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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
五章 神獣大激突編
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揉め事

「いやーここに来るのもミロガス王国に来たばっかの時に行って以来だな」


「そう言えばそうであったな。久し振りじゃ」


ここはアキレス皇国に属する巨大な街、ブレイアルにある冒険者ギルド。

和人とヴェルはミロガス王国を出てから飛翔魔法で隣国のアキレス皇国の領地にやって来た。勿論国境の関所はきちんと通ったので、不正入国等はしていない。

そして、関所を通り抜けて暫くした所で再び飛翔魔法を使用して、遂にこのブレイアルの街にやって来た。今回の移動時間はミロガス王国から関所まで1日の、関所からブレイアルまでの1日で、計2日だ。通常は数週間程掛かるので、今回もまた異常な移動速度だ。


「さて、早いところギルドに入ろうか」


「うむ」


ギルドの扉を開けると、


「てめぇ!ふざけんじゃねぇ!」


「ああ⁉︎ふざけてんのはてめぇの方だろ!」


そこでは二人の冒険者が何やら言い争いをしていた。周りには二人の仲間だろうと思われる男女六人が二人を止めようとしており、更にその外側からは二人とは関係無いだろう冒険者が酒を飲みながら囃し立ててる。朝っぱらから酒を飲むとは流石は冒険者といったところか。


「……受付行くか」


「……そうだな」


和人とヴェルはその様子に軽く呆れ、争っている二人の冒険者を無視して受付へと向かう。


「ちょっとそこのお二人さん!バンとフェイルの喧嘩を止めるの手伝って!」


すると、二人を止めようとしている六人の内の一人が和人とヴェルに手伝いを求めて来た。


「やだよめんどくさい。何で争っているかは知らんが、冒険者同士ならそんな事日常茶飯事だろ?」


「マスターの言う通りじゃな」


だが和人とヴェルは如何にも面倒ですと言う表情で断る。止めても此方にメリットは無いので当然だ。


「な、なら耳寄りな情報教えるから、手伝って!」


ピクッ

耳寄りな情報と聞いて和人が僅かに反応する。

冒険者とは魔物狩ったり、薬草を集めたりするだけの職業だが、その職業柄か色んな人と関わりを持つ。そして関わった人々から偶に「神の知識(カーディナル)」でも分からないような情報を貰う事もある。その為和人はそれが気になった。


(もしその情報が俺の知らないものなら大儲け。知ってたり、どうでもいい情報だったとしても、デメリットがある訳では無いし、止めるのもそんな面倒な事じゃない)


「いいだろう。その代わり止めるのは此方のやり方でやるぞ」


「本当⁉︎ありがとう助かるわ!ならこっち来て!」


「良いのかマスター?」


ヴェルが確認の為に和人に問う。


「ああ、別に大した手間じゃないからな。止めるだけで情報が貰えるのは正直助かるんでな。ヴェルは見てていいぞ。俺が行って来るから」


「うむ、了解だ」


「お、おい、いいのかジェシカ?あいつそんな強そうに見えないぞ!ただ面倒が増すだけじゃないのか⁉︎」


「人が多いに越した事無いでしょ!バンもフェイルもランクAの冒険者だし、私達だけじゃ止めるのは難しいのよ⁉︎それなら微力でもいいから人を増やすべきじゃない!ジェニアはもう少し柔軟な発想をしなさい!」


助けを求めて来た女はジェシカと言うらしく、隣にいた魔法使いっぽい服の男はジェニアも言うらしい。

和人は争っている二人に歩み寄って行く。


「はいはいそこまでにしとけよお前等。お仲間が迷惑を被っているぞ」


「何だてめぇは⁉︎こっちは取り込み中なんだ!消えないとぶっ飛ばすぞ!」


「ガキはすっこんでろ!」


和人が争っている二人の冒険者の元へ行くと、案の定恫喝された。どうやら本当に頭に血が上っているようだ。


「あ?誰がガキだコラ……まあいい、とにかく一先ず喧嘩をヤメろ」


「ああ⁉︎ガキって言ったらてめぇしかいねぇだろが!」


「俺達は今忙しいんだ!ガキは帰って母ちゃんのおっぱいでも吸ってろ!」


カチーン

和人の頭に青筋が浮かぶ。


「お、おいジェシカ!あの小僧マジでぶっ飛ばされちまうぞ!」


「おい!二人共落ち着け!その人はただあんたらを止めようとしただけな………」


ズゴーーーン‼︎‼︎


ジェシカの言葉が言い終わる前に、轟音と振動がギルド内に響き渡る。その音に止めようとしていた六人と、囃し立ててた他の冒険者と、自分達は関係無いとばかりに仕事をしていた受付嬢が一斉に固まる。


「ったく、人が折角穏便に済ませてやろうとしたのに、調子乗りやがって」


そう発された声にギルド内の全員の視線が集まった。

そこには拳をゲンコツのような形にした16〜17の少年がいた。その少年の足元には、あり得ない程巨大なクレーターが出来ており、そこに二人の大柄な男が突っ伏していた。


「おいジェシカとやら。頼み通り二人を止めたぞ。約束の情報を寄越せ」


「あーえーっと……止めたって何を?息の根?」


「あ?何言ってんだよ二人は生きてるぞ…………多分」


最後の多分の部分は声を小さくして和人はそう言う。


「まあ、その何だ、ありがとうと言うべきかな?と、取り敢えず二人を運ぼう」


ジェニアがそう言うと、他の仲間らしき男女が漸く動き出し、争ってた二人の冒険者を運んでギルドを出る。その表情は今見たのは幻だと思いたいと言った感じであった。


「んじゃまあ情報とやらを教えて貰おうか?」


和人は近くの椅子に座り、ジェシカに約束していた情報を求める。その瞬間漸くギルド内で固まっていた全ての者達が復活して、一斉に叫ぶ。


「「「「「落ち着き過ぎだっ⁉︎」」」」」


ギルド内にいた全ての者の心が一致した瞬間だった。

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