番外編:そして魔王は西より来る-9
前話後書きにて海外遠征から戻ってきた馬の検疫についての補足をいれてあります。
簡単に纏めると作中時間軸は未来で実質ファンタジーなので検疫の仕組みも変わっている、でゴリ押すことにしました。
ご指摘いつも本当に助かっています。これからもどうぞよろしく!
天皇賞(秋)part7
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
どうすんだこれ
もうまるで分からんぞ
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
馬券的には見だろうな
正直上位のどの馬が勝ってもおかしくないきがする
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
見とかいいだしたら今年の大阪杯からずっと見なわけですがそれは
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
腹括って3頭選べ
んで選んだ3頭BOXで3連単買え
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
上位ってなんやねん
3頭ってどれ選べっちゅーねん
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
2000が適性っぽいストームライダーライダーを
負かしたダイランドウを
負かしたスティールソードを
負かしたストームライダーを
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
ダイランドウ「宝塚はノーカン」
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
ラストラプソディー「せやな」
モデラート「せやせや」
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
週末晴れ予想だから持ち時計重視で考えると
ダイランドウ
ライダー
キャリオン
鉄剣
ラスト
軸に出来るのはこの辺だろう
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
このままだと3頭軸になるわけだが
諦めて単勝でがんばえーしようかな
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
いまのところオッズはライダーが一番人気か。
安田、毎日王冠と負け続けたダイランドウより上なのは不思議だ
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
ダイランドウは爆発がね……
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
強いのは認めるけどあの馬に大金はかけらんねーよ
見てる分には面白いが
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
わけわからん馬だよなダイランドウ
有馬はいけてなんで宝塚でああなるかね
その癖毎日王冠はちゃんと走りやがるからここで切るに切れねぇし
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
5ch的にはライダーとダイランドウなのかね
俺はスティールソード軸で買うけど
やっぱ安定感違うし
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
今年入ってから鉄剣は本当に強いな
といって戦績見直したら1月から無敗かよ
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
今年のクエス枠は鉄剣か
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
何を仰います我らがサタン様がいらっしゃるではないですか
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
はいはいサタン最強サタン最強
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
つまりS氏にかったことのある鉄剣が最強ということになるのでは?
名無しさん@競馬板 20NN/10/26
わかった。もうキャリオンから買う
はちくんがんばえー
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400m。
短いようで歩けばそれなりの距離。人の足で走ってみれば2分とかからない。
100mを5秒から6秒で走るサラブレッドならば、20秒少々で走破する。
放って置けば一日に数十キロの距離を闊歩するかれらサラブレッドにとって、400mという距離はあまりに他愛無い。
しかし明暗を分けるのもまたその距離だ。
不思議なことに、競馬というモノは400m距離が伸びるだけでそれぞれ全く異なる性質を見せる。
スプリント(1200m)、マイル(1600m)、チャンピオンシップ(2000m)、クラシック(2400m)、走るのは馬なのに、走る馬が全く違う。たかだか400mが彼らを篩い分け、その決着が首の差一つ、頭差一つで分かたれる。
そして今日もまた。
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《得てして競馬とは立場によって見方が全く異なると言われるものです。
我々実況は競馬場の一番高いところ、特等席からレースを観戦し皆さんにお伝えする立場にあるのですが、競馬の持つ本質的な部分からすると、それでも外野に位置します。
当事者とは誰か。馬産関係者、調教師、騎手、厩務員、そして馬。
今日、この日、東京競馬場には時代の名馬達が勢ぞろい、ええ、揃い踏んだと言って良いでしょう。名馬達が揃い踏みました。グレードレースとはグレードレースだから強い馬が集まるのではありません。強い馬が集まったからグレードレースとなったのです。
天皇賞秋。今日ほどグレード・ワンが持つ意味合いを強く意識した日はありません。異なる距離のプロフェッショナルが集まり鎬を削る、2000mへ距離短縮を行った創設の理念を体現するかのような馬柱。選りすぐりの俊英が集ったため回避が相次ぎ、なんと、出走頭数11頭での開催となりました。
出走する優駿達。己こそが強いとの自負を持つ各陣営。そして相手もまた強い。関係各所、一体どのような心境で今日の日を迎えたのでしょうか。線の内側には立ち入れない、外野の私では窺い知ることの出来ぬもどかしさ。
そして。
外から見ても結末が全く掴めぬこのレース。誠にお恥ずかしながら、私は前日より関係者達の心境に想いを馳せ、緊張の余りよく眠れませんでした。
或いは今日の日の結果がその後の評価の分水嶺となりうる一戦。
一本道の分岐点、東京2000mG1天皇賞秋間もなくスタートいたします。
申し遅れました。実況は私、黄島達也がお送りいたします。
さあ本馬場入場は既に終えており、出走各馬は東京競馬場2000m発走地点で輪乗りをして待機しております。
改めて本日出走する競走馬をご紹介いたしますと、
①番ラストラプソディー
②番アルカイド
③番ワンデイライミ
④番メイガスレンズ
⑤番モデラート
⑥番ストームライダー
⑦番ダイランドウ
⑧番グリムガムジョー
⑨番キャリオンナイト
⑩番グレーターミューズ
⑪番スティールソード
以上の11頭での競走となります。史上最も出走頭数の少ない天皇賞秋となりました。
しかしその密度足るや今更語るまでもないでしょう。
歴史に名を刻んだ短距離馬ダイランドウ、そしてそれぞれのエキスパート、プロフェッショナルを代表した馬達、中でも注目はこの2000mを最も得意とするストームライダーと、それを異なる距離とはいえ二度、この東京競馬場で退けているダイランドウとの争い。
そしてそれらを押し退け春の王者となったスティールソード。前年度覇者モデラート、無冠の強者キャリオンナイト、いやはや何と申し上げればよいのか。宝塚記念から場所を変え、また、あの激しい戦いが再現されるかのようなメンバー。ドリームレースは春と冬、宝塚記念と有馬記念がその創設理念を実現しておりますが、今年はこの天皇賞を含めて3度開催されたと言ってもよいのではないか、そんな風に思ってしまいます。
ゲート入りが始まっております。奇数番号はすんなり入り、現在偶数番号の馬がゲートに収められています。何分出走頭数の少ないレースですのでGⅠにしては珍しくすんなり進んでいる用にも感じます。
さあ場内のボルテージがざわざわと高まってまいりました。
ゲートインが今、⑩番グレーターミューズが収まり完了しました。
その結末やいかに。
府中ニーマル、伝説の戦い。
スタートしましたッ!
相変わらずの見事なスタートを決めたのはダイランドウ、そしてスティールソードもスタートから勢い良く飛び出していく。
ダイランドウ、グングン伸びる、1馬身、2馬身、コーナーを曲がってバックストレッチへ飛び出していきます。スティールソードは外目から位置を下げていく、今日は前目を行かないようです。代わって前に出るのはストームライダー前二頭は毎日王冠と同じ流れか。
3番手内に1枠①番ラストラプソディー、外にスティールソードがつけました。
さらに⑤番のモデラート、1馬身後ろに⑧番グリムガムジョー、切れて内⑩番グレーターミューズ、②番のアルカイド、メイガスレンズ、ワンデイライミこの辺りが集団となって固まり、最後方、今日も最後方から⑨番のキャリオンナイトといった体制。
向こう正面の中間ですが既に後方のキャリオンナイトは外から位置を上げ始めている、そして先頭に戻りましてダイランドウはリード2馬身、2馬身の位置でストームライダーはぴったりと追走していますこの辺りどういった判断か竹田騎手。
今1000mを通過が57秒3!
やはり猛烈なペースとなって3コーナー大欅の向うへ馬群が一度隠れます。
行けるのかやれるのかというより、やれるとこまでやってやるというような気炎が伺えるダイランドウ。今日はまだ平気、今日はまだ平気だダイランドウ間もなく4コーナーに差しかかるところだ!
さあ後方集団も差を詰めにかかる、前の馬は快速だモタモタしていてはおいつけない!
キャリオンナイトは4コーナー中間だがもう3番手集団にまで詰め寄っている、スティールソード、ラストラプソディーは経済コースだ内を行く、キャリオンナイトのピッタリ後ろにモデラート仕掛けにマークかこれは外に出す!
先頭ダイランドウが直線を向いた!
僅かに遅れてストームライダー! その差は1馬身、いやもう並びかけた!
外の方ではキャリオンナイトが猛烈な勢い!
馬場の真ん中スティールソードがラストラプソディーを伴って詰め寄ってくる!
三頭が前二頭を交わす! いや勢いがいいのは外キャリオンナイトか!
キャリオンナイト先頭にかわった! 八騎手の右鞭が入る!
しかし後続もまだ粘っている!
内ではダイランドウストームライダー!
馬場の真ん中スティールソードとラストラプソディー! 少し遅れてモデラート!
だが先頭はキャリオンナイト坂を駆け上がって残り200!
どうやら5頭に絞られた! 脚色ではキャリオンナイトか!
スティールソード細原騎手懸命に左鞭! ラストラプソディー川澄騎手も追いすがる!
キャリオンナイトがまだ先頭! リード1馬身を保ったまま!
このまま行けるかキャリ、きたきたダイランドウ!
今日は平気だダイランドウ! また盛り返してきた!
凄い脚! スティールソード等を交わして先頭に踊り出る勢い!
そしてストームライダーも突っ込んでくる!
交わした! これは交わしたか! 先頭! ダイランドウ先頭!
ストームライダーも迫る! いやもう抜き出たか!
竹田の鞭!
ストームライダー!
ストームライダーッ!
ストームライダー抜け出した!
1馬身!
ストームライダー!
2馬身!
ストームライダー! 振り切ってゴールインッ!
竹田が吼えたァ! 渾身のガッツポォーズッ!
借りを返したストームライダァーッ!
府中ニーマル征するはストームライダァーッ!
やはり強ォい! この距離では間違いなく強ぉいッ!
ざわめきの収まらぬ場内。あぁなんという事でしょう。電光掲示板にはまたしても、またしてもRの文字!
天皇賞秋はレコード決着! 嵐! 天皇賞に嵐が巻き起こされました!
勝ったのはストームライダー! 二着にはダイランドウ、三着は接戦――……》
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馬上、竹田は震えていた。
確かに今、一つを成し遂げた。
だが全てではない。まだこれは始まりに過ぎない。
「竹田さん、おめでとうございます」
黒い色の馬、恐らくダイランドウと鞍上国分寺であろう声。
竹田は力なく右手を掲げた。恥ずかしい話ではあるが、体力を消耗しすぎて腕を上げる事すら辛いのだ。この道に入って三十余年。衰えるはずだ、膝と言わず腕と言わず、手足が震えて言う事を聞かない。
国分寺は何かを察して頭を下げ、地下馬道へ取って返した。
ターフに残されたのは人馬が一つ。
勝ち馬のみに許された花道。
もたもたと、なんとかして身体を動かし馬首をスタンドへ向けた。
まともに合図を送れていないだろうに、意を汲んだ僚馬は背中の相棒を気遣ってゆっくりと走り出した。
「ごめんなアラシくん。涙で前が見えないんだ」
いいよ、とでも言うように頭が縦に動いた。
涙を拭うなんて格好悪い。それは彼の美学。ゴーグル越しならきっと気付かれない。
溢れる涙で曇った視界。たかが一勝。されど一勝。辛かった、この馬の敗北が身を切るように辛かった。竹一族の最強が無価値であると評されているようで。
「知っているかアラシくん。今日の君は一番人気だったんだ。こんなに沢山、大勢のお客さんが君に勝って欲しいと思っていたんだ。こんなに嬉しいことってないよ。僕らは何度も負けたのに、まだこんなに応援してくれているんだ」
彼らの世代で一番強い馬は誰か。
きっと紛糾するだろう。偉大な実績を残したダイランドウか、海外に蹄跡を残したサタンマルッコか、春を征したスティールソードか。
じゃあ一番格好いい馬は?
竹田としても不思議なほどに、ファンの心理は一致する。
ありふれた鹿毛の馬。小流星、両前肢微白。少し詰まった胴、しかし不思議とスラリと長く見える体躯。走る姿は鞠をつくかのように弾んで伸びる。
「ありがとうございます」
1コーナーからゆっくりと帰って来た。
この声は届かないだろうけれど、頭を下げればきっと伝わる。
《ラ・イ・ダー! ラ・イ・ダー! ラ・イ・ダー!――……》
彼らが願った彼らの勝利。
だって一番格好いい。だから一番勝って欲しい。
彼等を呼ぶ声がする。称える声がする。待ちわびたのだと声がする。
これが始まり。今こそここに名乗りを上げる。
俺たちが中距離王者だ。待っていろサタンマルッコ、次はお前だ。
右手が挙がる。
沸き立つ観衆。
この日初めて、ストームライダーは府中の花道を歩いた。
ふと武豊ってユタカコール受けたことあったかなぁと記憶を探るも思い当たらず
たぶんどっかで受けてるはずなんですがね
むしろ当たり前すぎて逆に印象残らない的な
次回更新はお空で戦ってくるのでちょっと時間が空きます
たぶん一週間くらい
あんまり音沙汰無かったら感想で催促してください(´・ω・`)意志薄弱




