第13話 スキルレベルアップと次なる道標
ドラゴンギアLv.1と『異世界物流システム』スキル。
この二つを手に入れてから、
俺たちの『ケンタ運送』(仮)の仕事ぶりは、
以前とは比べ物にならないほど効率的かつ安全になった。
もちろん、課題は山積みだ。
Lv.1の装備は脆く、積載量も少ない。
スキルだってまだLv.1。
表示される情報はありがたいが、それが全てではない。
最終的な判断を下すのは、常に乗り手である俺自身だ。
「よし、リュウガ、今日も一日頑張るぞ!」
「グルゥ!」
朝一番、俺はリュウガに声をかけ、
試作ギアを装着する。
リュウガもすっかりこのルーティンに慣れた様子で、
おっとりしながらも協力してくれる。
スキルウィンドウを起動し、
今日のリュウガのコンディションとギアの耐久度をチェック。
問題なし。
(よし、まずは市場で仕入れた新鮮な果物を、
街のレストランへ届ける依頼からだな。
衝撃注意、スピードは中速で…)
俺はスキルに情報を入力し、
最適なルートと飛行プランを確認する。
リリアさんに手伝ってもらい、
果物が傷まないように丁寧にカゴへ積み込む。
「ケンタさん、最近、依頼が本当に増えましたね!」
リリアさんが嬉しそうに言う。
「ああ、これもリリアさんの口コミと、
リュウガのおかげだよ」
「そんな…私は何も…。
でも、ケンタ運送の評判、すごくいいですよ!
『他のどこに頼んでも断られたのに、
ケンタさんとこだけは引き受けてくれた』って、
感謝してる人がたくさんいます」
その言葉は素直に嬉しかった。
俺たちがやっていることは、
確実にこの街の人々の役に立っているのだ。
依頼を一つ、また一つとこなしていく。
緊急の手紙、
壊れやすい工芸品、
鮮度が命の食材…。
様々な荷物を、スキルで最適なルートと方法を割り出し、
リュウガの翼で迅速かつ安全に届ける。
経験を積むにつれて、
俺のスキルウィンドウの扱いも上達してきた。
最初は表示される情報に一喜一憂していたが、
今ではそれを冷静に分析し、
自分の経験と勘(前職で培った現場感覚!)を加味して、
より柔軟な判断を下せるようになっていた。
(スキルではこのルートが最短だが、
午後は山沿いで乱気流が発生しやすい。
少し遠回りでも、谷間ルートの方が安全か…)
(この依頼主は時間に特に厳しい人だ。
到着予測時刻より少し早めに着くように、
スピードを調整しよう)
(ギアの耐久度が少し落ちてきたな…
今日の長距離依頼は断って、明日に備えよう)
リュウガとの連携も、
ますますスムーズになっていく。
俺が考えた飛行プランを、
リュウガは的確に理解し、
その驚異的な飛行能力で実現してくれる。
時には、俺が気づかないような微細な気流の変化を捉え、
より安定した飛行をしてくれることもあった。
言葉は通じなくても、
俺たちは最高のパートナーになりつつあった。
そんなある日、
少し難易度の高い依頼を終え、
リュウガと共に拠点へ戻った時のことだった。
いつものようにスキルウィンドウで依頼完了報告を確認しようとした瞬間、
目の前のウィンドウが、
これまでとは違う眩い光を放ったのだ!
【 ピロリロリロリン♪♪ 】
《『異世界物流システム』のレベルが上がりました!
Lv.1 → Lv.2》
《スキル機能が拡張されました》
《称号『ドラゴンライダー(見習い)』の練度が上昇しました》
《称号『零細運送ギルドマスター』の練度が上昇しました》
「うおっ!?
レ、レベルアップ!?」
思わず叫んでしまった。
まさか、このスキルにレベルアップの概念があったなんて!
慌てて新しいスキルウィンドウを確認する。
【異世界物流システム Lv.2】
現在のステータス:
運送ギルド名: ケンタ運送 (仮)
拠点: ボロ小屋 (リンドブルム郊外)
人員: ケンタ (マスター), リュウガ (エース輸送員),
リリア (協力者/受付見習い), ギド (協力者/装備開発担当)
所持金: 銅貨 400枚
輸送能力:
積載量: 小型 (網カゴ / 約55kgまで) [↑UP]
積載物: 一般貨物 (常温 / 衝撃注意)
スピード: 高速 (リュウガ本来の速度 / 装備による若干のロスあり)
運送距離: 中距離 (ライダーの体力と装備耐久度に依存)
稼働時間: 短~中時間 (連続飛行は4時間X30分程度が限界) [↑UP]
信用度: C- (確かな実績が評価され始めている) [↑UP]
装備: ドラゴンギア Lv.1 (試作型 - 鞍、腹部懸架式荷物カゴ)
現在の目標:
ドラゴンギア Lv.2 (アダマンタイト、グリフォン腱、ミスリル銀が必要)
特殊コンテナ (深淵の水晶が必要)
安定した収入の確保
拠点の拡張
マイルストーン:
(達成済みマイルストーンは省略)
[次のマイルストーン: 疾風の迷宮にて素材確保 -
推奨攻略レベル:15 / 現在パーティーレベル:8 (推定) ] [NEW!]
新機能:
簡易飛行ログ: 過去の飛行ルートと所要時間を記録・表示。
簡易マップ: 飛行したエリアの地形情報を記録・表示。
素材情報(一部): 目標素材に関する基本的な情報
(推定生息地、特性など)を表示。
「すげえ…!
レベルアップでステータスが上がってる!
積載量と稼働時間が増えたのはデカいぞ!」
Lv.1ギアのままでも、
扱える重量や飛行可能時間が少し伸びたようだ。
これは、俺とリュウガの練度が上がったことが
反映されているのかもしれない。
信用度も上がってる!
そして、新機能!
「飛行ログとマップ!?
これがあれば、ルート開拓や危険地帯の把握がもっと楽になる!
素材情報まで…!」
ウィンドウを操作してみると、
確かに過去に飛んだルートが線で表示され、
簡単な地形情報も記録されている。
素材情報には、アダマンタイトの硬度や、
グリフォンの主な攻撃方法などが簡潔に記されていた。
さらに、マイルストーンの項目には、
ダンジョン攻略に関する新たな情報が追加されていた。
(推奨攻略レベル15…?
現在パーティーレベル8(推定)…って、俺たちのことか?
まだ全然足りないじゃないか!)
レベルアップで浮かれていた気分が、
少し引き締まる。
やはり、ダンジョン攻略は生半可な覚悟では挑めない。
もっと経験を積み、そして何より、
装備を強化する必要がある。
だが、落ち込んではいない。
むしろ、やるべきことがより明確になった。
このスキルは、俺たちの進むべき道を照らしてくれる、
まさに『道標』だ。
「リュウガ、見たか?
俺たち、レベルアップしたぞ!」
俺は隣にいるリュウガの首を興奮気味に叩いた。
リュウガは「グルゥ?」と不思議そうな顔をしていたが、
俺の喜びは伝わったのか、嬉しそうに喉を鳴らした。
「よし、目標レベル15を目指して、
もっと依頼をこなして経験値を稼ぐぞ!
そして、必ずダンジョンを攻略して、
最高の装備を手に入れるんだ!」
スキルレベルアップという新たな力を得て、
俺たちのモチベーションはさらに高まった。
Lv.1の翼は、まだ頼りないかもしれない。
だが、確かな目標と、信頼できる相棒がいれば、
どこまでも飛んでいけるはずだ。
『ドラゴン便』の未来は、明るい…はずだ!




