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冷徹皇太子の唯一の公女  作者: はるさんた


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第22話 仕事場での独占――見せつける殿下と怒るアメリア


午後の宮廷は少し落ち着き、静かな空気が漂っていた。

リュシアンはアメリアの手を軽く握り、低い声で告げる。

「今日は……少し、君を俺の仕事場に連れて行く」


「えっ、殿下……仕事場ですか? そんな……急に……」

普段はおしとやかなアメリアも、少し驚き、眉をひそめる。

リュシアンは微笑むどころか、真剣な表情のままアメリアを自分の側に引き寄せた。

「他の者に、君が俺のものだと分からせたいだけだ」


「そ、そんなこと、勝手すぎます!」

アメリアは小さく抗議する。手を振りほどこうとするが、リュシアンの手は温かく、でも確固たる力で彼女の手首を包んでいた。

「怒る顔も可愛いが……」

リュシアンは耳元で低く囁き、アメリアの肩に手を回す。

「俺の前では常に俺のものだと自覚してほしい」


「殿下……! そんなこと、勝手に見せつけないで!」

アメリアは頬を赤くしながらも声を張る。

リュシアンは微動だにせず、しかしその目は独占の意志で燃えている。

「構わない……君が俺のそばにいるときは、誰も君を奪えない。それでいいだろう?」


廊下を歩くたびに、使用人や侍従の視線が二人に注がれる。

赤いドレスを纏ったアメリアの存在は、光の中でひときわ輝き、リュシアンの腕に抱かれた姿は誰が見ても目を奪われるものだった。


「殿下……私、こんなふうに見せられるの……恥ずかしいです!」

「恥ずかしがる必要はない……君は俺のものだ、周囲に知られるくらいで何も問題はない」

リュシアンの言葉は冷たくも力強く、周囲に触れさせない圧力を放っていた。


アメリアは小さく歯を食いしばる。

(殿下……もう、なんでこんなこと……!)

しかし心の奥は甘くドキドキしてしまう。

「……殿下、少しは私の気持ちも考えて!」

「考えている……だからこそ、誰にも渡さない」


仕事場に到着すると、整然と並ぶ書類や地図の間で、リュシアンはアメリアを自分の隣に立たせた。

「ここが……殿下の……」

アメリアは少し緊張しつつも、胸の奥が高鳴る。


「誰も君に触れさせはしない……俺のアメリアだ」

リュシアンは強く手を握り、額に優しくキスを落とす。

アメリアは怒りながらも、甘い感情が抑えきれず、思わず唇を軽く重ね返す。


「殿下……もう、意地悪なんですから!」

「可愛い……だから、俺だけのものだ」

低く囁き、耳元や頬、額に軽くキスを落とすリュシアン。アメリアは少し拗ねた表情で体を反らそうとするが、結局は彼の腕の中に甘く沈み込む。


中庭から差し込む午後の光が、赤いドレスのアメリアを照らし、周囲の誰も近づけない二人だけの空間を作り出す。

「殿下……もう、ちょっとくらい……自由にさせてほしいんです!」

「自由? 君は俺のものだ、俺のそばにいるときは……他の者に渡せない」

その言葉にアメリアは思わず口をつぐみ、胸の奥で甘くドキドキしながらも、少し怒り混じりの視線をリュシアンに向ける。


リュシアンは微笑みながらも、独占欲は隠さず、アメリアの髪を指で撫で、額にキスを落とす。

「もう……殿下……やりすぎです!」

「いや……君が可愛いから、仕方ないだろう」

甘くも独占的な言葉に、アメリアはつい頬を赤くし、心の奥でこの状況を受け入れてしまう自分に気づく。


午後の光の中、二人の甘く少し喧嘩っぽい時間は、独占欲と愛情が入り混じり、宮廷の中でも誰にも割り込めない濃密なものとなった。

アメリアは胸の奥で確信する。

(私は……怒っていても、やっぱり離れられない……)


喧嘩させようと思ってるのに

喧嘩にならない(ʘᗩʘ’)

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