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異世界へのすゝめ  作者: 相坂ねび
4章 いざダンジョンへ
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腐臭への対策法

 ダンジョンに入ってから今日で3日目だが攻略は順調で地下20階のセーフティエリアに到着した。


「あー!やっとゾンビとおさらばだぞ!」


「対して強くはないがあの臭いがな…ワタリ、シャワー出してくれ。先に浴びてしまいたい。」


「私は2人の後で大丈夫よ。ワタリの近くにいたおかげで臭いも飛沫もこなかったし。」


 とりあえずシャワー室を2個設置した。複数作っといてよかった…風呂とか持ってこれたらいいんだけど…ダンジョンではなんか違うよね…食事の準備は気分が悪いだろうから少し時間置いてからのがいいか。ちょっと服が埃っぽいから洗浄するかなぁ…替えの服を着て、水球を作って服をポイポイっと。洗剤はないけど魔力と水を操れるんだから繊維のすき間からも汚れは取れるね!匂いは香り付けが必要なのかもしれないけれど…あとは染みとかはこれ抜けるのかな…あ、意外といけそう。あとは風と火で温風の空間を作ってと。これは結構物語でも出て来る組み合わせだよね。魔法を複数使えるなら試すと思う。


「ワタリ…それ私の服もしてもらえないかしら?流石に気分的にもだしそろそろ着替えておきたいの。」


 現地人は複数の魔法を操るのが苦手みたいなんだよね。属性ごとに得意不得意があるみたいで、僕みたいに色々と使ってはいないという。たしかに流れ人のように成長が速くないなら上げるスキルは限られてくるんだろうなぁ…

 僕が新しい水球を用意しているとリディさんが服を脱ぎ始めた!?とりあえず背を向けておいてっと…


「関係が進んだんだから見ても良いのよ?」


 我慢できなくなるので誘惑するのはやめてください…女性も冒険後は発散したくなるほど滾るのでしょうけど、ある意味このダンジョン攻略への願掛けって感じで我慢させてもらいます。


「確かに気が緩む可能性もあるし、満足しちゃってモチベーションが低くなるかもしれないわね…それなら私も我慢するわ。服をこの水球に入れればいいのよね?」


 僕が頷くとリディさんは水球に服を入れた。地味にこれは僕の魔力操作練習にもなるから良いんだよね。どの行動にもなんらかの意味を持たせることで成長につながるって考えると物事に対して変わるんだよね。何も考えないと雑用で気がだるいとかなっちゃうし。

 男だとこの水球の中で回っている下着がすっごく気になっちゃうんですが…目をつぶってればいいんだろうけど汚れ具合を確認して大丈夫なら乾かさないとだし辛い…


 作業が終わったころにザインさんとアグスさんがシャワー室から出てきた。


「あー!ほんとワタリが居てくれて助かる!シャワーがないと飯すらまともに食えそうにないからな!」


「いやー、いつものことながら参るね…」


「普段はこの15-19階の攻略、どうしてるんですか?」


「普段は一度戦ったら臭いや汚れ気にしてもしょうがないからちゃんと探索すませて進むぞ。女もすっごい臭いさせるからな。ダンジョンから帰還した冒険者を地上では隔離するってのもある。」


「隔離というか汚れを落とさせる施設ね。それでも数日臭いが落ちなくて生活に影響あるけれど…」


「だから王城から出る冒険者に絡むのはマナー違反な部分もある。女としてはそんな臭いに耐えられないだろうからな。一応香料とかもあるが腐臭と混ざるとやばいぞ?それ用の匂い消しがあるとバカ売れするだろうな。」


 これって商売になるのかもしれないね。匂いってそもそもが化学物質というか分子からくるものだから魔力で結局どうにかなるんじゃないかな?さっき僕がやった洗濯機みたいなものを匂いだけ取り除くみたいにできそうなんだけど…

 スプレー形式で匂いに干渉させる方向性を持たせた魔力水+香り成分を吹き付けるとかいいかもしれない。魔力に方向性を持たせる分野は錬金術だからとりあえず試しにだね。…こんな感じかな?香り成分はないけど、とりあえず試作品が出来たからザインさんとアグスさんの装備で試してもらおうかな。


「ザインさん、アグスさん。これちょっと匂い消しを作ってみたんで装備品に試してもらっても良いですか?魔力水を匂いが消えるように方向性を持たせたものです。」


「それができるなら画期的だな!…お、おお!?あの腐臭がない!ほれ、アグスも試してみろよ!」


「ほんとだ…これはすごいな…これって錬金術師じゃないと作れないのか?」


「魔力の方向性を固定化していますので多分錬金術師だけでしょうね…ダンジョンから無事に出れたらお得意様の商会に卸してみますよ。あとは女性の意見を聞いて不快に感じない香りづけするのもありでしょうし。」


「香水みたいなものなのね!これは便利よ!私の友人にも紹介したい品物だわ。」


「ダンジョン以外にも用途ありそうだもんな。ワタリはほんと便利なものを考え付くな!毎回ビックリするぜ!」


 いや…多分向こうの世界のことをこっちに持ってきているからだと思う…他に流れ人の錬金術師がいれば思いつくだろうし。特に女性は体臭とかきになっちゃうだろうからね。


 ま、まぁ…とりあえず憂いはなくなったことだし、しっかりと休んでボスに備えなければ!死霊系が続くって言っていたけど、ボスに関しては何も言われてないな…


「そういえば、地下20階のボスってなんですか?確か教えてもらってませんよね?死霊系なのですか?」


「あー…そうだったな。状態異常に対応できるかを見極めるボスって感じだな。ナイトメアっていう馬面の人型モンスターだ。睡眠、恐慌をしかけてくるが教会から発行されているタリスマンで防げるんだよ。やっぱ聖属性というか神聖なものには死霊は極端に弱いってことだな。これが毒やら麻痺やらだったら厳しかったかもしれん。」


 だからそんなに気を張ってないんだねぇ…状態異常に特化した敵ってそれが効かなければ極端に弱く感じるからね。


「はい、これ。ワタリの分よ!」


「あ、ありがとうございます。そこまで準備出来ていなかったので助かります。」


「初めて聞いた話だから仕方ないわ。こちらが誘った手前このあたりはしっかり準備するわよ。」


 ちゃんと下調べが重要ってことだね。こういう事があるから現地人からしっかり情報収集するべきなんだろうね。昔ながらのゲームは会話をすることでフラグが立ったり情報を聞けたりするからその要領で考えると難しいことではないのか…


 まぁ…ただ話すだけじゃなく心当たりがあるかとか尋ねる必要があるのが難しいけど…RPGなら勝手に教えてくれるんだけど、VRになると自分自身で聞きたいことを尋ねないと意味がないという…


 でも、人見知りや話下手でも対人練習が出来るのは嬉しいと思う。リアルでだと練習ってそんな場があまりないからね…


 そんなことを考えながら僕は眠りについた。

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