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冷徹皇太子の唯一の公女  作者: はるさんた


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第24話宮廷での公式食事


婚約式から数日が経った宮廷の朝。

アメリアはクリーム色のドレスに身を包み、胸元には婚約式でも輝いた小さな宝石をあしらったネックレスを着けていた。

裾のフリルが歩くたびに光を反射し、肩にかかる薄いヴェールが上品に揺れる。


「……まだ少し緊張するわ」

鏡の前で深呼吸をするアメリア。

婚約式を終えたばかりとはいえ、今日は陛下と王妃との公式な食事であり、宮廷の貴族たちも同席する重要な場だった。


「大丈夫だ、アメリア」

リュシアンが背後で低く囁く。

その声にアメリアの胸は少し落ち着く。

「リュシアン様……」

「今日はお前の落ち着きと品格を見せる場だ。俺がそばにいる」


二人は大広間へと歩を進める。

扉を開けると、堂々とした威厳ある陛下と優雅な王妃が笑顔で迎えた。

「リュシアン、そして婚約者のアメリアさんですね」

陛下の深く穏やかな声に、アメリアは思わず深く頭を下げる。

「はい、よろしくお願いいたします」


リュシアンはアメリアの肩に手を添え、そっと支える。

「誰もお前を困らせはしない」

低く囁かれ、アメリアは少し頬を赤らめる。


食卓には宮廷料理の数々が並び、緊張の中で会話が始まる。

陛下はアメリアの礼儀正しさと落ち着きに感心し、王妃もその品性に微笑む。

「婚約式の時もそうでしたが、今日の振る舞いも見事です。リュシアンも誇らしく思っていることでしょう」


アメリアは緊張の糸を少しずつ解き、微笑みながら応じる。

「ありがとうございます。陛下、王妃様に祝福いただき、とても光栄です」


周囲の貴族たちも、婚約式での華やかさと今日の落ち着いた振る舞いに目を奪われ、次第に好意的な視線を向ける。


時折、リュシアンはアメリアの手を握り、耳元で囁く。

「今日もお前は美しい……誰よりも輝いている」

アメリアは頬を赤くしながらも、自然と笑顔を返すことができた。


食事の終盤、陛下が微笑みながら話す。

「婚約者同士の絆は宮廷の安定にも大きく関わる。お互いを思いやる心を大切になさるのだぞ」


リュシアンはアメリアをそっと抱き寄せ、耳元で囁く。

「俺はお前から決して離れない。誰にも渡さない」


アメリアはリュシアンの胸に顔を寄せ、心の中で小さく頷いた。

宮廷の喧騒の中でも、二人だけの静かで甘い時間が、確かに広がっていた。





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