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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
五章 神獣大激突編
55/82

ミセバとスミレの依頼

二人分の依頼を書いているので、もしかしたら長いかもです

また、前話を大幅改訂したので、よろしければ読み直ししてみて下さい。

魔の海域。 中心に向かって作られた巨大な渦が周りの物を生ある物、無い物関係無しに飲み込み、弱者はそこでに死に絶える。そんな場所に生存出来るのは一握りの化け物のみ。世間での危険度認定はSS。実際の危険度は絶望。そこに今一人の少女が居た。完全に場違いなその少女は、着物のような服を纏い、背中に一本の薙刀を背負い、美しい黒髪をたなびかせて水の上を歩いて(・・・・・・・)いる


「いない……」


黒髪黒眼の少女ミセバは和人に貰った薙刀を撫でながら今回の標的であるリヴァイアサンを探していた。


この薙刀は、依頼に出る前に和人が一人一人に合った武器をと創り出した物であり、ミセバは使ってみた結果、一番しっくり来たのが薙刀であったため、薙刀を選んだのだ。


「一刻も早く帰って和人様に褒めて貰いたい……」


ミセバがそう呟いた直後、海面が大きく盛り上がった。


「⁉︎」


ミセバを含めた神獣達は、同じ神獣同士の魔力ならほんの微量でも感じ取れるが、その分他の生物の魔力には注意しなければ中々気付け無い。その為、海面から急に現れた存在の攻撃を許してしまった。


「シャアアアア‼︎」


海の中から現れたのはシーサーペント。個体により強さはAにもSSにもなる彼等は、海に住む凶悪な魔物として、かなり有名だ。実際Aランクの依頼だからと思い軽い気持ちで行った高ランク冒険者が、依頼先でSランクやSSランクに達したシーサーペントに逆に殺される何て事も多々ある。そしてこの個体はまず間違い無くSランクを超えているだろう。


「うるさい蛇……」


咄嗟にバックステップで大きく距離を取ったミセバは、背中に背負った薙刀を構え、シーサーペントを見据える。


「シャアアアア!」


ミセバを仕留めそこなったシーサーペントは、その視界に改めてミセバを捉え、その巨体を惜し気も無く使って上から押し潰すように襲いかかる。


「図体が大きいだけじゃ何も意味をなさない……」


ミセバはシーサーペントの攻撃を回避し、その身体を駆け上がる。その際ポニーテールが

風に流されたなびいた。それはまるで獲物を仕留める鎌のようにも見える。


「私の目的は貴方じゃない……でも邪魔するなら容赦はしない……!」


身体を駆け上がったミセバは、和人製の薙刀の特徴、魔力を流す事で切れ味を増す能力を使い、10m以上もあるシーサーペントの体を半ばから真っ二つに断ち切る。


一瞬の出来事に声も上げる事すら出来ず、シーサーペントは自分が切られた事に気付かぬうちに絶命した。


「確か死体はこれに入れれば良いって和人様言ってた……」


ミセバは和人から受け取ったブレスレットを、体を半ばから真っ二つにされたシーサーペントに翳すと、今までそこにあったシーサーペントの死体は、まるで元から何も無かったかのように消えた。

ミセバが使ったのはこれまた和人製の道具であり、思想魔法で創られたブレスレットに空間魔法を付与してもの……所謂アイテムボックスを創り出したのだ。勿論その容量は無限では無いが、中は縦横1000mで作られておるため、アイテムボックス内が満杯になる事は先ず無いだろう。和人曰くこれらは大した物では無いらしいが、魔道具の研究者がからすると卒倒レベルの魔道具である。


「早くリヴァイアサン見付け無いと……」


シーサーペントの死体をアイテムボックスに放り込んだミセバは、再びリヴァイアサンを求めて歩き出した。


歩き続ける事数十分。幸いにもあのシーサーペント以来、他の魔物が現れると言う事も無く、無事に魔の海域の入り口と中心部の大体中間部辺りに辿り着いたミセバは、先程のシーサーペントで学んだように海面に意識を強める。


「何か……大きいのが来る……」


その為、自分に近付いて来る巨大な気配に今度は気付く事が出来た。


「グァオオオオオオン‼︎」


海底から現れたモンスターは、今回の討伐対象であるリヴァイアサン。和人が言った通り生まれて十数年の個体の為、体躯はまだ10m〜20m程しか無い。


「ようやく出た……」


ミセバは薙刀を構え、戦闘態勢に移る。


「グァオオオオオオン‼︎」


リヴァイアサンはミセバを視界に捉えたと同時に口から強悪な威力を持つ水を吐き出して来た。

ミセバはそれを薙刀を横に振って切り裂き、跳躍してリヴァイアサンの頭上に移動した。


「くらえ……!」


相変わらずの無表情で薙刀を振るうミセバに、リヴァイアサンは為す術もなく真っ二つにされ……無かった。


「グァオッ!」


リヴァイアサンはミセバが跳躍したと同時に吐いていた水を止め、咄嗟に海中に潜って振り下ろされる一撃を回避したのだ。


「めんどう……」


ミセバは、海中に潜ったままこちらの様子を伺うリヴァイアサンに気を配りながら、心底めんどくさそうに吐き捨てる。


数十秒程の睨み合いの末、先に痺れを切らしたのはリヴァイアサンの方で、海中から連続で水ブレスを吐き出して来る。


「やっかいな……」


ミセバは繰り出される水を躱して、時には薙刀で切り払い、リヴァイアサンの繰り出す水ブレスを捌いていく。


「そろそろ終わりにする……」


永遠と繰り返される攻撃に遂に痺れを切らしたミセバは、その身を16〜17の少女から、10mを越す神獣霊亀に変え、海中に潜ったままのリヴァイアサンに、一瞬で肉薄して海面の方向に吹き飛ばす。


「グァオン⁉︎」


今まで相手をしていた少女が、急に巨大な亀に姿を変えた事に驚愕していたリヴァイアサンに、それを避ける事等出来るわけも無く、あっさりと海面まで飛ばされたリヴァイアサン。


「本当の水ブレスを見せてあげる……」


そう言って霊亀の姿となったミセバは、和人と戦った時にも使った水ブレスを宙に浮き、まともに回避行動を取れ無いリヴァイアサンへと放った。


「グァオオオオオン⁉︎⁉︎」


ミセバの放ったそれは、先程リヴァイアサンが放ったそれとは比べ物になら無い程鋭く、速かった。

そんな攻撃を空中にいてまともに動け無い状態で回避出来る筈も無く、ミセバの放った水ブレスは呆気無くリヴァイアサンの身体を貫き、その命を刈り取った。


「依頼達成……」


霊亀から人間の姿に戻ったミセバは、落ちて来るリヴァイアサンの死体を、和人から借りたアイテムボックスでキャッチして、そのまま別空間へと放り込む。


「和人様褒めてくれるかな……」


そう言ってミセバは無表情を僅かに崩して、軽く微笑む。

霊亀の姿になった際に破れたと思われる服は、和人の付与した特殊能力の一つである再生により元の形に戻りミセバの体を包んだ。


そうしてミセバは踵を返して、魔の海域を去る。

帰る途中にSSランクの魔物であるクラーケンに襲われたが、特に危な気も無く無事討伐し、和人へのお土産が出来たと心を弾ませた。


ーーーーーーーーーー

ーーーーー


死滅平原。危険度SSSに指定されるこの場所は、多くの凶悪な魔物が跋扈している。


「さて、シームルグの群れとやらは何処でしょうか……」


そんな場所に一人の着物を来たとても美しい女性がこれまたとても美しい扇を左右の手に携え悠々と歩いていた。


「ギャアギャア!」


そんな場違いな物をここに住む魔物達が見逃す筈も無く、次々とその女性に向かって襲い掛かる。


「煩いですね……」


それをこの女性……スミレは、右手の扇を一閃するだけで弾き飛ばし、崩れた大勢を整えようとする魔物に左手の扇から放つ魔法でトドメを刺して行く。


「申し訳ありませんが、貴方達には用は無いのです。襲って来なければ何もしませんが、襲い掛かって来られたら容赦は出来ませんよ?」


片方の扇を口元に持って来て妖しく微笑むスミレに、魔物達は本能的恐怖を感じ、我先にと逃げ去って行く。

死滅平原に生息する魔物は少なくともランクA以上はある。ランクAと言えば一般的な街の付近に現れれば、その街の騎士団が出動するレベルの存在だ。これらを単独撃破出来るのはSランク上位以上の冒険者や、大国の騎士団長クラスだけだろう。では何故そんな強力な魔物が逃げ去るかと言えば、ひとえにスミレとの圧倒的な力の差に気付いたからだろう。


「ふふっ、素直でよろしいこと」


数多の魔物が我先にと逃げ去る中、スミレは妖し気な微笑みのまま歩いて行く。勿論倒した魔物の回収は忘れ無い。ミセバ同様、和人から受け取った腕輪方アイテムボックスに倒した魔物の死体を放り込みながら、死滅平原をシームルグを求めて進む。


数分後、スミレは突然歩みを止めて、視線をある一点に集中させた。


「入り口近くに住み着いたと書いてありましたが……どうやらあれのようですね」


スミレの視線の先には、全長50m程の巨大な岩が小型の山脈の如く立ち並んでおり、その一部に鷲に似た巨大な鳥達が存在していた。

スミレは背中から鳳凰状態の翼を小さくしたような翼を生やし、扇を両手に構えて先制とばかりに魔法を放つ。


「『ヘル・バード』」


スミレの持つ扇から、赤黒い炎で出来た鳥が現れ、まだスミレの存在に気付いていないシームルグに向かって飛んで行く。


「ピェェェェ⁉︎」


不意に撃たれた攻撃に、シームルグ達が何羽も燃やされて行く。そこでようやくスミレの存在に気付き、スミレに向かい怒りの形相で一斉に飛び掛かって行く。


「さあ来なさい。私が纏めて相手になりましょう」


スミレはライオンのような爪で次々と襲い掛かって来るシームルグに対し、左右の扇を巧みに動かしていなし、時には弾いて、時には躱してと、次々と捌いて行く。


「ふふっ、そう焦らないで下さい。折角和人様から頂いたこの扇を試せないではありませんか」


スミレが使っている扇は、ミセバ同様和人から貰った物であり、かなり高純度の魔力伝導体でもある。

スミレはミセバと違い、魔法をメインに戦うスタイルな為、直接の物理攻撃の威力よりも魔法を使った際の伝導率を重視する。それ故扇と言う特殊な物を選んだのだ。

しかし、流石は和人製と言うべきか、この扇は普通に物理武器として使っても大抵の敵は真っ二つに出来る程の鋭さと頑丈さを持つ。


「ふむ……魔力の伝導率は250%と言ったところですね。私の込めた魔力よりも結構大きな威力が出ます」


和人が作った扇は込めた魔力をそのまま威力として放つ物とは違い、込めた魔力を更に強化して放つと言ったとんでもない仕様になっていた。

この世界で最も伝導率の高い媒介は「大賢者の杖」と言う古の大賢者が作り出したと言われている物である。今は何処かの国の国宝となっている物で、その伝導率は300%。一見和人の作った扇の方が劣っているように見えるが、古の大賢者はこれ生涯掛けて作ったのだ。それに比べ和人の場合は思想魔法を使い数秒でサクッと作った物である。つまり和人は大賢者の杖に準じる物を数秒にして量産出来るのだ。


「流石和人様です。こんな素晴らしい物を簡単に作れるなんて……」


スミレは恍惚の表情でシームルグとやりあっている。


「ピェェ……ピェェェェピェェェェ‼︎」


それを見てシームルグの中でも一際大きな体躯を持つ一羽のシームルグが、何かを伝えるような声で鳴いた。恐らくそのシームルグがこの群れのリーダーなのだろう。


「おや?動きが変わりましたね……」


リーダーと思われるシームルグの鳴き声を切っ掛けに、今までただ突っ込んで来るだけだったシームルグが今度は連携を取って攻撃して来る。


「めんどうですね……」


二羽が僅かにタイミングをズラして突撃して来る。それを捌くと、次の瞬間には別の方向から同じように二羽が突撃して来る。それも捌けば、また別方向から今度は三羽で突撃して来る。

流石のスミレもこの連携には防戦一方になるしか無く、危うく攻撃が当たりそうになる事もしばしばあった。


「ピェェ!」


「ピェピェ!」


シームルグ達は勝ち誇ったような鳴き声を上げ、トドメとばかりに全員一斉に飛び掛かって来た。勿論全てが的確にタイミングをズラして、だ。


「正直これは使いたく無かったのですが……いた仕方ありませんね」


そう呟いたスミレの体は、次の瞬間強烈な炎に包まれた。


「ピェ⁉︎」


咄嗟にシームルグ達は回避行動を取って空高くに上昇したが、回避が間に合わなかった何羽かはスミレを包む炎に飲み込まれ、一瞬にしてその命を落とした。


「まったく……矮小な鳥の癖に中々やりますね……しかし申し訳ありませんが、これで終わりです」


炎が消え去った場所には、シームルグよりも更に巨大で美しい鳥がいた。


「さて、ではそろそろ終わらせて頂きます」


人型から神獣鳳凰の姿になったスミレは、一瞬にして上空のシームルグ達の元へと飛び、近くにいたシームルグを、巨大な嘴しで食いちぎり、それに驚き動きが遅れたシームルグを鉤爪で串刺しにした。


「この姿になってしまえば、最早魔法を使うまでもありませんね」


そう言って自らの羽を全方位に飛ばし、次々とシームルグを貫いて行く。


「ピェェェェェェェェ‼︎」


リーダーと思われるシームルグは、仲間が次々と殺されて行く姿を見て、ようやく気付いた。自分は戦ってはならない存在に挑んでしまったのだと。だがそれに気付くには余りにも遅過ぎた。もう目の前にスミレの巨大な鉤爪が迫っている。しかしそれを見ても動く事が出来無い。何故なら自分の翼はスミレの放った羽により貫かれているからだ。


「和人様のご期待に添うため、貴方達の命は頂きます」


その言葉を最後にスミレの鉤爪は目の前のシームルグの体の中心を貫いた。


「依頼達成です」


スミレは人型に戻り、地上へと落ちて行くシームルグ達を地面に着く前に全てアイテムボックスに放り込み、地面へと着地した。


「さて、早く帰るとしましょうか……」


そうして、スミレはブレイアルの街に向かい歩き出した。

次回はローズとカレンの依頼内容です。一応一話で纏めるつもりですが、ローズとカレンは特別な依頼に出ているので、もしかしたら二話に分けるかもしれません。

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