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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第7章】 秋から冬へ
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友人の悩み事(5)

 ああ、そういえば浩ちゃん、好きな人ができたってさっき言ってたっけ。


「実は少し前から好きな人がいて。しかもその人とは結構仲良くて。今のままの関係じゃ嫌で、どうしても想いを伝えたいんだけど」


「へえー、そうなんだ。仲がいいんだったら相手も浩ちゃんには好意を持ってるだろうし。普通に告白とかすれば?」


「それがなかなか」


「だよね」


「その人には付き合ってる彼がいるって解ってて、告白したらひかれるかな?」


「ええっ。またややこしい人を好きになっちゃったんだね」


「彼女は本当にいい人なんだよ。たまたま彼氏ができちゃったっていうか。俺がもたもたしてる間に、他の人と付き合い始めて」


「まあ、告白されて嫌な気はしないだろうけど、困惑するかもね」


「そうだよな」


「彼女との件もあるし、全てはそっちの方が解決してからだね」


「うん」


「まあ、がんばれ」


「応援してくれるの?」


「もちろん。相手の人は結婚してるわけじゃないんでしょ?」


 浩ちゃんは大きく頷いた。


「じゃあ、まだ望みはあるかもね。応援するよ」


「サンキュ」


 そう言って浩ちゃんは、左目を一瞬キュッと閉じてみせた。


 え、なに今の。ウインク?


 やっぱイケメンはなにやっても絵になるわぁ。

 整った目鼻立ち。男性なのにパッチリ二重。

 見ているこっちがとろけそうになるほどの笑顔。

 今売り出し中の俳優、なんていったっけ。ど忘れしたけど、彼にも似ている気がする。


「俺さぁ来週から販社で研修が始まるって言っただろ。

 営業なんてやったことないから精神的にキツいかもしれない。たまに会ってくれる?」


「今でもたまに会ってるじゃん」


「そうだけど、今まではただ友人としてなんとなくだったけど、これからは友人兼相談相手として話せたらいいなぁって思って」


「そういうことならオッケーだよ」




* * *


 それからは私の方も仕事が忙しい上に、遠距離恋愛中の龍也たつやくんとは、なんだかんだと連絡が途絶えがちになって。

 ふたりで愚痴を言い合ったりして、お互いの恋バナなんかをするようになって。

 それぞれ男性のキモチ、女性のキモチなんかを言い合ったりしているうちに、なんか浩ちゃんとの距離が短くなった気がする。


 男女の垣根を越えた、なんでも話せる『親友』のような感覚とでもいおうか。

 性別を超えた友人関係なんて成立しないってよく言うけど、お互い好きな人がいるし、その人のことを大切に想っているから、私たちの間にはちゃんと成立している。はずだ。


 

 浩ちゃんは、営業研修が始まってしばらくしてから、彼女とちゃんと話し合って納得して別れたらしい。

 今年のクリスマスは寂しいな、なんて言ってたけど。

 私だって龍也くんとクリスマスが過ごせるかなんて、まだ解らない。


 いっそのことふたりで過ごそうか、なんて冗談交じりに浩ちゃんは言うけど……。


 もしかしたら、それもアリなのかな、なんて。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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