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第八十二話 王宮への招待

 オクタヴィノール殿下の説得で、国王陛下と王妃殿下は、婚約を認める方向で心を動かされていた。


 後もう少しという状況だった。


 オクタヴィノール殿下はその先の話をし始め、


「わたしは、『それでは、リディテーヌさんとわたしの婚約を認めていただけるということでよろしいですね』と申したのです、すると、父上は、『お前たちの婚約は、認める方向にしたいと思っているし、認めた時点から先において、お前たちの婚約に反対するものたちがいれば、この父と母で説得したいと思っている』と言ってくださったのです。母上も、『わたしも婚約を国王陛下が認めた時点から先は、もし反対するものたちがいれば説得したいと思っています』と言ってくださいました」


 と言った。


 これで、わたしたちの婚約は、お二人には認められたことになる。


 正式な手続きや、婚約式はこれからということになるものの、まずは一安心というところだ。


 しかし……。


「リディテーヌさん、ここまではなんとかきていました。これで、父上と母上に認めていただいたと思ったのです。ところがその後、父上は、『婚約は認める方向でいきたいとわたしは言ったし、反対勢力がいれば、説得するとわたしは言った、しかし、申し訳ないが、お前にお願いしたいことがある。お前の覚悟は理解ができた。そのお前が愛し、そして、守ろうとしているリディテーヌさんが、妃にふさわしい女性であるということも、理解はできるのだ。しかし、リディテーヌさんとは、まだわたしたち二人はあったことがない。お前の言葉を信じたいところだが、一度会って、お前の言う通りの女性かどうかを確認した方がいいと思ったのだ。』とおっしゃったのです。これは予想した通りの言葉ではありました」


「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」のオクタヴィノール殿下ルートでも、主人公オディナティーヌは、ルクシブルテール王国の王宮で、国王陛下と王妃殿下と会う場面がある。


 ここで、オディナティーヌは、オクタヴィノール殿下との婚約を認められるのだ。


 状況は同じように思われる。


 しかし、オディナティーヌの場合は、時間をかけてオクタヴィノール殿下と仲を深めていったので、周囲は既に婚約を認めようという雰囲気になっていたし、国王陛下と王妃殿下も、婚約を受け入れることが前提で会ったので、反対する人たちはほとんどいなかった。


 それに対して、わたしはまだ仲を深めてから、まだそれほど経っていない。


 国王陛下は、まだ婚約を全面的に受け入れる態勢にはなっていないということだ。


 わたしもこの返事は予想していた。


「そして、父上は、『もし、わたしたちもリディテーヌさんのことを高く評価できるのであれば、その場で婚約を認めよう。もちろん招待と言う形を取るので。接待の方は、もしわたしたちが婚約を求めなかったとしても、きちんと行うつもりだ。婚約を認めれば、接待も盛大に行うつもりでいる。どうだ、嫌な話だろうか?』とおっしゃってきたのです。やはり、あなたと会ってから婚約のことを認めるかどうかを決めるということになりました。わたしは、父上に対し、『リディテーヌさんは素敵な女性でございます。そのことは、強調させていただきます』と申し上げました。父上はそれに対し、『お前の言っていることを理解はしている。きっと素敵な方なのだろう。お前の言うことを信じたいとは思っているのだ。今回招待をするのは、形式的な確認だと思ってほしい』とおっしゃってくださいました。母上も、『あなたの言うことを信じたいと思っています。素敵な方であることは、わたしも信じたいと思っています。でも国王陛下の言う通りで、形式的にでも確認は必要であると思っています。その為にも招待することは大切だと思います』とおっしゃったのです。お二人はおおよそわたしたちの婚約を認める方向になりましたが、それでも形式的な確認は必要だということになりました。そこでわたしは、『父上と母上がそうおっしゃるのであれば、八月下旬にリディテーヌさんをここに、私的ではありますが、招待しよう思っております』と提案をいたしました。父上も母上もわたしの意見に賛成していただきました。そこで、申し訳ありませんが、二日後、わたしと一緒にルクシブルテール王国の王宮に来ていただけませんでしょうか? 二日後の朝、ボードリックス公爵家の屋敷に、こちらから馬車で迎えに参ります。よろしくお願いしたいと思います」


 オクタヴィノール殿下はそう言うと、頭を下げた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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