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風の国のお伽話 第二部  作者: 花時雨
第三章 争乱

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第95話 齟齬

王国歴224年5月26日(前話翌々日)


その男達二人は、隊長に命じられた市中警戒任務を果たすつもりも無く、王都の繁華な街路を楽しげにぶらついていた。


王都は彼等の出身地であるシェルケン領の町や村と異なり、商店の数も種類も桁違いに多い。

人通りもこの騒ぎのために減っているというが、それでも彼等には結構賑わっているようにしか見えない。

そこを我が物顔に歩けるのだから、彼等にとってはたまらない。


二年前は、ただの農民だったのだ。

それが酷い税を納められず、鞭で脅しつけられ無理やり兵に応募させられた。

その後は家畜小屋のような粗末な建物に入れられ、そこにいた大勢の同類と共に、僅かな給金で訓練に労役にとこき使われた。

なぜか王都に連れて来られてからも、安宿の狭い寝台で窮屈に寝て、起きても日の高い間は街の人の目に立たぬように暗い部屋の中でじっとしているしかない。

退屈でたまらず、隊長の目を盗んで近所の居酒屋で安酒を飲んで騒いですぐに宿に戻るのが精一杯だったのだ。

それが、領主シェルケン侯爵様がミンストレル侯を追い落としてからは夜明けの光を迎えた如くだ。

いまや宰相代理様の家の者として、この王都での日々を我が世の春と謳歌できるのだ。


今日は隊長からは、街を平服で目立たないように巡回して、貴族共が反抗する兆しや怪しい密使の徘徊がないかどうか警戒しろと命じられているが、そんなことをしている場合じゃない。

こっちは根っこはただの農民なんだ、貴族がどうこうとか知ったこっちゃない。

折角の機会を存分に楽しもうじゃないかと、気分は盛り上がる。

街ではシェルケン侯の名は絶対に出すなと言われているが、他の軟禁されている貴族の家臣と適当に(かた)っておけば、そこらの庶民共は慌てて頭を卑屈に下げる。

隊長に露見さえしなければ、何をやろうと思いのままだ。

昨日までの街道の王都への入り口の関所での任務に比べると実入りは悪いが、自由気儘にできると思えば悪くない。


関所では、通ろうとする商人どもはみな最初はこちらに文句は言うものの、俺達の上官が『ならば、別に取調べを受けてもらおうか』と抜き身の短剣を見せれば、すぐに金やら物やらを差し出して来た。

当然だ。なにせ、俺達は天下の新執権の家中なのだ。

その様子を思惑たっぷりの顔で見ていれば、上官も俺達を共犯にするためにおこぼれ程度ながらも分け前を寄こして来る。

卑屈な商人どもの様子は以前の自分達を見るようで心が痛まなくもないが、これまで俺達を踏み台にしていた連中だと思えば、気にせずにいられる。

市中の連中もどうせ同じで、これまでは俺達農民を田舎者と見下していたことだろう。

今度はこっちの番だ。その分まで精々踏み付けにさせてもらおう。


俺達以外にも警戒に就かされている連中は多くいるが、どいつこいつも任務は片手間にしているのは仲間の皆が知っている。

宿舎に割り当てられた安宿では、誰がどこでどれだけいい思いをしたかが、その夜の酒盛りの肴になっているぐらいなのだ。

昨夜はどこかの姿絵屋で掠め取って来た怪しげな美女絵を見せびらかしている奴もいた。

領主が天下を取るのなら、家中の俺達が何をしたって咎められる恐れはない。

それが領でのやりかただったのだから。



二人はぶらぶらと、そこらの商店を覗きながら歩いて行く。

広場に差し掛かると、今日は朝市の日だったらしく、食料品を載せた屋台がずらっと並んでいる。

王城では国王が寝込み、宰相が追放される騒ぎが起こっていても、庶民にとっては日常生活は大きく変えられないらしく、結構な人出がある。


前を遮る通行人に「そこをどけ、俺達はキールス侯爵の家中だぞ」と叫べば、慌てて庶民共が脇に避けて道が開く。

全くいい気分だ。


男達が周囲の連中を脅しつけながら歩くうちに、屋台に並べられた赤いプラムが目に入った。


「ふむ、プラムか。悪くないな。二つずつ貰おうか」


男達はそう言って、一番色艶が良さそうな実を二人で両手に一つずつ嬉しそうに掴み取った。


「はい、ありがとよ。20ダランずつだよ」


売り子の中年の女の声に、男の片方が驚いた。


「二つで20ダラン? えっと、一つ10ダランか。そりゃあ高いな。ぼったくりじゃないか」

「申し訳ないねえ。今は卸値が高くて、こっちもこの値段じゃないと儲けが出ないんだよ。悪いねえ」

「いや、高すぎる。それにちゃんと熟しているかどうかも怪しいじゃないか。お前、自分で触ってみろ。そっとだぞ。ほれ、まだ固いだろう。それにこの尻を見てみろ、まだ緑色が残ってるだろうが。それに香りも低いし。いいか、底まで一面に赤くなって甘い匂いがぷんぷんするようになってからが食べ頃なんだ。こりゃあ、もいでからまだ一週間も経ってねえな。食い頃まで、あと三日は早いな。これが10ダランだなんて、騙そうったって、そうは行かねえぞ」

「あんた、なんでそんなに知ってるんだい。まるで同業か、栽培してる農民みたいじゃないの」


売り子の女に睨まれて、もう片方の男が慌てて否定した。


「い、いや、検査のために知っているんだ。俺達は農家じゃない、内相閣下の御家中だ」

「……へえ、そうかい。それなら知ってるだろうけど、十分追熟させて味の良い選りすぐりは、全部お貴族様の所へ行っちゃうよ。今は関所での検査が無駄に長くて、品がなかなか入って来ないんだよ。庶民向けを売らずに追熟させておくようなゆとりなんか、あるもんか。あんた達が持ってるそれでも、今、手に入るものとしては良い方なんだよ」

「勝手なことを言うな。とにかく調査が必要だ。検査のためにこれは貰って行くぞ」

「は? お代は? あんたら、どういうつもり? みんな、泥棒よ! そいつらを捕まえとくれ!」


売り子の女が大声を出すと、何事かと商人や客が集まって来る。

男達は周りを見回してそれに気付くと大声を出した。


「何だと? 俺達は内相閣下の御命令で、城下の安全を見て回っているんだ」「そうだ、これも値段の不法な釣り上げが行われていないかの点検だ。難癖をつけると、酷い目に遭わせるぞ!」

「酷い目? どうしようってんだか聞かせてもらおうか。価格調査は、商務局長様のお取り扱いじゃないか。内相閣下がどうして関わって来るんだよ」

「う、煩い! 四の五の言うと、内相閣下への不敬罪で引っ張るぞ!」


男達が、居丈高に脅しつける。

だがその時、周囲の人だかりの中から、次々に叫び声が上がった。


「そいつ、さっきはキールス閣下の家の者だって言ってたぞ! 内相閣下はゲルプ侯爵様じゃないか! 貴族家を偽るのは重罪だぞ!」

「そいつら、街道への関所で見たことあるよ! 偉そうに商人に難癖付けて、商品巻き上げてた! シェルケン侯のところの兵だ!」


それを聞いて、他の者達も次から次に叫び声を上げだした。


「何だと! 本当か!」「身分を偽ってやがるのか? 大罪だぞ!」「内相閣下の命令だというなら、その証拠を見せてみろ!」「偽貴族か? 衛兵を呼べ!」


野次馬も集まってきて大騒ぎになりかけて、男達は蒼ざめた。

勝手なことをしているのが隊長にバレては、まずいことになる。


「うるさい! お前達のことは報告するからな!」


そう捨て台詞をすると、手に持っていたプラムを屋台の上に置いて後退りすると、「どいた、どいた!」と大声を出して人の輪を無理やり掻き分けて抜け出して、小走りに逃げて行った。


果物屋の女は周囲に「みんな、ありがとよ」というと、男達が置き去りにした実を丁寧に服の袖で磨いて籠に戻しながら嘆いた。


「まったく、シェルケン侯が宰相代理だとか言い出してから、碌なことが無い。早いとこあんな連中が都から出て行って、ミンストレル侯が帰って来てくれないもんかねえ」

「全くだ。国王陛下が早くお元気になられたら、あんな連中はすぐに追い出してくださるのになあ」


隣の屋台の男が応じると、女はもう一度大きな溜息をつきながら言った。


「はあぁ。国王陛下にいつまでもお頼りせず、若い王族方が頑張って良い世の中を取り戻して欲しいもんだ」


それに相槌を打つように、あちらこちらの屋台に溜息が広がって行った。


ー--------------------------ー----


シェルケン侯爵は邸の自分の執務室で、義息フェッテ・シェルケンとその実父デイン子爵を相手にして、昼日中から酒を片手にくつろいでいた。

ミンストレル侯爵に送った刺客もユークリウス殿下に送った召喚状も、現地に着くにはもう数日かかる。結果が返って来るのはさらにその数日後だ。

姉のグラウスマン伯爵も、領に戻って戦準備を整えてミンストレル領に攻め込むのはやはり数日かかるだろう。

貴族共も今のところは各自の邸に籠って大人しくしている様だ。

忙中閑ありとはこういう日々を言うのだろうと、シェルケン侯爵はやがて得る宰相の座、そしてその手に握る国権を思い浮かべて楽しんでいた。

だが、その至福の時間は扉をせわしなく叩く音で途切れた。


「何だ、入れ」


シェルケンが命じると、執事が見慣れぬ男を連れて入って来た。


「見たことの無い顔だな。誰だ、お前は」

「閣下、私は商務局長の使いの者です」


入って来た背の高い男はシェルケン侯爵に頭も下げずに言った。

名乗りもせず、むしろ侯爵を見下ろさんばかりの態度だ。

シェルケンはむっとしながら言った。


「なんだ、使いの小者か。用件は何だ」

「閣下のお家の方々が、王都に出入りする商人や王都の商店のあちらこちらで乱暴狼藉を働き金品を奪っていると、商人ギルドの総長から抗議が来ております。速やかにご対処いただけますようお願いいたします」

「それは確かなことなのか。ミンストレルが逃げ出す時に騒ぎを起こすために、こちらの名前を騙ったのかもしれんだろう」

「その騒ぎの後も続いております」

「この混乱の中だ。少々のことはあるだろう。それに乗じて商人どもが被害者を装っているのかもしれんだろう」

「どうお捉えになるかは閣下次第ですが、商人ギルドの総長はこれが続くようであれば貴族諸家との取引条件を考えざるを得ないと申しております。そうなれば、貴族方の閣下への印象が悪くなる懸念がありましょう」


怯む様子の無い男に、シェルケン侯爵は言葉を詰まらせた。

商人ギルドを敵に回すのは確かにまずい。

ギルドの上層部は貴族の縁者、あるいはそうでなくても高位貴族にも深く食い込んでいる連中だ。

だが、このままでは癪に障る。


「いいだろう、我が家の者の仕業とは思わんが、慎むように一応命じはしよう。だがお前の顔は憶えておくぞ。どこの家の縁者だ?」

「ブラウ蔵相閣下です。宰相代理閣下のお憶え目出度きを得たこと、光栄に思います。その旨、蔵相にもお伝えいたします。では報告に戻ってよろしいでしょうか? 宰相代理閣下」

「出ていけ!」


シェルケン侯爵は怒声を浴びせたが、男は動じず悠々と出て行った。



男はシェルケンの邸を出ると馬車の中で「ふん」と嘲り声を洩らした。

いくら側室出の末の庶子で端役での修行中の身とは言え、自分はブラウ侯爵の息子である。

盟友の親族もろくろく調べていないとは、あんな杜撰な男達の計略が上手く進むはずがない。

戻ったら父に、この(はかりごと)から離れるように進言しようと心に決めていた。



邸の中では、男が部屋を出て行くなりシェルケンが「糞っ、糞めが!」と貴族らしからぬ下卑た言葉を繰り返し吐いていた。

その罵声が響く中に執事がおどおどと入って来た。


「今度は何だ!」

「しょ、書簡が何通か相次いで届いております」

「何だ、どこからだ?」

「近衛第三大隊長やいくつかの貴族家の御当主や奥方様からです。使者の言葉では……」

「何だ、早く言え!」

「あの、リュークス嬢の潔白を知らせるお手紙とのことです!」

「寄こせ!」


慌てて駆け寄る執事の手から書簡を奪い取り、乱暴にナイフで次々と封を破り中身に目を通す。

それは、国王御夫妻が倒れられた当日の事後に御夫妻を心配して血相を変えつつも、品を失わぬ歩容で懸命に城門から中へと急ぐリュークス嬢を見かけたので、あの健気な令嬢は時間的に陛下に対して手を下せる筈が無いと考えるとか、その前日までにマレーネ殿下の邸で会ったが、大事(おおごと)に備えているなどとはまるで思えぬ無邪気な笑顔でかつ慇懃丁寧な態度であったとか、国王陛下と妃殿下に引き立てられ可愛がられ、お二人をいつも尊敬と憧れの目で見詰めている可憐なリュークス嬢にはお二人を(しい)し奉る理由があり得ないとか、果ては、そもそも其処元の寄越された手配状にはリュークス嬢を怪しむ理由も証拠も上げられておらず何故このような疑惑が掛けられたのか訝しむと、むしろこちらを糾弾する文調のものまであった。

そしていずれも手紙の後半では、シェルケン家の者による関所や市街での横暴な行為について抗議の意が(したた)められていた。

近衛第三大隊長にいたっては、当日までの数日間の王城の門衛当番の近衛兵への聞き取り調査の結果、リュークス嬢は当日の事後まで全く登城していないことを証言したと門衛全員の名前まで挙げて書いており、この証言は近衛兵の自発的な申告によると付け加え、あまつさえ、リュークス嬢への誤解が残らぬようにと、この書状の写しを近衛将軍の許可を得てその名前で城内要所に掲示したとまで書いてあった。


「これでは逆効果ではないか! 小娘の評判は下がるどころか上がる一方で、儂の人気は台無しだ! デイン、どうするつもりだ!」


シェルケン侯爵は手紙をデイン子爵に押し付けて叫んだ。

デイン子爵も素早く目を通して言葉を失う。

その手から手紙を取って読んだフェッテがぽつりぽつりと零した。


「やはり、あの娘、近衛だけでなく貴族の中でも人気を博していたのでは……。父上、むしろあの娘をうまく取り込んで、ユークリウス殿下を引き込む手蔓とした方が良かったのでは」

「煩い! 小賢しい、できもしない後知恵を言うな!」


デインに怒鳴りつけられて、フェッテは黙り込んだ。

デインはこめかみに手を当てて体を怒りで震わせているシェルケンを振り返った。


「閣下、こうなっては止むを得ません。リュークス嬢の疑いは晴れたとの閣下の書状を各家に送るしかないのでは。リュークス嬢は白、もう一人は調査中、こちらからそう言いましょう」

「デイン、お主が言い出したことだぞ! 儂に恥の上塗りをさせようというのか」

「ですが、放っておけば、リュークス嬢の件はどうなったかと、次から次へと書簡が来るのでは。その上にもう一人の侍女のことまで詮索されたらまずいのでは」

「知らん! 儂の権威を落とすぐらいなら、放って置いた方がましだ! もう余計な口出しはするな!」

「閣下、申し訳ござらん」


デインが頭を下げたところにまた執事が入って来て、デインを睨みつけているシェルケンに言い難そうに声を掛けた。


「閣下、またお手紙が……」

「同じような内容なら、そっちで処分しておけ!」

「いえ、今回の件が毒殺の企みで流行り病でないのなら、容疑関係者以外の貴族までが邸に禁足させられる理由がわからない、速やかに容疑者の目星を証拠と共に明らかにしてそれ以外の貴族の行動を自由にせよ、との御要求です」


シェルケンは不愉快そうにしながら書簡を受け取ると乱暴に封を破って抗議文を読むと握りつぶした。


「ぐぬぬ」

「父上、むしろ貴族の行動を制限せず、彼等の権限を強化して、歓心を買って取り込みを急いだ方が良いのでは」

「……ハインツ、どう思う」

「いえ、その策は遅きに失しているかと。今から譲歩しては、こちらは甘いと足元を見られて次から次へと要求を吊り上げられ、閣下の宰相代理としての権限を蚕食(さんしょく)されて本末転倒になるかと。当初からであれば味方を増やす良策だったと思いますが」

「また後知恵か! ハインツ、ではどうせよというのだ」

「今はもうこのまま耐え、閣下の権威を上げることを別にお考えになるべきかと思います」


ハインツが静かに意見を述べると、フェッテが慌てて異論を述べた。


「ですが、放って置いては貴族の不満が溜まります」

「……止むを得ん。当日王城に出入りしていなかった下級貴族については、王都内に限って外出を認めよう。上級貴族の禁足令は当初の触れの通り40日経つまで継続だ。各家の誰かしらは当日登城していた筈だからな。それから兵達には、厳しく狼藉を禁じて行動を慎ませるべきか」

「ですが父上、農民上がりの田舎兵どもが素直に言うことを聞くかどうか。むしろ士気を落として逃散するかも知れません」

「ハインツ、どう思う」

「閣下、お味方する家が増え王都を完全に掌握できるようになるまでは、商人や庶民の心を失うべきではありません」

「ですが父上、兵が統率できなければ貴族共の動きを抑えられなくなります」

「……わかった。わが領からの兵の移動を急がせよ。貴族共に武力で圧力を掛けて黙らせるのだ。こうなってはブラウにも兵数を増やすように言おう。それまでの間は多少の混乱は止むを得ん。文句を言って来た貴族の邸は監視の兵を増やして圧力を掛けよ。それもこれもミンストレルを討ち取り、ユークリウスが失脚して儂の権威が上がれば黙り込むだろう。それまでは我慢だ」

「父上、治安はいかがされますか」

「こちらの兵の見回りは減らせ。部隊長が十分に鍛えたと言っていたから任せたが、所詮は農民上がりの浅ましい下衆共だ。目を離してはならんのだ。市中の治安は衛兵どもを働かせておけばよかろう。但し良いか、衛兵共に付け上がらせるな。連中に行わせるのはあくまで庶民どもの取締りだ。我が家の兵には手出しをさせんように厳しく言っておくのだ。全く、使えない下郎どもが」

「全くです、父上。どいつもこいつも、所詮近衛とは違うのです」

「フェッテ、今後、部隊長への命令はお前が行え。何かあったらお前が王都の兵の指揮を執るのだ。今から部隊長がお前に従うようにしておいた方が良いだろう」

「承知しました、父上。腕が鳴ります。近衛仕込みは一味違うことを見せて、厳しく指導してやります」

「うむ。事が終わったら、近衛でも中隊長、大隊長となるのだ。王女殿下の横に立ってもそれらしく見えるよう、せいぜい励めよ」

「はい、父上。楽しみにしております」



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