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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
魔王領訪問編
91/103

作戦会議

 魔王城捕虜の牢屋にて、日和たちのクラスメイトが収監されていた。

 伊地知は悪態をつく。


「あの裏切り者が……。魔王の味方なんぞしやがってよ」

「とても強かったね。先にこっちに来てた分経験もあるんだろうし……魔王を相手取るにはまずアイツをどうにかしないと」

「でもあの二人に俺ら全員やられたんだぜ? 能力使う隙もなく。どうすんだよ」


 伊地知は頭を回す。


「おい倉森。アイツのスキルは鑑定出来たかよ」

「うん。一応……」

「なんだった?」

「片方は身体能力の超強化、片方は魔力量膨大ってスキルだった」

「あん?」


 伊地知は違和感を感じた。


「あの場にはあの二人だけだったろ。志島はともかくなんであのガキにスキルがあんだ?」

「わかんない。スキルを発現してるのは異世界から来た俺らだけなはずだし」

「ふぅん……」


 伊地知は少し考えることにした。

 あのガキにもチートスキルが存在することが判明し、そっちの対策もせねばならない。

 

 あのガキ、アメストリアとか名乗ってたけど偽名か?

 志島と仲が良かったな。なんて考えて。


「……あのガキがもしかして巻島か?」

「あり得なくない? 巻島くん男の子だよ?」

「あぁ……。でもここは異世界だぜ? 女になっちまうってのもあながちありうることだろ」

「そういう趣味あったんだ巻島……」


 実際は強制的に変えられたのだが。

 

「お前は何か知ってるか? 小野瀬」

「知らないよ。ってかそうだとも限らなくない? もしかしたらこの世界にはこの世界の住人でありながらスキルを持ってる子もいるかもしんないし?」

「ねぇよ」

「それより小野瀬。お前だけ遅れて収監されてたけど何かされたのか?」

「尋問だよ。拷問に近かったと言えばいいかな。意識があるのは私だけだったから問いただされたんだ。あ、もちろん口は割ってないよ」


 嘘だ。

 小野瀬は頭の中で非常に焦っていた。何かよからぬことが起きそうな予感がしている。

 小野瀬自身、既に帝国につくつもりは毛頭なく、どうせならこっちに戻って色々と情報を集めるつもりでいた。


「あ、ならさー。この手はどーお?」


 クラスメイトの一人、小林 紗奈が口を開く。


「志島をこっちに無理やり引き入れんだよ」

「どうやってだよ」

「そりゃ洗脳っしょ。志島バカだから効くんじゃない?」

「洗脳か……。やってみる価値はあるな。あれを味方にできたら百人力にも程があるぜ。高島! お前洗脳系のスキルだったよな?」

「そうだけど……や、やるのぉ?」

「やらなきゃ勝てねえよ。お前が頼りだぜ?」


 小野瀬は非常に不味いと感じていた。

 日和からへきるには毒が効かないと聞いていた。身体能力の向上は内臓も例外ではなく毒を無効化するらしい。

 ただそれはあくまで身体。

 精神攻撃までは無効化はきっと出来ない……。


「……毒を飲ませて眠らせてからにした方が良さそうだね」

「そうだな……。って、バカか?」

「えっ?」

「身体能力の超強化……。ってなると内臓だって強化されてる可能性もあんだろ。毒は使えねえよ」


 こういうのには頭は回る伊地知。

 小野瀬の心には焦りが生まれてくる。が、もうこれ以上発言すると怪しまれそうだったので口をつぐむ。


「じゃあ不意打ちだねー。でも隣にはあの巻島くん(仮)もいるよ? どーすんの?」

「あれは雑魚だ。魔法しか使えねーんだったら対処はいくらでもあんだろ。なぁ佐々木」

「まぁ……ね」


 伊地知は作戦を立て、相談する。


「決行は明日。明日脱獄した騒ぎでまずは魔王軍のやつらをバラけさせる。俺、佐々木、高島、矢原は志島のところに向かう」

「オッケー」


 クラスメイトは翌日に備えて目を瞑る。

 小野瀬にも役割が与えられた。が……小野瀬自身はすでに心はこっちにない。

 どうにかして伝えたいが、看守に伝えようものなら大声で看守を呼ばなきゃいけなく、起きられる。

 

 紙もペンもない。


「どーしよっかなぁ……」


 このことをすぐに伝えたいが手段がなかった。












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