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異世界へのすゝめ  作者: 相坂ねび
3章 王都訪問
26/112

僕だけの旅路を始めよう

 あと30分ほどでアップデートが終わる。


 今回のメンテナンスの間に依頼を終わらせたんだけど、僕が担当したガワを使っているのVtuberが異世界へのすゝめに参戦するらしい。ゲーム内の画面は映せないから体験報告を混ぜながら視聴者と雑談するとのこと。

 僕がゲームしていることは言っていないけれど、変に懐かれちゃってて頻繁に連絡がくるんだよね…衣装は登録者が一定数超えたら作るって宣言しているから僕から連絡したことないけど。


 その子は氷月みなもという名で活動していて、褐色ロリータの見た目でジャンルとしては小悪魔ロール?になるのかな。ゲーム配信や雑談メインで視聴者はほぼ男というある意味当然の内容である。僕としては作った娘を大事にしてくれているのが凄く分かるから変なコーンやがち恋勢に流されない様に活動してほしい。

 個人勢だから色々と幅のある活動出来ているらしいけど、企業の後ろ盾がないんだから身バレなどは気を付けて欲しいね。

 異世界へのすゝめも少数の職についたらバレる可能性もあるし…とくに錬金術師とかね。


 おっと、もう時間か。それでは行きますか!


 

 僕は起き上がり辺りを見回す。…錬金術ギルドでそのまま寝たんだった…テオに抱き着いた後、恥ずかしくなって逃げるようにログアウトしたんだよね…


 1階に行くとテオが受付に座っている。


「おはようございます、テオさん。」


「あ、おはよう!ワタリが来たってことは流れ人が順次くるってことなのかな?」


「そうですね…街中がまた騒がしくなると思います。錬金術師も増えるといいのですが…」


「前回の失敗に備えて領主は準備したらしいから大丈夫だとおもう!

 ん-…ワタリみたいに良い子ならいいんだけど…いくら女神様から素質貰っても合わない人はいるから、その人達用にこの世界に来て1度は職を変えられるらしいよ?先に来ていた人達は無理だけど…」


 あー…職リセット出来るのか…実際生産職が難しくて冒険者になりたい人とかいるから、対応したのかな?


「あとは誰でもギルドに入れるわけじゃないよ、特に錬金術はあらゆる分野に精通していなければいけない。これはこの世界の錬金術師の割合が低いことから分かるよね?手先が器用、魔力の扱いが上手いなど単体ならわたしより上手い人はいるけど、それじゃだめなんだよ。」


 そうだったんだ…知らなかったなぁ。つまり器用貧乏な人ほど向いているのかも?


「そうだったんですね…よし、それじゃ僕はそろそろ王都に向けて出発しますね!」


「うん、頑張ってくるんだよー!連絡はいつでもしてきていいし、寂しくなったら帰ってきてもいいんだからね!」


「あはは…戻ってくるときはそれなりの成果を持ってこれるようにしますよ!」



 僕は錬金術ギルドから出て、乗合馬車へ乗り込んだ。ベスタまでは安全に行けるが王都までとなると改めて旅路の準備や護衛を雇わないといけないらしい。料金が跳ね上がるから、金策しといてよかったって思ったよ…あと、環境に関してアップデートがあったからなのか日差しが強い…ゲームリリース時は春だったから今だと初夏になるのかな。これは長旅大変そう…


 そういえばラナさんに街から出ること言ってなかったな…そう思い、メッセージを送るとすぐ返事がきた。

 内容は要約すると、黙って行くなんて水臭い、ロエナから活躍を聞いた(抱き着いたことも)、また流れ人がくるけど対処できるから安心してほしい。


 黙ってたというか、領主の娘さんなんだから今の状態は忙しいと思って後回しにしてたんだよ…抱き着いたのも理由があってだし…対処に関してはありがとうと送った。

 さらに返事が来たけれど、怒ってないみたいでよかった。最後には旅の無事を祈っているって来たし。


 そういや、馬車の中で気になる話を聞いた。護衛は3人PTの男達、馬車には冒険者2名が居て、話しかけられたんだよね。


「おや?珍しい、あなたは流れ人ですか?」


「はい、そうですけれど…どうしました?」


 僕が答えると


「マジか!?死の臭いがしないやつとは珍しいぜ…」


 死の臭い?敵を倒したときの?それとも…?


「えっと…その死の臭いってなんです?死んだことがあるかっていうのでしたら僕は生産職なので基本街の中にいるからだと思いますが…」


「まぁ死の臭いってのはその名の通りだな。流れ人は生き返るがだんだんと臭いが濃くなるんだよ。これは冒険者ギルドが依頼を斡旋するときにも重要でな、死に過ぎるやつに難しい依頼だすなんてばからしいだろ?護衛に雇うにしても信用できん。」


 それだとどんな死に方をしても死に対するリスクが高くないかな…?そう思い疑問を問いかけると


「なんでも、女神様が判断しているらしいぞ?名誉ある死に方か身の程を弁えない死に方だったのかをな。」


 女神様…そんな沢山の仕事を抱えて大丈夫かな…


「死に抗う姿勢なども重要なんだとよ。そういう意味でお前さんみたいな臭いがせずに街から一人で出るのは珍しいんだよ。」


 なるほど…確かに生産職なら徒党を組んで移動するし、人数が多いから護衛が足りずにそれなりに犠牲も出るだろうってことかな?


「教えてくれてありがとうございました。僕も死にたくはありませんが、この地に生きる人々を助けるためなら犠牲になるかもしれません…そうならない様に準備や鍛えはしますが…」


「あぁ、それでいい。それにベスタ防衛戦で流れ人の犠牲があったからこそ守れたってのもあるしな…」


僕達はそうしんみりとした雰囲気の中、ベスタの城門をくぐった。

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