下剋上
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(国王視点)
やれやれ、いよいよ会議の日程が決まった。
(しかし、今まで偉そうにしていた他の国の王が媚を売ってくるのは中々爽快だったな)
奴らには『守りの樹』を貸し出す代わりに色々な要求を飲ませてやった。
(悪魔の陰謀を勝手に阻止してくれたし、本っ当、『守りの樹』は役に立ってくれるな)
今は多額の報酬と王宮でのもてなしに満足しているに違いない。次は爵位でもチラつかせながら働いて貰えばい──
「も、申し上げます!」
何だ、騒がしいな。
「どうした」
「はっ……メイドからの報告なのですが」
メイドからの報告ぅ?
「今朝、アドゥ氏とエリーゼ氏の部屋のベッドメイクをしにいったところ、既に二人共おらず、部屋に置き手紙があったとのこと」
へ……置き手紙?
「大臣、読んでみよ」
「ははっ、では……」
手紙の内容は至ってシンプルだ。“色々世話になったが、神器から使命が下されたので旅に出る。急に出て行ってすみません”といったものなのだが……
「何だと! 最初に行ってもらう国はもう決まってるんだぞ!」
実はもう対価は受け取ってしまってる。今更“『守りの樹』は旅に出ました”だなんて言えるはずがない……
「早く連れ戻せ! どんな手段を使っても構わん!」
「し、しかし神器から使命を出されたとあります。旅を止めさせては一体どうなるか」
大臣か! 全く分からず屋だな、お前は!
「大体『守りの樹』は冒険者です。そもそも他国に貸し出すという約束自体に無理があったのでは……」
やかましい! 我が国のギルドに所属してるんだ! ワシの言う通りに動いて当然だろ!
「とにかく連れ戻せ! 後のことはどうにでもなる!!!」
「は、ははっ」
※
「えっと、神器はこう言っていたんですね」
道中で手に入れた馬車に揺られながら、俺は昨日の夜にローアイアスから受け取ったメッセージをエリーゼに伝えていた。
「一つ目が、『仲間を集めよ』。神器を持つ人を探すということですよね」
「そうだ」
詳しい説明はなかったが、魔王や四天王と関わりがあるんだろう。
(確かにまたローガンと戦うことになるなら仲間が必要だな)
俺はもうローガンに会いたいとは思わないが、去り際の様子から考えるに向こうが諦めてくれるとは考えにくい。
「もう一つが『巫女エリーゼに試練を受けさせよ』ですね」」
「どうもそうらしい」
「私が巫女……それってどう言うことでしょう?」
「分からないな……」
ちなみに巫女のことはウィズに聞いても分からなかった。最もウィズはこの話を聞いた時、新しいおもちゃを手に入れた子どものような顔をしていたが。
「エリーゼは心当たりがあったりとか……」
「すみません、全く。母様が生きていれば何か手がかりがあったかも知れませんが……」
「エリーゼの里の他のエルフじゃ駄目なのか?」
まあ、あの里に行きたいわけじゃないが……
「母様は昔からの伝承やしきたりに詳しかったんです。でも他のエルフはそうではなくて……それが大樹の世話を怠っていた要因にもなってるようです」
「そうか……」
昔ながらのエルフ至上主義の癖に伝承やしきたりは知らないのか
(重視するのは都合のいいとこだけってことか)
まあ、誰でもそうか。残念だけど、近道はないということか。
「地道にヒントを探していきましょう。私、アドゥさんとゆっくり世界を見て回りたいです」
そう言うと、エリーゼは俺の腕を取った。確かに色々見て回るのは楽しそうだな。
「じゃあ、ぼちぼち行くか。とりあえず次は隣国のミラリス大公国だな」
「はい! 確か綺麗な海のある国ですよね」
そうなのか。まあ、観光も楽しみつつみたいな感じでいいか。
こんな感じで俺達はルーンガイア王国を出た。
この時は精々旅を再開したくらいにしか思ってなかったが、後になって思えば、俺達の下克上はここから始まったのだった。
読んで頂きありがとうございました! 現在、この連載から得た経験を生かし、新作を構想中です。連載がいつになるかは分かりませんが、また目を通していただければ嬉しいです。




