それぞれの思い
久々に書くとどう言う風に書けばいいか分かりませんね。変な所があったら指摘して下さい。
私は今目の前で起こっている事信じられません。
「な、何なの?あの魔力……」
私はついさっきまで一緒に居たカズト先生が発した魔力にただ驚くだけでした。
いや、その前にも信じられ無い光景がありました。あの化け物が放った魔法は間違い無くこの国を消し飛ばすに値する威力を誇っていました。それをカズト先生は片手で防いでしまったのです。それだけでも凄いのに、次の瞬間カズト先生から放たれた魔法は、つい一瞬前に化け物の放った魔法を遥かに上回る威力でした。
ですが、次の瞬間には再びあの化け物によって驚かされました。何と最上級魔法クラスの魔法を二つに合体させ、混合魔法を作り出してしまったのです。
「危ない!」
あの魔法にはこの国を消し飛ばしても止まらないだろう威力がある。私は咄嗟に声を出してしまいました。しかしカズト先生はあろうことか、それを私でも使える中級魔法で消してしまったのです。
「カズト先生……貴方は何者なんですか?」
明らかに人間の範疇を超えているカズト先生に対して、私は恐怖を感じてしまいました。先程よりも明らかに大きい恐怖を……
(だめだめ!私はカズト先生と約束したんです!絶対に排除しようとなんて考え無いって!そうよ、カズト先生は今この国を守る為に戦ってくれているのに、私達がカズト先生を信じなくてどうするんです!)
心に過った恐怖を払うように私は自分に言い聞かせました。その時、あの化け物の姿が変わったのです。それに合わせ化け物の魔力も圧倒的に巨大になりました。その魔力はカズト先生を大きく上回っていました。
「カズト先生!」
聞こえ無いと分かっててもつい声を上げてしまいましたが、それは杞憂に終わりました。カズト先生の魔力が姿の変わった化け物を上回ったのです。しかも一回り二回り程度で無く、何十倍にもです。
「な、何なの?あの魔力……」
私はただただ唖然とするだけでした。
***
私の名前はルビア・ブレイメン。ブレイメン侯爵家の長女で、このミロガス大魔道学園の生徒会長である。だが今はそんな事はどうでも良い。
「何者なんだあいつは……」
私の所属する2年S組に来た二人の教師の一人が今、自分より圧倒的に強いと思われる化け物と戦っている。いや、あれを戦っている言っていいのか分からない。何故なら化け物の放つ魔法はどれも一撃でこの国を消し飛ばす程の威力を持っているのに比べ、カズトとか言う教師は一切攻撃系の魔法を使っていない。全て化け物の攻撃を跳ね返したり無効化しているだけだ。しかも息一つ乱れて無い。
「ははっ……私はとんでも無い化け物にあんな口を聞いていたのか……あの教師には権力も効か無いだろうな……使った瞬間領地ごと消されるか、良くても一家皆殺しにされるのがオチだ……」
私は自分の今までの言動と態度を振り返って、自らが行った事に対して深く反省した。
***
俺は今猛烈に後悔している。何故なら俺が今まで舐めた態度を取ってた相手がとんでも無い奴だったからだ。
「俺は自惚れてたんだな……」
何が俺はクレイモア男爵家の次男だ……何が貴族に対する礼儀を教えてやるだ……俺はこんなにも無力だ……自分の住んでる国が消されそうなのにこうして見てるしか出来無い……安全な時だけ威張り散らして、肝心な時は役立たずだ……
「カズト先生ごめんなさい……俺が間違ってたよ……貴族だから力がある訳じゃないんだよな……民を守る力があってこそ本物の貴族なんだな……」
今の俺に出来る事はただカズト先生達を信じるだけだ。
***
「カズト先生……こんなに強かったんですか……訓練何て全然本気じゃなかったんですね……」
僕はカズト先生の戦いにただただ見惚れるだけでした。化け物の攻撃を跳ね返したり、圧倒的な威力を持つ魔法を簡単な魔法で消したり、僕じゃ絶対出来無い事ばかりやるカズト先生に、心の底から称賛を送りました。
僕は一週間前にカズト先生と初めて戦った時、とっておきの魔法を使いました。それでも掠りすらさせられなかった。でもその時にカズト先生に言われた事がとても嬉しかったんです。
僕は家が貧しいので冒険者に憧れてました。冒険者は実力があれば幾らでも稼げる仕事です。だから冒険者の中でもそこそこの実力を持つ人と同じくらいの実力はあると言われてとても嬉しかったんです。でも現実はこうです。自分等じゃ束になっても勝てない相手が現れたら何も出来ません。
「カズト先生……貴方はどれ程の高みにいるんですか……」
僕は誰に言うでも無く呟いていました。
次回はヴェルの戦い(蹂躙)とヴェルに扱かれたロビンさんの思いを書きます。ロビンさんの視点はヴェルについてです。




