがな……まーだ自発的に気づくことができねえか。

 いや、気づいてもどうにも認められねえか?

 こりゃ、ますます帰せねえ。生かすには、ここに閉じ込めるしかねえか?」

「それならこいつは生きられるが、帰った時に家族がどうなっているか……」

 マリオンたちとしては、強引にでも教会が茶々を入れられない場所で真実に気づかせればと思った。

 しかし少女は、自分があんなにひどい体験をしたのに真実を信じようとしない。

 むしろマリオンたちを裏切り者として、人類の敵の仲間として絶対に受け入れまいとしている。

 これではもう、味方として自分たちが守ってやることもできない。


 だがここで、鑑定官が魔道具を持って進み出た。

「教会の審問は、よほどのことがない限りその結果を一般人が見ることはない。

 しかし、私の鑑定にそんな事をする理由はない。人の知る真実ではなく人や物の事実そのものなら、私が見せてあげられる」

 鑑定官は、魔道具に小さな追加パーツをつけて見せた。

「これがあれば、魔力消費は大きいがこれまでより詳しく鑑定できる。例えば、強化や状態異常とその原因とかね。

 さあユリエル、その血で適当な魔物を強化してみせてくれ」

 鑑定官は、ついに少し詳しく見られる魔道具の追加パーツを手に入れていた。

 冒険者たちの遺品を大量に鑑定しろと言われた時、偽装や呪いを見破れるものをくれとゴネた成果だ。

 ただし鑑定能力はあくまで戦闘に関するものに限られており、ユリエルが処女かどうか直接見られる訳ではない。

 それに、今は……。

「なるほど、論より証拠ね」

 ユリエルは、首に巻いていたフサフサの襟巻を地面に置いた。

 すると、それがモゾモゾと動き始めた。襟巻ではなく、体長50センチはあろうかという立派な毛虫の魔物だ。

 ユリエルが自らを傷つけて血を飲ませると、その体がぐいっと大きくなって毛が伸びた。


 名前:― 種族:ビッグベアワーム 状態:強化(純潔なる神器の血)


「あ……」

 糸を解かれた少女の口から、間の抜けた声が漏れた。

 純潔なる神器の血という名前の時点で、もう分かる。しかも今のは、ユリエルの体から直接出たもの。

 それを飲んだだけで、魔物が進化までした。

 進化ならダンジョンの力でもできるかもしれないが、強化の原因は処女の聖女にしか出せない。

 鑑定官の嘘も考えたが、そんなことができるなら、なぜ今までやらなかったのか。魔道具を偽る方法も、やれたのにやらなかった理由も、想像もつかない。

 代わりに、魔族たちが騒いでいる悪い噂がぴったりはまる。

 ユリエルは今まさに、それを目の前でやってみせた。

 少女が言葉を失っているうちに、ユリエルは次々と魔物を強化、進化させていく。

 頭突きしか能がなかったヘッドバットワームは、脚の爪がグローブのように肥大し、しなやかに強烈なパンチを連打するボクシングワームに。

 岩ムカデはアラクネのように人間の上半身がつき、しかし人間部分にもたくさんの腕を持つ百足女郎に。

 そこまでの力が、確かにあるのだ。

「うぅ……もう、いい……もう、分かったからぁ!」

 そう言って涙を流す少女の目には、今や真っ逆さまになった世界が映っていた。

 ユリエルは、邪淫の魔女ではなく、ただ陥れられただけの処女。自分と同じように、審問官の嘘にはめられた。

 そしてマリオンたちは、裏切り者なんかじゃない。この人たちこそ真に自分のことを思い、人々と世界を真実に従って救おうとしていた。

 教会を盲信していくらヒントを出されても改まらなかった愚かな自分を、ここまでして助けてくれた。

「あ、ありがどう……ございまず!

 仲間に、なりまずから……恩返し、さぜでください!」

 流れる涙とともに、目の曇りがとれていく。

 自分と世の中がどうなっているか分かった以上、やるべき事は一つしかなかった。



 調査隊の面々も、ユリエルを助けるためにそれぞれ努力して前進しています。

 鑑定官は、ついにユリエルの真実の一端を見られる力を手に入れました。

 ギルドマスターはあまり深く真実を知ってほしくなかったのですが、冒険者の遺品を売り払うのに偽装や呪いを看破できないとギルドの信用が落ちるので、利益優先に走ってしまいました。


 そして次回、ユリエルと仲間たちは大討伐にどんな方針で挑むのか。

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