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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
五章 神獣大激突編
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依頼の終わり

今回でヴェルと和人、それぞれの戦闘が終わります。

デスマウンテン頂上。そこでは二つの巨大な影が一人の少女と相対していた。


「ほほう、これが火竜とやらか!初めて見たのぅ!」


その様子は誰がみても少女は死んだなと思う光景だが、その本人である少女はそんな危険な状況にも関わらず無邪気な笑顔で笑っている。


「グオオオオ‼︎」


「ギュオオオオ‼︎」


その時二頭の火竜は同時に首を仰け反らし、口から超高温の炎を吐き出した。


「ふむ、流石”竜”の名を持つだけあって中々の威力だが……残念ながら私を傷付けるレベルには至ってないようじゃな」


火竜のブレスを前に少女は片手を翳し、そこに見え無い壁を作り出した。

火竜のブレスは少女の作り出した壁にぶつかると、その華奢な身体を傷付ける事なくその炎を霧散させた。


「さて、少しは楽しませて貰うぞ?」


少女ヴェルは、好戦的な笑みを浮かべ腰に差してあったホルスターから二丁の銃を取り出し、すぐさま引き金を引いた。


ドパン!ドパン!


鈍い音を発しながら撃ち出された二つの銃弾は、火竜の硬い鱗に阻まれる事無く、その巨大な腹部を撃ち抜いた。


「グオン⁉︎」


「ギャオン⁉︎」


腹部を撃ち抜かれた二頭の火竜は驚愕の声を上げつつも、瞳に敵意を漲らせながらヴェルを睨み付ける。


「いい眼だ。まだ敵意を失ってはいないな。ならば掛かって来るが良い!」


ヴェルの声と同時に、二頭の火竜は翼をはためかせ空へと飛び上がる。


「グオオオオ‼︎」


「ギャオオオオ‼︎」


二頭の火竜は連携を取りながらヴェルに向かって攻撃をする。

ある時は片方が火を吐き、もう片方はそのブレスに隠れるように突進する。

それをヴェルは片手で弾く事でブレスを躱し、同時に空いている片手で銃を発射し牽制する。

またある時は二頭同時に突進して来て、ぶつかるギリギリでタイミングをズラして躱し辛くする。

そしてヴェルはそれを先に来た火竜を蹴り飛ばしてもう片方の火竜にぶつける事で回避する。


「ふむ、そろそろ飽きて来たのう……マスターの方も多分そろそろ終わる頃だろうし、こっちも終わらせるとしようかの」


ヴェルは空を飛んでいる二頭の火竜の元に跳躍し、彼等の背中に踵落としをした。


「グギャア⁉︎」


「ギャオン⁉︎」


火竜達は今まで地上にいた者が急に自分等の傍に現れた事と、見た目少女にしか見え無い者に叩き落とされた事に困惑し、着地を失敗した。その所為で彼等の体は互いに重なり合い、すぐさま姿勢を立て直す事が出来ず、一瞬だけもたついてしまった。


「さらばだ火竜の番よ!あの世でも二人仲良くするのじゃぞ!」


そんな隙を見逃すヴェルでは無く、重なり合った彼等の上に着地をし、二丁の銃をそれぞれ彼等の頭に照準を合わせ、引き金を引いた。


「グギャァァァ……」


「ギャォォォン……」


最後には悲鳴を発し、そのまま生き絶えた。


「さて、私の依頼は終了じゃな。えーっと……何処を持って帰れば良いのじゃったかのう?」


暫く考えたようだったが、結局は結論が出なかったようで、火竜の死体を別空間に放り込み、一つ大きく頷いた。


「うむ、分からなければ全部持って帰れば良いのじゃったな!」


火竜の討伐証明は額に聳える一本の角なのだが、世間に疎いヴェルはそれを知ら無い。その為、こう言うところではちょっと残念な娘になってしまうのだった。



ーーーーーーーーーー

ーーーーー


場所は変わりヴェルが火竜と戦闘を繰り広げている時、破滅の森では、


「ニンゲン……コロス」


「無理だな」


片言ではあるが、きちんとした人語を発するデスピナスの目の前に和人は何時もの調子で立っていた。

「魔神眼」を創り出した和人はその能力でデスピナスを捜索し、ついでに能力の実験を行った。それにより「魔神眼」の能力を正しく理解する事が出来たので、さっそく感知に引っかかった獲物(デスピナス)の元へやって来たと言うわけだ。

因みに言うと、デスピナスの姿はティラノサウルスにラプトルを足して2で割ったような見た目に、漆黒の甲殻を纏ったような姿をしている。大きさは目測だが7〜8mと言ったところか。


「にしてもデスピナスは人語を喋れるんだな。以前倒したユルングは強かったけど、人語は喋れなかったのに」


「ニンゲンコロス!」


デスピナスが自前の鋭い爪で和人を貫こうとするが、和人はそれを紙一重で躱す。

自信のあった爪攻撃をあっさり躱されたデスピナスは、少し驚いたような仕草をしたが、直ぐに落ち着きを取り戻し、左右の爪を振りかざして今度こそ和人を貫こうと連続で放って来る。


(そういやヴェルは渡した銃をきちんと使いこなせてるかな……)


(ある程度は教えたけど、俺も銃を持った経験があるわけじゃないし、完全にテレビや本の受け売りだったんだよな……)


常人では一撃一撃が自らの命を奪うに値する程の威力である災害級の攻撃を、和人はそんな事を考えながら全て紙一重で避けていた。


「ニンゲンノクセニ、ナマイキナ!」


中々当たら無い事に怒りを覚えたデスピナスは、爪の攻撃の速度を更に上げ、目の前の人間を殺そうとする。しかし和人はそれをも紙一重で全てを躱してしまう。

怒り狂ったデスピナスは自らの口に高密度な魔力を凝縮し始め、周囲の木々ごと俺を消し飛ばそうとした。


「ほう、これ一発で平均的な大きさの街を全体の2〜3割程度破壊出来るな。いや、当たり方によっては半壊させられるかもしれないな……」


静かに絶望的な事を呟く和人の目は、この状況とは裏腹に極上の笑みを浮かべていた。


「流石は災害級と呼ばれる存在だ!面白い攻撃をする!」


和人はそう叫びもう目の前にまで迫って来ている攻撃に手を翳した。


「【捕食(プレデター)】」


以前邪神ベルゼブブに使った魔法である【捕食(プレデター)】を発動し、デスピナスの攻撃を呑み込む。


「【捕食解放(プレデターオープン】」


そしてあの時と同じように数倍の威力にしてデスピナスに返す。


「バカナ⁉︎」


咄嗟にジャンプをして躱す事に成功したが、その背後の木々の様子を確認して、冷や汗を流す。


「残念、あれはフェイクだ」


その瞬間、和人はデスピナスの目の前に現れ、一瞬で創り出した銃を驚きで固まってしまっているデスピナスの腹に突き付け引き金を連続で引く。

和人が撃った銃弾は、魔力を調整する事によって貫通性能を無くし、全て物理攻撃に変更されており、この銃弾を受けたデスピナスは、蜂の巣になる変わりに、破滅の森の上空数百メートルまで打ち上げられた。


「グハッ⁉︎」


上空に打ち上げられたデスピナスは、口から大量の血を吐き出しながらも、なんとか態勢を立て直そうとする。しかしそれは叶わず、目の前には先程とは違う武器を持った和人が大きく拳を振りかざしてた。

デスピナスは己の最後を本能で悟り、せめて一矢報いろうと、態勢を立て直すのを止めて爪を繰り出して来た。


「最後まで戦おうとするその意思や良し!せめて安らかに逝けるようにしてやろう!」


和人は自分に繰り出された正真正銘最後の一撃を見て笑みを浮かべ、その爪を振りかざしていない手で握り潰した。


「グアアアアッ⁉︎」


悲鳴を上げるデスピナスに向けて、遂に拳が振り落とされる。音速を越えた拳がデスピナスの顔面を捉え、そして遂にその命をも刈り取った。


「死体は出来るだけ綺麗な状態にしてやるからな」


音速を越える拳を受けたデスピナスは、これまた音速を超え地面に叩きつけられたが、その地面はデスピナスが激突する直前にマットのような性質にされ、デスピナスはそのマットになった地面に深く減り込み、弾力で地上に戻される。



「『加速する手甲(アクセルガントレット)』初めて使ったけど中々の威力だ」


デスピナスの死体の近くに降り立った和人は、たった今デスピナスの命を刈り取った攻撃を思い返し、感想を呟く。


ーーーーーーーーーー


『加速する手甲(アクセルガントレット)


使用者の魔力を上部に付けられたパーツから噴射し、どんどん加速する手甲。魔力を込めれば込めるだけ速度を増す。

ジェット機のイメージから和人が創り出した。

ーーーーーーーーー!


「さて、ヴェルの方ももう終わってるだろうし、待ち合わせ場所のギルドへと向かうとするか」


和人はそう呟き、デスピナスの死体を別空間に放り込んだ。

そして、さっきまでの戦闘が嘘のように感じる程静まり返った破滅の森を後にした。


学校の中間テストがあるので一週間程更新が止まります。テストが終わり次第また書いて行きたいと思います。



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