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異世界へのすゝめ  作者: 相坂ねび
3章 王都訪問
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部屋に連れていかれたよ

「それじゃワタリさん、案内するわね。」


「分かりました、よろしくお願いします。」


 とりあえず一歩引いた位置からついて行けば大丈夫かな?たしかこういうのって隣にいていいのは階級が一緒とか付き合っているとかなら許されるんだっけ…あまり詳しくなくて分からないんだけど…


「ワタリさん、それじゃ話にくいので近くで大丈夫ですよ?周りの方達のことは気にしないでください。」


 …そうなのだ。王女様と一緒に歩いているから周りからかなり見られている。


「…さすがに気にしちゃいますので無理です…この位置でお願いします…」


「別にいいのですが…もしかしたら私の弟になるかもしれませんし。」


「え?今何か言いました?…やっぱりもっと近いほうがいいですかね…?声が聞こえなかった方が失礼ですし…」


「いえ、周りの視線が気になるのでしたらそのままで。慣れてきたら隣に来てくれたほうが私としては嬉しいのですが…城の者はやはり立場を気にしてこちらが気楽にといってもしてくれないので…逆に近寄ってくるものは悪意持っているのがほとんどですが…なので流れ人方に期待しています。」


 立場上、気軽に話せる相手でもないし畏まられるのだろうな…流れ人だからって礼儀を重んじる必要がある相手なのだし…もし、それをするなら…


「公の場ではなく、個室や気心の知れた相手のみ…の場合でしたら僕としても気楽になれると思います。」


「まあ。それならこれからいく妹の部屋ではくつろいでくださいね?」


 それはまた別な気がするんだけど!?でも、なんで僕を呼んでいるんだろう?アリエス様が言うには病弱で部屋に籠っているらしいけれど…こちらの医者や神官などでは治せなくて遺物で治せそうなものを探しているってことだよね?とりあえず、会ってみないと分からないか。


「ここが妹の部屋よ。それじゃ入りましょうか。ジェミ、あなたの会いたかった相手を連れて来たわよ。」


 そう言いドアを開ける。部屋の中ではお付きのメイドが一人、ベッドにいる少女の背中を拭いているって!?


 僕は背中を向けドアを見る。


「アリエス様…親しい間柄だとしても中の状態を確かめずに開けたらダメだと思います…現に今の状況、やばいかと…」


「ジェミは気にしないと思うわよ?…ジェミ?顔が赤くなっているわね…大丈夫?」


「アリィお姉さま…さすがに男性に裸を見られるのは恥ずかしいですよぅ…」


「とりあえず、僕は部屋から出ていますので身支度出来たら教えてください。」


 そう言い僕は部屋から出た。


 

「アリィお姉さま、今日連れてこられるのでしたら連絡してほしかったです…上だけですが裸を見られちゃいました…」


「ごめんねジェミ…でも見られて嬉しかったり?」


「そんなわけないじゃないですか!最初の印象としては最悪ですよぅ…」


「気づいたら背中を向けてるって紳士だったわね?なかなか出来ることじゃないと思うわ。普通だったら見続けると思うわ…」


「アリィお姉さまから見せていただいていた住民板でも評判高い方ですもんね。だからこそ私も興味を持ったし診察していただければと思いましたから。」


「そうよね、評判は間違っていなかったってことね。じゃあ身支度出来たみたいだし、ワタリさんを呼ぶわ。」


 

 部屋の中から声がかかり、僕は中に入った。


「先ほどは申し訳ございませんでした。僕は流れ人のワタリといいます。」


「…いえ、アリィお姉さまのせいなので気にしなくていいですよ?私はジェミニと言います。今回、私からワタリ様を連れてきてほしいって頼んでましたの…こんなことになるとは思いませんでしたが。」


 ジト目でアリエス様を見ているが、気にした様子はしていない…なんて図太いんだ…


「僕が呼ばれた理由ってもしや体が弱い原因の診察ですか?」


「そうよ。ジェミは幼少の頃から体が弱くてすぐ熱が出てしまったりするの。魔法を使うことも難しくて誰に嫁ぐか話し合われている状況よ。王家としては厄介払い、貴族からすると王族を嫁に迎えることが出来るということね。私としてはジェミは好きな人と結婚してほしいと思っているの。ちなみに私には旦那様がいるから惚れても無駄よ?」


 いきなり何を言い出すんだ…恐れ多いしそんなこと考えていなかったよ!


「もしや体が弱くなくなり、魔法が使えるようになれば王家からすると嫁がせる理由がなくなるってことですか?」


「その通りよ。だからあまり時間がなかったのだけれど、流れ人のワタリさんが来てくれて少し希望が見えたというわけ。」


 なるほど…これは責任重要だな…というか、僕が治せるものなのかな?王族なら専門の人がいると思うんだけど。


「質問良いでしょうか?王族ならば治療専門の方がいると思うのですが、どういう見解だったのでしょうか?」


「神官、薬師とも原因不明、らしいわ。幼少の頃いきなり病弱になったのよ…母が死んでそのショックによるとも言われているわ。」


「ワタリ様、なにか分かったのでしょうか…?」


「いえ…まだ何とも…診察してもいいでしょうか?」


 僕はジェミニ様に訊ねた。小さい頃いきなり病弱…母親の死…神官と薬師がお手上げ…錬金術師は?普通にテオなら分かると思うんだけど。体の細部まで理解していないと出来ないって可能性もあるか。錬金術師って構造解析も重要だけどそこが難しいんだよね。未知のものを理解しないとってことだから、人体に関して詳しくないと魔力を通しても違和感がなく、そういうものと捉える可能性がある。


「はい。その…よろしくお願いします…」


「ああ!?服は脱がなくて大丈夫ですよ!元に戻して!」


 おずおずと前をはだけ始めたジェミニ様を止めた。


「え…?服着たままで大丈夫なのでしょうか?」


「そう思われるかもしれませんが、もうすでに神官や薬師の方に見てもらっているようなので違うアプローチですね。なんとなく分からなかった理由に考えがあります。お手を拝借いたします。」


 僕は一言ことわり、ジェミニ様の両手を握った。


「えっと、この方法は僕の魔力をジェミニ様に通して調べるという方法です。ですがこの方法の問題点として、僕の魔力を異物と思わない様に受け入れて欲しいのです。ただ、この方法は魔力操作の練習にもなりますが、懇意にしている貴族の方にしたところ…その…発情しちゃったんです…」


 僕は変に隠すのも悪いと思い打ち明けた。


「ただ、これは受け入れ側のイメージが男女間のことを想像してしまったことが理由と師匠が言っていましたので、そこだけ気を付けてくだされば無害です。」


「なるほどね…それなら姉としても問題はないわ。ワタリさんが何かをするわけじゃなく受け手側の捉え方なんだもの。ジェミ、大丈夫よね?」


「…たぶん、大丈夫だと思います。ワタリ様の魔力を受け入れるのですね。よろしくお願いします。」


 姉妹は顔を赤らめていたが、僕の態度が真面目だったことから真剣な顔をした。


「それじゃ始めさせてもらいますね。」


 僕は魔力をジェミニ様に流す。ただ、循環させるのではなく体全体に浸透させるイメージだ。


 !?


 これってもしや!?僕は慌てて浸透させていた魔力を少量にし、循環に切り替えた。なるほどね、こういう理由で魔法が使えなかったのか。あと、これは人為的なものだね。大きくなったら段階的に解除しようとしたんだろうな…悪意がないから誰がやったのかも分かる。これの解除方法も問題ないかな。


「はい、もう大丈夫ですよ?」


 僕はそう言い、ジェミニ様から手を離した。


「早いわね、原因は分かったのかしら?」


「ええ。結論から言いましょう。ジェミニ様の病弱は治ります。」


 僕が言うと2人は驚いた。


「ほ、本当に治るのですか!?」


「大丈夫です。ただ、運動不足でしょうからすぐに走り回れるってことにはなりませんが…」


「いえ!部屋から出れず熱を繰り返し出さなくなるなら!」


「ワタリさん、なにが原因だったのでしょうか?」


「そうですね…ジェミニ様の魔力は膨大だったのです。幼少の頃、制御できない巨大な魔力があったらどうなっていたでしょう?」


 僕はそう宣言した。

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