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理奈の歩み寄りと華波

少し短いですがよろしくお願い致します

「それじゃ、また月曜に学校で会いましょう」

「まったね~」

「また学校で~」

 改札で櫻子とは別れた。櫻子は別れるとスマートフォンを取り出して、通話をしながらエスカレーターを下って行った。電車内ではちゃんと斬るんでしょうね。理奈は櫻子がマナーを守ってくれる事を願いながら、櫻子とは違うホームに行く。隣を歩く華波は何か考え事をしている。

「どうかしたのかしら?」

「え、いや? なんでもないよ?」

 笑顔が白々しい。それに歯切れが悪い。ふ~ん、と理奈が疑い深い目を向けると、華波がサッと目を逸らした。

「やっぱり、何か後ろめたい事があるのね?」

「いや、違うって。ちょっと考え事をしてたの。それだけだからさっ」

 笑うが、やっぱり白々しい。理奈は検討が途中でついたので言及するのを止めた。

 櫻子が彼女と仲良くしているのが、羨ましいとか、そんなところだろうな、と察する。

「……」

そうなれば、華波は恋人らしい事をしたいと思っているのだろう。理奈は独り考える。

明確な何かで付き合っているという訳ではない。女同士で付き合う事に抵抗がある訳でもないし、華波とならば尚更だ。

だが、いざ付き合うとなると何をすれば良いのか解らない。

華波は自分と二人で出掛ける事をデートと称する。仮にそれをデートだとすれば大分味気ないと自分でも思う。

何をするでもなく、ただ喫茶店に入って華波の話を聞く。買い物をする。それくらいである。

「……んー」

そうか考えると自分はダメな彼女なのだろう。もう少し、何かしらのアクションを起こしてやった方が良いのだろうと思うのだが、何をすれば良いのだろうか。

「……」

考えた末に理奈は思い付いた行動の中で、一番安易な事をしようと決める。

そっと、指先が触れた。

「ん?」

バッと触れた手を抱えるようにしまう。動悸が激しくなり、顔が赤く熟れる。

「えっと、いや、その」

「お姉ぇちゃん、どーしたの?」

「……」

平然とした華波を見ると、何か面白くない。理奈は思いきってその手を繋ぐ。

「……おふっ?」

華波が首を傾げる。そのまま無言だったが、ニパッ、と明るい笑顔を浮かべる。

「ありがとう、お姉ぇちゃん」

「どう、いたしまして」

「あったかいねー」

「……そうね」

誰かと手を繋ぐのが、こんなに温かい事だとは思わなかった。

華波の方から視線を反らしながら、理奈は黙々と、華波は嬉々と歩いた。

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