さて、ジルの体にも催眠紋を施すか
ちょっとお試しで連続で投稿してます。
コンコン、と。
俺の部屋の扉が叩かれた。
「お……お邪魔……します……」
「ああ、待っていた」
俺が寝泊まりする宿の部屋。そこに入ってきたのは、黒髪ショートでまだ子供っぽさのある体のジルだった。
いつもの勝ち気な様子と違い、目線をそらしてすでに涙目だ。
これから行うことを考えたら、無理もないだろう。
「ほ、本当に、やるの……? あたしのは、裸に……」
「やらない手はない。そうしないとまた冒険中に同じミスを繰り返しかねないからな。――さ、脱ぐんだ。催眠紋を君の体に書き込もう」
俺がジルを部屋に呼んだのは、これから少女の体に催眠紋を書くためだ。
「う、うぅ……つ、強くなるためならっ……。ぬ、脱ぐから、あっち向いてて」
「すまないそれは無理なんだ、特に今回は。催眠耐性ではなく、ちょろちょろ耐性という、俺も初めて聞いた耐性にかけるからな。くまなく見ておかないと事故に繋がる。当然部屋も暗くは出来ない」
「ウソでしょっ……ぅぅ……」
ジルは眉を八の字にし、もうこぼれ落ちる寸前な涙目でこれから行われることに葛藤を見せた。
しばらく迷った少女だが――何も言わずに、服に手をかけると。
まずは下のスパッツから脱ぎ始めた。
「あ、あんたを、信頼してる……から。いいよ、あんたなら……」
「大丈夫だ、信頼は絶対に裏切らない。それと耳栓も取ってくれ。催眠紋の効果が弱まりかねない」
「う、うん……す、好きにならないようにしなきゃ……これ以上は……」
ジルはその体質のせいで俺を好きになっているらしい。
それも今日で終わりだ。少し――寂しいがな。
俺は一枚だけ薄手の毛布を与えると、ジルはそれで体の一部を隠しながら脱いでいく。
俺は露わになっていく少女の裸体を眺めながら、脱ぎ終わるのを待つ。
「脱い、だよ。……あたしの体、フリーダのと違って、子供っぽいよね……」
「そんなことはないし、そういうつもりで裸にしたわけじゃない。……さぁ、ベッドに横に」
陽が差すこの部屋で、きらきらと少女の目に溜まった涙が光った。
俺は仕事のためにジルを裸にしたので、色々な意味で否定する。
実際、少女の体はきちんと発達していて、胸なんかは一般の女性よりも膨らみが大きかった。
俺はうつ伏せになるように手振りで指示すると、ジルはうつ伏せになった。
フリーダの時同様、尻はもちろん毛布で隠している。
「では始めるぞ。……今回のは催眠耐性ではなく、ちょろちょろ耐性向けだ。俺も初めて聞いた耐性で考案に苦労したが……君の体質に合わせてなんとかカスタムした」
「そ、そうなんだ。何か、注意することある?」
「少し冷たい。リラックスしてくれればそれでいい」
「ふ、ふぅん、そんなの、楽勝じゃん」
あれから俺も少し知識を高めて、危険度はさらに減らした。事故は起きないだろう。
ジルはいつもの調子に戻って強気に言ってみせる。
俺は特性の『催眠インク』に人さし指を浸し、ジルの背中に触れた。
――その瞬間。
「ひゃんっ! ん、はっ」
「っ! 大丈夫かジル! お、おかしい、事故は絶対に起きるはずが――」
「ち、違うわマルク、違うの!」
ジルは俺が普段使っている枕に顔を埋めていたが、片目だけこちらを向けて続ける。
「あ、あたし……敏感みたいっ……ずっと耳栓してたからかなっ……んん!」
「冷たいだけ、か? 痛みはないんだな?」
「う、うん、だから続けて。……変な声出ても、聞こえないフリしてね……」
「分かった。続けるぞ」
どうやらジルの体が冷たさに過敏なだけだったようだ。
まさかこんなところで、ジルの感覚の鋭さを実感するとはな。
俺は儀式を続行することに決めた。
そして指で少女の肩甲骨をなぞっていく。
「っ……! っ!!」
「器用なものだな。脚はバタバタしているが、紋を刻んでいる部位はしっかりとリラックスしている。そのまま続けてくれ、ジル」
俺が指でジルの体を撫でていく度、ジルはうつ伏せのまま脚をじたばたとさせる。
ぱんぱんと、その度にベッドの布団が音を立てていた。
――もちろん、本気の蹴りではないのでベッドが痛むことはない。
そうやってジルが悶々としていたが。
ほんの少し経ったくらいの段階で、そのバタバタが止まった。
「どうした、少し慣れたか?」
「ううん、そうじゃなくて」
ジルは深呼吸して、言った。
「この枕……あんたのニオイがするから……」
「……そうか」
ジルは俺の枕に顔を埋めて冷たさに耐えていた。
……と、いうことにしておこうか。
「――よし、背面は完了だ。次は前面だな」
「ぜ、前面……うぅ、これも強くなるためっ!」
「そうだ、これも修行だと思え。そうすれば、君なら逆に楽なんじゃないか?」
「何言ってるのよ、修行はこんな気持ち良いもんじゃないよっ」
「気持ち良かったのか」
「……ち、違うもん! もう、バカっ」
ジルは涙目で俺に言ってきた。
そしてこれまで以上に瞳を潤ませて仰向けになる。
もちろん薄手の毛布で大事な場所は隠しているが。
すると、ジルが呟く。
「……ねぇ」
「どうした」
「あたしの体じゃ、興奮しない……?」
唐突に、ドキリとするような言葉を投げかけてくる。
しかし今の俺は仕事モードだ。
プロはそんな言葉に動揺しない。
「仕事中だ。興奮するわけがない。それが俺の主義だからな」
「仕事中は、か……ねぇ、だったら」
俺が少女のへそより下、下腹部部分に触れると。
「仕事じゃなかったら……」
「悪い。少し、黙っていてくれ……」
「ご、ごめん……うん」
◇◇◇◇◇◇
催眠紋は成功した。
俺自身のレベルも少しは上がっているようで、処置はスムーズだったと言えよう。
フリーダに続き、ジルも俺の催眠にしか堕ちなくなった。
同時に俺への恋も、冷めた瞬間でもあった。
「こ、これであたしも、ちょろちょろじゃなくなったのよね?」
「ああ。効果はバツグンのはずだ」
「そ、そう。あんたが言うならそうなんだろうけど……」
ジルは頭から布団を被って、まだ裸のままの体を隠す。
仕事を終えた俺は、早々に部屋を立ち去ろうとドアノブに手をかけたが。
「……だったら、まだ胸に残るこの気持ちは……」
「むっ!」
ジルが何か言ったが、俺はそれどころではなくなった。
ドアノブに手をかけた瞬間、向こう側にいた人物と目が合ったからだ。
「あっ……す、すまないマルク、これにはワケが……」
「覗いていたのか、フリーダ、それにオリヴィアまで」
「え、えとえと……す、すみませんマルク様。どうしても、気になってしまいまして」
これは――お仕置きが必要だな。
この回も結構際どいと思うので、改稿する可能性有りと思ってください。
もちろん何もなければこのままですが、神のみぞ知るです……




