それから
あの日、青いラインの入ったN700系のぞみを、ホームで泣く泣く見送ってから、はや4日。
あいも変わらず、またいつもと同じ日常をやり過ごす。
毎日同じ時間に起きて身支度を整える。
『おはよう』と龍也くんにメールを入れてから家を出て、満員電車にゆらりゆられて。
会社に着いてロッカールームで女子トークをし、オフィスに向かう。
8時45分になると、スピーカーから流れる音楽に合わせてラジオ体操。
その後朝礼が始まり、課長の挨拶の後、係長から連絡事項等々の話がある。
それから、毎日担当が日替わりの順番制で、1分間スピーチなるものがあるのだ。
今日は私の番。昨日いろいろ考えて文章にし、1分で話せるように話す速度、間合いなどを時計で時間をはかりながら練習した。大丈夫。いよいよ本番だ。
名前を呼ばれ前に出る。
「おはようございます」
『おはようございます』
まず朝の挨拶をし、昨日考えたことを話す。もちろんメモなどは一切見ない。
今まで私が人と接してきて思うこと、感じたことなどをみんなの顔を見ながら、ゆっくりと大きな声で話した。こういうスピーチの時は、ちょっとしたユーモアも必要だ。爆笑はいらない。クスッと笑えるさりげないセンスがものを言う。
スピーチの後、締めのセリフとともに朝礼は終了。それぞれ自分の席にもどり、9時の始業のベルを合図に仕事が始まる。
いつも通り仕事をし、いつも通り昼食を摂り、いつも通り龍也くんにハガキを書いて、残りのお昼休憩はワイワイとおしゃべり。
13時から午後の仕事が始まる。人の出入りが頻繁で、だだっ広い空間にひしめき合うデスク。黙々と仕事を熟している社員。慌ただしく行き来する人々。
17時の終業のベルにて本日の仕事は終了。
でも、就業時間が終わったからといってすぐに帰れるわけでもない。
後片付けをして早々に退社する人もいれば、残業に突入する人もいる。
今日は金曜日。定時退社日。いわゆる『ノー残業デー』だ。
といっても正確には『定時退社推奨日』くらいに受け止めておいて丁度だと思う。
あーあ、龍也くんには今度は一体いつ逢えるのだろう。
クリスマスには会えるかな。
それまで仕事に打ち込むとしようか。
でも、今日は帰りに浩ちゃんと待ち合わせをしているから、私はとっとと帰るけど。
浩ちゃんと待ち合わせか。
龍也くんの後輩でもあるし、公認でもあるから、友人として浩ちゃんとはよく話をする。
ふたりで出かけたりすることもある。でもあくまでも友人として。
ふたりで歩いていると、周りからはカップルのように見られているかもしれないが、私にはそんな気は全くない。あくまでも、仲のよい友人。頼りになる友人。
18時に駅前で待ち合わせをしている。
なにか相談事があるらしいけど。
お読み下さりありがとうございました。
今話より『第7章 秋から冬へ』に入りました。
次話「友人の悩み事」もよろしくお願いします。




