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第六十九話 運命の女性

 オクタヴィノール殿下は、


「そうです。『運命の女性』にわたしは出会ったのです」


 と言った。


「それは、ど、どなたのことでしょうか?」


 わたしは、急激に胸がドキドキしてきたので、少しどもってしまった。


 恥ずかしい。


「それは、その方というのは……」


 オクタヴィノール殿下も、わたしに影響されたのか、その後の言葉が出なくなった。


 お互い、恥ずかしさで顔が赤くなっていく。


 しばらくの間、わたしたちは、うつむいていた。


 しかし、オクタヴィノール殿下は、もう一度心を整える。


 そして、


「わたしの『運命の女性』、それは、リディテーヌさん、あなたのことです。わたしはあなたに一目惚れをしたのです。リディテーヌさん、好きです」


 と言ってくれた。


 オクタヴィノール殿下のわたしへの愛情が込められたことだった。


 わたしはその言葉を聞いて、これは夢ではなかろうか、と思った。


「つらい思いをしてきた少女は、素敵な人に出会い、溺愛されていく」のオクタヴィノール殿下ルートの場合、主人公のオディナティーヌがオクタヴィノール殿下に告白を受けるのは、半年近く先の話。


 オクタヴィノール殿下と地道に親しくなっていった結果だ。


 リディテーヌであるわたしも、それぐらいの時間はかかるものだと思っていた。


 それが、今、この短期間でオクタヴィノール殿下の告白という大切なイベントを迎えている。


 わたしが、ルシャール殿下と婚約せず、「悪役令嬢」からも脱しようとしているので、わたしの人生そのものが大きく変化しているということなのかもしれない。


 わたしの好きなオクタヴィノール殿下。


 これからは恋人どうしになっていけそうだ。


 まずオクタヴィノール殿下と恋人どうしになることを目標にしていたので、うれしさが湧き上がってくる。


 しばらくの間、わたしは夢の中でフワフワしているような気持ちになっていた。


 そんなわたしを心配したオクタヴィノール殿下は、


「申し訳ありません。話がいきなりすぎましたね」


 と言ってわたしに詫びた。


 わたしはその言葉を聞いて、我にかえった。


 そして、


「いえ、お話はとてもうれしいです。ただ、思ってもいなかったお言葉だったので、驚いてしまいました。こちらこそ申し訳ありません」


 と言って、オクタヴィノール殿下に詫びた。


「わたしが嫌いということではないですよね?」


「それは全くありません。オクタヴィノール殿下のような素敵な方を嫌うことなどありえません」


 ここはオクタヴィノール殿下に誤解をされては困るところだ。


「それを聞いて安心しました。わたしはリディテーヌさんと恋人どうしとして付き合っていきたいと思っています。できれば今日ここで、わたしの恋人になっていただけることを了承していただけるとうれしいです。しかし、今日、いきなりそういうことを言われても困惑されると思います。考える時間が必要なのも理解します。まだこれから時間がありますので、ご検討をお願いしたいと思っています」


 オクタヴィノール殿下はそう言った。


 わたしと今すぐ恋人どうしになりたいという気持ちを、わたしの立場になって抑えてくれている。


 人の気持ちをよく考慮する、心やさしいお方なのだと思う・


 このゲームの中でも、それは伝わってはきていたのだけれど、実際こうして会うと、想像以上のものだった。


 ますますオクタヴィノール殿下のことが好きになっていく。


 わたしは、すぐにでも、オクタヴィノール殿下の告白に応えようと思った。


 しかし、一つ懸念点があった。


 それは、今までのリディテーヌの悪い評判だ。


 このゲームでのルシャール殿下ルートでは、リディテーヌが「悪役令嬢」だということを聞いたルシャール殿下が、リディテーヌとの婚約を破棄する。


 そして、その後、無礼を働いたことで、ボードリックス公爵家を追放され、処断される。


 ルシャール殿下は、リディテーヌの悪い評判を聞いてはいた。


 しかし、リディテーヌはルシャール殿下の前では、淑女の姿でいた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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