第05話 もう一つの天下獲り
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──『死神の町』瀬上邸、会議室。
「──と言う訳だ。俺は、天下を獲る」
『魔王』の襲来に備える為に交わした、家康との同盟。その内容と今後について、俺は自分の考えを一通り話し終えた。
「いよいよですな! 真人様!」
「腕がなりますな……」
天下統一言う言葉を聞き、ボアルとベンガルが気色ばんだ。そんな二人を、ウォルフが諌める。
「聞いてなかったのか、二人共。真人様の目的は、大和の統一では無い。あくまで、それは建前。本来の目的は、来たるべき『魔王』の襲来に向けて、少しでも戦力を確保する事だ」
流石に、ウォルフはよく理解している。その通りだ。おれは大和の政治に、何の興味も無い。あるのは、その戦力だけだ。使える駒は出来るだけ多い方がいい、というだけの話。
「言われんでもわかっておるわ、ウォルフ殿。ただ、それでも真人様がご決断して下さった事が、儂は嬉しいのじゃよ」
そう答えるボアルと、隣で頷くベンガルは、確かに以前から俺の天下獲りを熱望していた。曰く、覇王としての自覚を持って欲しい、とか何とか。正直、暑苦しくて叶わなかったのだが。まさか、こんな展開になるとは俺も予想外だった。
「天下は獲る。だが、表立っての覇権は家康に獲らせる。あくまで、俺達は影だ。その事を忘れるなよ?」
人間社会を支配しようとは思わない。勿論、亜人を引き連れて進出しようとも。俺は、この『死神の町』で雪と静かに暮らせれば、それでいい。それに、人間社会の発展は、ここの生活環境の向上にも繋がる。変に支配して、その発展を妨げたくは無い。
「──で、まずはどこを墜とすおつもりで?」
少し興奮気味に、ボアルが問いかけて来た。俺は、無言でウォルフに説明を促す。今、現在の大和の状況についての確認だ。俺の目線を受け、ウォルフがその意図を汲み取る。静かに立ち上がり、大和の勢力図に関して説明を始めた。
「真人様が大和を獲る上で、今後、驚異と成り得る可能性のある存在。まずは、やはり『京』でしょう。『影紅葉』の情報では、その勢力は全国に散らばって潜んでおり、更に、教会とも手を組んだ可能性も噂されています。あの安倍晴明を始め、その戦力も数も、現状では頭一つ抜けているでしょう」
やはり、京か。しかし、逆を言えば、京さえ墜とせば一気に天下獲りへ近付く。この町を襲ってくれた礼もあるし、案外、ちょうどいいのかも知れん。
「そして、その『京』と手を結んだのではないかと噂される、西の最大勢力。『堺の秀吉』です」
半兵衛の所か。勿論、ここも放っておくつもりは無い。今や、秀吉の勢力は京を除き、西大和全体に及ぶらしい。前世で言う、四国。そして、九州も含めてだ。間違いなく、強敵になり得る相手だろう。
「更に最近、急激に勢力を伸ばしている領地があります。それが、陸奥。『独眼竜』と呼ばれる新たな領主の元、次々に周りの領地を、その傘下に治めているとの事です。地理的に、いずれ江戸にも攻め入る事は時間の問題かと……」
『独眼竜』。伊達政宗の事は、勿論、俺も知っている。まさか、異世界で、ここ迄の脅威になるとは予想外だったが。何でも、とんでもない陰陽師を味方に付けたとか。そいつが何者なのか、その正体は、未だにハッキリとは掴めていないらしい。
「おそらく、人間の間で大国と呼ばれる様な領地は、江戸を除けば、この三つかと思われます。他にも、信州の上杉、武田同盟や、野に潜む領地を持たない集団等、これら四つの領地に与しない組織は、幾つか存在する様ですが」
そう、説明するウォルフ。正直、何度聞いても呆れてしまう。上杉と武田が手を組む、このめちゃくちゃな世界。野に潜む集団とやらも、何が出てくるかわからない。俺はもう、驚く事すら無くなっていた。
「やはり、まずは『京』ですか? それとも、『堺』……」
俺の性格をよく知るだけに、ウォルフは的確な予測を口にする。確かに、その二つは許さない。しかし、俺はその前にやる事を、既に決めていた。
「ああ、やるとしたら手始めはそいつ等だ。だが、その前にやらないといけない事があるだろう?」
そう言って、俺はウォルフに問いかけた。そのまま、会議室内を見渡す。ここに居る誰一人、俺の考えを理解していない。いや、唯一、ジンだけが大凡の予想は付いているみたいだが。その横に座るコンや楓。そして、立ったまま説明していたウォルフと、その隣に座るボアルとベンガル。俺は、順番に其々を表情を見回し、発言の意志がない事を確認する。そして、俺はこれからの方針を言葉にした。
「ハッキリさせとかなきゃいけない事があるだろう? 人間の社会を獲る前に」
そう。天下獲りはあくまで、戦力の補強。そう考えれば、人間よりももっと戦力を期待出来る存在が、大和にはまだ残っている。
「まず、手始めにこの樹海を獲る。手付かずの『西の森』を、な。そして、この大和に潜む裏の世界……亜人をまずは統一する」
俺の提案が意外だったのか、ジン意外の者は唖然としている。おそらく、亜人には兼ねてから、他種族で纏まると言う概念が無いのだろう。あくまで、種族単位での縄張り程度。この『死神の町』は、相当特殊な例らしい。
「──ウォルフ。楓と協力して、全国の各種族に使いを出せ。樹海の『死神』の名でな。『死神』の下に付くのか、それとも逆らうのか。答えは、二択。即答だ。時間稼ぎや中立、傍観は認めん。『死神』の元に下り、庇護を求める者は擁護する。勿論、『魔王』からもな。しかし、逆らう奴は皆殺しだ。戦力を貸さず、傍観を決め込む様な奴等もな。そう伝えろ」
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