SSS・夢のひととき
甘めなSSSです。
カレンが、私の背中にぴったりと身を寄せている。
なんとも柔らかく甘やかな感触に心が震える。
寝返りをうって、その姿を見たいこの腕に抱き締めたいという欲望が沸く。
が、ジェラルドはしばしこの状況を楽しむことにした。
ここ数日は恒例となった年末の晩餐会に次ぐ休暇で、妹一家がダヴィネス城へ滞在しており、カレンは楽しいながらも対応に追われていた。
妹一家は夕べ帰り、今日は久しぶりにゆっくりできるだろう。
まだ夜明けは遠い。
外は雪がしんしんと降り積もる気配がする。
「ん…」
背中のカレンがそのしなやかな脚を、ジェラルドの脚に絡めてきた。
恐らく暖を取るためだろう。足先が少し冷たい。
ジェラルドは細心の注意を払い、反転してカレンと向き合う。
カレンは眠ったまま、無意識にジェラルドの胸にすり寄った。
ジェラルドはカレンの甘い香りごと両手で抱き締める。
滑らかな背中からついと指を辿ると、ピクリと無意識に反応する。
可愛さにたまらず笑みが漏れる。
「……ん、ジェラルド‥?」
きつく抱き締め過ぎたかもしれない。
ジェラルドは瞬時に腕の力を緩めた。
「まだ朝は遠い…ゆっくりおやすみ、カレン」
「……はい」
小さな呟きと同時に、すうすうと安らかな寝息に変わる。
…このまま、ずっとこうしていたい…
まるで、世界に二人だけ存在するような感覚にとらわれる。
ジェラルドは、夜明けまでの夢のひとときを味わいながら、静かに瞼を閉じた。
今年の投稿はこれにてとなります。
今年はなろうへのデビューを果たし、お読みくださる皆様のお陰でありがたい一年でした。
本当にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
どうか良いお年をお迎えくださいませ……




