全てが終わって……
ブクマ、ポイントありがとうございます! まだの方はもし頂ければ、嬉しいです……もう、ホントに。
ローガンの企みが明らかになった後、ネアポリスには激震が走った。あまりに衝撃的すぎて信用されないんじゃないなと思ったのだが、幸いなことにそんなことにはならなかった。
(大した証拠はなかったのに、すごい剣幕で調べ始めるんだもんな……)
俺は知らなかったが、魔人に関する研究は大罪。そもそも『魔人』という言葉自体知っていてはいけないものだったのだ。
ちなみに、それを知っていたセシル達は知らぬ存ぜぬで切り抜けようとしたのだが、ここで誤算が起こった。セシル達は人間に戻ったとはいえ、魔人だった痕跡は残っているらしいのだ。
(いくら神器でも魔人だった痕跡を一瞬で消したりは出来ないよな……)
セシル達も正直に言えば、減刑して貰えたのだが、嘘をついたせいでローガンの仲間ではないかと疑われたのだ。
(まあ、誤解が晴れたのは良かったけど)
それでも嘘をつき、隠そうとしたことは立派な罪。然るべき治療を受けた後、罪を償うことになるとのことだった。
(それにしても凄い待遇だな)
俺が今いるのは王宮の一室。四天王の企みを暴き、魔人を消滅させた俺達は賓客としてもてなしをうけているのだ。
(しかし、いつまでここにいなきゃいけないのかな)
生活に不満がある訳じゃないが、出ていこうとすると何故か周りの人達から“もう少しここでお過ごし下さい”と言われるのだ。何でかな……
「あの……アドゥ様。またこれが……」
声をかけてきたのはこの部屋の管理をしてくれているメイドだ。
(またか……)
差し出された封筒を受け取った俺はため息をついた。これで何通……いや何十通目だろうか。
「直に会って断らないと駄目か」
俺は気乗りのしない用事が出来たことに再びため息をつきながら出かける支度をした。
※
「おおっ! やっぱり来てくれたんだな! 俺は信じていたぞ!」
そう言って駆け寄ってきたのはセシルだ。最もセシルは牢に入れられ、足枷までついているので俺に近づくことは出来ないんだが。
「アドゥ、会いに来てくれてありがとう!」
「感謝感激」
同じようにニノとシオンも鉄格子にしがみつく。ニノとシオンが入っている牢はセシルの牢と向かい合わせになっているのだ。
「パーティの件、受けてくれるんだよな?」
「あ、いや──」
「勿論リーダーはアドゥだ。アドゥを追放するなんて俺が馬鹿だった。アドゥがいたから俺達はAランクになれたというのに!」
セシルが芝居がかった様子で壁を叩くとニノとシオンは深々と頷いた。
「そうよ! 大体高速種が現れた今はタンクがパーティの要。攻撃なんて二の次だわ! アドゥの戦い方こそ最先端なのよ!」
「怪我を負わないことこそ、冒険者にとって最重要。だからアドゥは冒険者として最高の資質を持っている」
俺を追放したときとは打って変わった三人の態度に俺は内心ため息をついた。
「でも、今は収監されてるじゃないか。冒険者としての活動は出来ないぞ」
「ま、まあ、パーティを組んで貰えさえすれば状況も変わ──」
ニノがそう言いかけると、慌ててシオンが割って入った。
「冒険者としての活動は罪を償ってからでいい。今回私達は自分達の考え違いを悟った。だから、まずはそれを正したい」
「そうだ。俺達はアドゥがいたから攻撃に専念出来ていたんだとようやく気がついたんだ。虫がいいと思うかも知れないが、俺達との仲に免じて許してほしい」
今回の事件の功労者である俺達のパーティに入れば減刑もあったり……という打算はありつつも、基本的には俺の果たしてきた役割についてやっと理解したらしい。
「で、手続きの段取りだが──」
「セシル、悪いが再びお前とパーティを組むつもりはない」
「なっ!」
「俺には新しい仲間とパーティを組んでいるからだ」
「だからそこに俺を……」
「それは無理だ」
「何故だ? やっぱり追放したことをまだ恨んでいるのか!? それは謝ったじゃないか。必要なら幾らでも謝罪するから!」
そう言うと、セシルは急に土下座をしてみせた。だが……
「勿論それが全くないわけじゃないが……」
そう。理由はべつにある。
「セシル、俺とお前では相性が良くなかったんだよ。俺ではお前の良い所を引き出せないし、お前では俺の良い所を引き出せない。ただそれだけなんだよ」
「ううう……」
俺の言葉に動かぬ決意を感じてセシルが唸る。すると、今度はニノとセシルが口を挟んで来た。
「ねえ、私達はいいのよね! あの女は攻撃魔法も回復魔法も使えないし」
「物理攻撃ならアドゥが出来る。セシルが不要なのは納得!」
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