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冷徹皇太子の唯一の公女  作者: はるさんた


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第10話 囲い込みたい想い


宮廷の午後、静かな廊下に二人の足音だけが響いていた。

アメリアはリュシアンの隣を歩きながらも、遠くからちらりと視線を感じる。

数人の若い貴族たちが、好奇そうにこちらを覗き見しているのだ。


「……アメリア、気づいているか?」

リュシアンが低く、少し怒ったように囁く。

「え……? 何のことですか?」

「君を――あの者たちの視線に晒すわけにはいかない」


アメリアは驚き、思わず彼の腕に手を添える。

「殿下……?」

「君は、私のものだ。誰にも触れさせたくない」

リュシアンの瞳は真剣で、そしてどこか甘く熱を帯びていた。


廊下を歩く二人に、貴族たちの視線がますます集まる。

「アメリア様、殿下の隣で……まるで特別扱いですね」

「殿下は普段冷徹なのに、驚きです」


リュシアンはその声に気づくと、そっとアメリアの手を握り、腕を自分の腰に回した。

「ほら、私の隣にいる。誰にも近づけない」

アメリアの頬は赤く染まり、鼓動が早まる。

(殿下は……私を…………?)


廊下の先に広間が見え、他の貴族たちが集まっているのがわかる。

「君は私が守る」

リュシアンはアメリアの手を引き、広間を避けて短い小道へと進む。

「誰も君に触れさせはしない。私だけの、アメリアだ」


アメリアは息を呑み、言葉を失う。

胸の奥で甘く熱い感情が渦巻く。

嬉しさと恥ずかしさが同時に押し寄せ、自然と顔を彼の胸に向ける。


「殿下……」

「うむ、私の言葉を忘れるな。君は私のものだ」

リュシアンの声は低く、静かに響く。

その瞬間、廊下のざわめきも、貴族たちの好奇心も、すべて遠くに消えたように感じられた。


アメリアは静かに頷き、心の奥で小さくつぶやく。

(私は……殿下にとって、本当に特別なんだ……)


午後の光の中、二人だけの世界が静かに広がる。

リュシアンの独占的な優しさに包まれながら、アメリアは初めて、自分が誰よりも大切にされていることを実感した。


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