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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
五章 神獣大激突編
53/82

謝罪

今回短いかもです。


今回の話は眠気と戦いながら書いた話なので、ところどろこ、あるいは全体的に変かもしれません。もし気付いたらお教え下さい。きちんと直します。

精霊の安らぎ亭。一泊するのに金貨が必要となる貴族御用達の宿。和人達はそこに泊まっていた。


「マスター、明日はどうするのじゃ?」


「そうだなぁ……取り敢えずカレン、スミレ、ローズ、ミセバ、お前等明日中にSランクな」


「分かりました」


「お任せ下さいませ」


「よゆーだよ☆」


「了解……」


和人達は”一つ”の大きな部屋、所謂スイートルームに全員でチエックインしていた。

そこで彼等は明日の予定について話しており、取り敢えずは今日冒険者となった神獣達のランクをSまで上げると言う事で纏まった。だが忘れ無いで欲しい。普通は何年も冒険者をやって、ようやくBランクやAランクとなれるのだ。それを一日でSランクにさせるなど、常識外れにも限度があると言える。それを四人共何の躊躇いも無く了承したのだ。


「んじゃ俺等は明日のんびりとしているから、頑張って来て。ノルマは一人一匹はSSSランク以上の魔物を狩って来る事。

一応依頼場所までは転移で連れて行ってやるが、送ったら即帰るから、帰りは自力な」


「「「「はい!」」」」


和人の言葉に一斉に返事を返す神獣達。そこに扉を叩く音が聴こえた。


「失礼します。和人様に面会を求める方がいらっしゃっております」


そう言うのはこの精霊の安らぎ亭の支配人である、ケルビスだ。


「面会を求める奴だと?」


和人に心当たりは無く、首を傾げケルビスに続きを促す。


「はい、冒険者のジェシカとジェニアと名乗っております」


その名前を聞き、和人の頭に今朝の記憶が蘇った。


「ああ、あいつらか。分かった今行く」


和人はヴェル達に直ぐに帰って来ると言って、ケルビスに従い一階に降りて行く。


「……何を……しているんだ?お前等……」


二人が待っていると言う部屋に入った時、そこにいたのは妹弟揃って土下座をしているジェシカとジェニアだ。


「和人く……さん!今朝は本当に申し訳ありません!」


「あんまり強そうに見えないなんて言う、舐めた口聞いてごめんなさい!」


「取り敢えず頭を上げろ。話はそれからだ」


呆れたような口調で話す和人に、ジェシカとジェニアはおそるおそると言うべき様子で顔を上げた。


「で?何でこんな事をしに態々来た?」


「それが……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜


「まったく……バンとフェイルには困ったものね!」


「うちのリーダーが悪かったねぇ」


「いえ、こちらのリーダーにも非があります。本当に申し訳ないです」


先程和人に気絶させられたバンとフェイルの様子を見に行った帰り、ジェシカが先程の喧嘩について愚痴をこぼす。それに対してエーレスが申し訳なさそう口を開き、フォルスがフォローするように謝罪する。


「どっちもどっちだろ。男は多少血の気が多い方が丁度いいんだぜ?」


それにガンギスが面白そうに答える。


「もうっ!本当に男って子供ね!」


そうこう話しているうちに5人はギルドに着いた。

因みにバンとフェイルを運んだ2人は今、疲れで眠っている。鎧や武器を身に付けた男2人を運んだのだ、疲れるのは当たり前だろう。


「さって、今はバンとフェイルがいないし、今日中に終わる簡単な依頼を受けて行こうかしら」


そう言って冒険者ギルドの扉を開けた。しかしそこで待ち受けていたのは、ギルド内にいる冒険者達の注目と言う名の視線だった。


「な、なんだよ」


「アタイ達、何かしたか?」


「覚えがねぇな……」


その圧力に少々タジタジになってしまっていたが、意を決してジェシカが問う。


「私達が何かしたかしら?説明を求めるわ」


堂々とした姿だが彼女も内心プチパニック状態だ。

そんなジェシカ等5人の疑問に答えたのは一人の冒険者の男だった。


「あー……すまんね。今皆でアンタ等の話をしていたんだ。っと、自己紹介がまだだったな。俺はレイニー。アンタ等と同じBランク冒険者だ」


レイニーと名乗った男は、ジェシカ達に席に座るように促して自らもその席近くに座る。


「どうしてアタイ達の話をしてたんだい?」


エーレスが席に座りながらレイニーに質問を投げ掛ける。


「正確にはアンタ等と言うより、アンタ等が話していた少年少女の話だな」


レイニーは冒険者には珍しくそれなりに礼儀のある男のようで、一々喧嘩口調の荒くれ者とは違い、結構まともな性格であるため、四人も嫌な気分にならずに会話が出来た。


「僕達と話していた少年少女と言うと……カズトさんとヴェルフェンさんですね?彼等が何か?」


先程話した和人とヴェルの事を思い出しながらフォルスはそう語る。


「そう、彼等だ。実は彼等はとんでも無い人物でな、さっきから彼等の話で盛り上がってたんだ」


それに何故自分等が出て来るのか分からず首を傾げる5人。レイニーは苦笑しながら説明を続ける。


「そうだなぁ……アンタ等瞬速の絶対者って知ってるか?」


「ええ勿論よ。あまりの強さにSSSランクじゃ収まらないって言って新たにEXランクというランクを生み出した冒険者でしょ?」


それがどうしたの?と言うべき視線をレイニーに向けるジェシカ。隣ではジェニア達もうんうんと頷いている。


「そうか……なら話は早い。アンタ等そいつの名前を知ってるか?」


「いや、確か瞬速の絶対者の名前は殆ど知れ渡って無かった筈だ。事実俺達も知ら無い」


ジェニアの言葉に満足そうに頷くレイニー。


「なら瞬速の絶対者の容姿は?」


「えーっと……確か珍しい黒髪黒目の少年だったか?」


「あ……」


ガンギスがそう答えた瞬間ジェシカが何かに気付いたような声を上げ、次にエーレスも同じような声を上げた。


「まさか……」


彼女等の脳裏に一人の少年の姿が浮かび上がって来た。

そこまで来てようやくフォルス達男組も気付いたようで、一斉に顔を見合わせた。


「黒髪黒目……」


「少年……」


「おいおい、まさか……」


そうして5人は一斉に声を上げた。


「「「「カズト(君)(さん)⁉︎」」」」


5人の反応に言いたい事がきちんと伝わった事を理解したレイニーは、あまりの驚きに顔を見合わせたまま硬直している彼女等に和人の行方を教えた。


「瞬速の絶対者は今EXランクの依頼の破滅の森の調査に出掛けている。災害級のデスピナスが出たんだと。で、連れの超絶美少女さんはSSSランクのデスマウンテンに巣を作った火竜の討伐に行っている。どうやらあの超絶美少女さんもSSSランクの冒険者らしいぜ」


そこまで聞いたところでジェシカ達の表情が青ざめて来た。


「やばい……私かなり失礼な事を彼に言っちゃった……」


「俺もだ……」


「ならアンタ等は謝罪した方がいいんじゃねーか?冒険者の長生きの秘訣は圧倒的強者には極力逆らわない事だぜ?」


レイニーの言葉に無言で頷く2人。

フォルス、エーレス、ガンギスの3人は和人達とそんなに話して言っていないので、内心ホッとしていた。

その後ジェシカ達は依頼に行くのをやめにして宿に帰る事にした。流石にEXランク冒険者に色々と失礼な事を言ってしまったと気付いたからには、心の余裕がそんなにあるわけなく、こんな心境で依頼を受けたら余計な死の危険が付きまとう。ここら辺の判断は流石それなりに経験を積んだBランク冒険者と言えるだろう。


「じ、じゃあ私達は小鳥の宿り木亭って言う宿にいるから、悪いけど彼等が帰って来たら教えてくれる?」


「まあ元からそのつもりだったから構わないけど、せめて飯でも奢ってくれよ?」


レイニーはいたずらっぽく微笑み、フラフラとおぼつかない足取りでギルドから出るジェシカ達を見送る。その場にはレイニーが一人酒を飲みながら座り、どんな食事を奢って貰おうか考えていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜


「……と言うわけです」


「あの時は本当にすみませんでした……」


つまり、あの後和人達が帰って来たと言う報せを受けてジェシカとジェニアは2人して謝罪に来たと言うわけだ。


「はぁ……そう言う事か……別に気にして無いから安心しろ」


事実和人は今の今までジェシカ達とした会話を忘れていた。


「とにかく俺は怒って無いし、気にもしていない。だからもう帰れ。幾ら冒険者と言ってもこんな夜遅くに理由も無くうろつくのはよろしくない」


「うう……そうします……」


「夜分遅くに悪かった……」


「ほら、送ってやっからさっさとしろ」


まだ納得がいかないようだったが取り敢えずは今日のところは帰ってくれるようだ。

和人は2人を送って小鳥の宿り木亭の近くまでやって来た。

だが今回の件がこれで終わる筈もなく、そこでまたまた面倒な事が起こった。


「てめぇ!見付けたぞ!よくも俺達の話し合いを邪魔してくれたな!」


「不意突いて気絶させたからって調子に乗んじゃねぇぞ!今からぶっ殺してやる」


ジェシカとジェニアを送り届けた直後、背後から馬鹿っぽい声が二つ聞こえて来た。


「えーっと……誰だっけ?」


しかし和人の記憶にこの2人は無い。


「てめぇ!俺はAランク冒険者のバン様だぞ!」


「同じくAランク冒険者のフェイル様だ!朝てめぇに話し合いの邪魔されて腹立ってたんだ!」


そう言うとバンとフェイルの2人は一斉に自分の武器を抜いた。


「ちょっと!貴方達何をしているの⁉︎」


「バンもフェイルも落ち着けよ!」


こちらの騒ぎに気付いたジェシカとジェニアが2人に静止の声を掛けるが、完全に頭に血が登った2人には全く意味を成さず、遂には各々の武器を和人に振り下ろしてしまった。


「やめなさい2人共!”殺されるわよ!”」


「死ねやぁ!」


ジェシカの静止の声も虚しく、バンとフェイルの武器は、和人を捉えてしまった。


「うるさい」


和人は一言そう言って、徐に手を横に振った。その瞬間和人に斬り掛かった筈のバンとフェイルの巨体は数十メートル先まで飛ばされた。


「雑魚が……俺は今眠いんださっさと帰らせろ」


そう言って和人は踵を返して自らが泊まっている精霊の安らぎ亭に帰って行った。


「バン?フェイル?……ダメだまた気絶してる……」


「だから落ち着けと言ったんだ……にしても片手の風圧だけで武装した男2人を吹き飛ばすとか、どんな膂力してんだよ……」


「さあね……でもあれくらい出来無いとEXランク何て呼ばれるわけ無いわよね……」


再び気絶したバンとフェイルを背負い、ジェシカとジェニアは愚痴や称賛を言いながら宿に入って行った。

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