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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
二章 魔界征服編
16/82

契約

初めに

今回の話は、ヴェルフェンのキャラが所々変わります。理由は今ここで書くとネタバレになってしまうので、後書きにて説明します。


P・S

ストックが無くなったので、ここからは出来しだいの投稿となります。不定期更新となりますが、どうか皆様魔神が行く異世界大蹂躙をお楽しみ下さい。

『まさか私が負けるとはな……』


「まあ、俺も結構やばかったしな。俺をここまで追い込んだのはお前が初めてだったぜヴェルフェン」


絶望の森奥地、そこに先程まで激戦を繰り広げていた二つの影があった。

傷こそ全て癒えているが、あの激戦からそう経ってもいないので、精神的な疲れはまだとれていないのだろか、お互い座り込んで会話している。


「さてとヴェルフェンよ。約束通り俺と契約して貰うぜ?」


『よかろう……貴様……いや貴方の実力は私を従えるのに十分だと判断しました。私は貴方の使い魔としてこの身全て貴方に捧げましょう』


そう言って頭を垂れて来るヴェルフェンに、和人はバツか悪そうに頭を掻いた。


「あーヴェルフェン?急に敬語とかやめて欲しいんだが……何か背中がムズムズしちまう」


『むっ…了解した。ならば口調は直させて貰おう。だけどカズトの事はマスターと呼ばせて貰うぞ?そこは絶対に譲れん」


「む…仕方ないそこは俺が妥協しよう」


渋々と納得したが、やはり何かムズムズする。まあこれは慣れるしか無いだろう。


「ならさっさと契約しちまうぞ?『我、汝を従えし者。汝、我が呼び声に応えその力を我が為に振るえ。【契約の儀】』」


和人がそう唱えた瞬間、和人から溢れ出た光がヴェルフェンを包み込んだ。

和人は体内からごっそりと魔力を持っていかれる不快感に顔を顰めるが、同時にヴェルフェンの力と心が自分に流れ込んで来る感触に心地良さを覚え、ヴェルフェンに視線を向ける。


『ふむ…契約完了だ…これがマスターの力か…素晴らしい……』


「こっちもお前の力が流れ込んで来たぜ。流石神竜の力だな」


二人はお互いに微笑み合い、どちらからともなく、握手をした。傍から見ると、一人の青年が巨大な竜に握り潰されているように見えて、滑稽なのだが、二人にとってはそんなの関係無かった。


「契約したのはいいけどお前をどうやって連れてくか……多分使い魔だ、って言っても信じてくれないだろうし……」


「心配するなマスター。これでも私は神より強い種族の端くれぞ?見た目を変えるなんて造作も無い事よ!・・・ほいっと』


ヴェルフェンが一瞬光に包まれたと思うと、次の瞬間ヴェルフェンが居た所に同じ歳くらいの少女が居た。


「ほらこの通り!どうだマスター?あとこれからはヴェルフェンじゃなくてヴェルと呼んでくれ」


見た目和人と同じく17歳くらいで、美しい金髪を後ろで束ねた髪型で、とても整った顔立ちをしている。胸は小振りながらも、全く無いという訳でも無く、綺麗に流れる括れとバランスが上手く取れていおり、ぶっちゃけレティやアリアより美人だ。


「やっぱりお前女だったのか……竜形態の時から声高いなと思っていたが……こうして見るとあの竜がお前とは信じられないぜ……」


「あまりジロジロ見るでない……照れるであろう……」


「おっと失礼。でも結構可愛いぞ?」


少し照れながらそう言うヴェルフェン…いやヴェルに、素直な賛辞を送ってやる。その事でヴェルは更に顔を赤らめる。


「じゃあ行くかヴェルフェン……じゃなくてヴェル。ここから一気に転移するから捕まっとけよ?」


「うむ。これからよろしく頼むぞマスター」


ヴェルはそう言って俺の手に自らの手を絡めて来る。腕に当たる二つの柔らかい感触に少々ドギマギしつつも、転移魔法を発動させてウォーレンの街の近くに跳ぶ。ここから数分歩いて向かうのだ。


「ふぅ…今度は間違えず来れたな……さてとヴェル。お前身分証明書持ってるか?」


「む?持ってる訳無かろう。私はずっとあの森に居たんだぞ?今この風景さえも私にとっては新鮮でワクワクが止まらんのだ」


これは深刻な問題だ……


「ヴェルは俺の頭に乗るサイズの小竜になる事できるか?」


「出来るけど何故だ?」


「それなら身分証明要らないからだ。俺の頭や肩に乗ってれば、身分証明は俺の分で十分だからな。街に入った後冒険者ギルドとかで登録すれば問題無いし、仮証明の発行で一々門で足止め喰らわなくてもいいしな」


「成る程了解した。では変身するぞ。・・・ほいっと」


先程と同じ様な光がヴェルを包んだと思うと、今度その場に居たのは、全長30cm程になった神竜ヴェルフェンだった。見た目は変わって無い筈なのに、小さいだけでメチャクチャ可愛いのは何故だろう?


「よしOKだな。さあヴェル俺の頭に乗りな」


『では失礼して・・・おおっ!マスターの頭に凄いフィットするな!心地良いぞこれは!』


小竜になったヴェルは、その小さな翼をパタパタさせて、俺の頭に乗っかって来た。程よい重みが俺に掛かり、ヴェルが俺の頭の上で騒ぎ出した。

やばい・・・何この可愛い生き物…


ちょっと変な気分になったが、これで問題は全て解決したし、これで漸くウォーレンに帰れる。


「さて、とシヴァは帰って来てるかな?」


「マスター!マスター!早く街行こう!私は人間の街など初めてだから楽しみなのだ!」


無邪気に騒ぐヴェルにほっこりしつつ、ウォーレンの街を目指して足を進める。


「今から走るから、しっかり掴まってろよヴェル!」


こうして俺は一ヶ月振りのウォーレンに向かい走り出した。


ヴェルフェンは神竜形態と人間形態と小竜形態で性格が変わります。そのため小竜形態では子供っぽく無邪気になったのです。

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