文吾とミツ、拘束
俺たちは冒険者ギルドを訪れていた。
冒険者ギルド内を見渡し、俺らはミツと文吾を見つけた。
「ミツ、文吾」
「ん、日和ちゃん? 久しぶりだね」
「おう久しぶり……。じゃなくてだな。ちょっといいか」
俺は二人を呼び出した。
二人を外に連れ出し、王国騎士の詰め所のほうに移動した。二人には一応魔法が使えなくなる魔封じの腕輪を装着させてもらう。
「え、なにこれ? 何が始まんの?」
「ちょっとな。問題が発生した」
「問題?」
「帝国に召喚された勇者だろお前ら」
「うん、そうだけど」
「その帝国が何か企んでるんだよ」
「……マジ?」
「マジ」
「で、さすがに帝国から来たお前らを黙ってるわけにはいかず……。俺も一応この国の人間として身を置いてるからな」
俺は帝国の状況と今現在の状況を説明した。納得したようにそうかという渋い顔をしていた。
「今まで黙ってくれててありがとね……」
「真偽はどうか俺らには判断できん。国としてはお前らが内通しているという可能性も考えてる」
「してねえって否定はさせてもらうけど……したところでだよな」
「信じるに値するものがないね」
二人はきちんと今の状況を理解したらしい。
抵抗すらせず、ただただ椅子に座っていた。へきるはこういうの苦手だから外で見ていてもらってる。
「俺も同じ世界から来たやつにこんなことしたくねえけど……。しばらく拘束させてくれ」
「……わかった。じゃあ、しばらく冒険者家業は休止だな、ミツ」
「まだしてたかったけど仕方ない……。僕たちが拘束されてるだけでいいならそれでいいよ。死にはしないんなら……」
「ああ。牢屋にでもはいるのか?」
「いや、王子曰く監視の上で生活してもらうそうだ。部屋は用意するとのことらしい。少しでも怪しい行為や逃げ出したりしたらその時点でクロと認定する……って言ってる」
「しねえよ。……なんで俺らは帝国に召喚されたんだかな。追放されて怪しまれて……俺の異世界ライフ、前途多難すぎね?」
「僕も女の子にさせられてるし……! 前途多難にもほどがあるよ!」
そこで怒られても。
「仕方ねえことなら受け入れる。抵抗したところで無駄だろうしな。で……さすがに毎日鞭で叩かれたりとかそういうひどい待遇はない、よな?」
「ないんじゃない?」
「そこははっきりしてくれよ。俺にマゾ嗜好はねえから」
「俺そこまで聞いてないし……」
「……なるべく叩かれるんだとしても綺麗なお姉さんで頼む。むさいおっさんだけにはやらせないでくれ」
「……」
「今お前そういう状況ちょっと面白そうとか思っただろ」
すいませんちょっと思いました。
文吾は顔立ちは整っている。そういうやつがむさいおっさんに鞭で叩かれるのはなんとも滑稽で……。いかんいかん。男の時の俺の顔が普通だったからってそういう妬みはよくないぞ。
「じゃ、連れてってもらうから」
「ふふん。あたしが連れてくわよ」
「え゛っ」
ムキムキのマッチョのオカマが扉を開けてやってきた。名前はジョマー。彼は男なのだが好きな人は男というなんとも精神的に来そうな人。
ジョマーさんは文吾の体をつかむ。もう一方は女性の凛々しい騎士でアイナという貴族の女性騎士。アイナさんは優しくミツの手を取り、連行していく。
「ちょ、おい、日和! 俺そっちのお姉さんがいい! こっちの人はちょっと怖い! 掘られる!」
「んふっ、そんな固くならなくていいのよ。ああ、そっちは別に硬くなっても」
「え、や、やめ……! ちょ、拷問始まってるって! 連れていかれるのは本当にミツと同じような部屋だよな!? 決してそういう部屋に連れていかれるわけじゃないよな!?」
「お望みならそっちでもいいのよ。あなたの顔、超タイプ」
「ひいぃ~~~~……!」
「……頑張れ!」
「お前知ってて黙ってだろ! ちょ、今からでもチェンジ……!」
「やーねぇ。失礼よ~」
ずるずると引きずられてジョマーと一緒に文吾は出ていった。
強く生きてくれ。騎士団長が直々に命令したのが彼だったんだ。ジョマーは命令に忠実な優秀な騎士……なのだが若い男性の心をたくさんへし折ってきた問題児だそうだ。
俺も男だったら狙われてたかもしれないと考えると女の子になって初めてよかったと思います。
ジェンダー問題とか作者はまったく気にしてないので文句は受け付けてません。と予防線だけは張っておきます。




