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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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3連休(2) 

 手土産を持って、智ちゃんたちの新居にお邪魔したのが11時過ぎ。

 

 近くのコインパーキングに車を止めて、彼等の住むマンションへと向かうわけだが、なんせ、私たちの周りで結婚しているのは智ちゃん夫妻だけなので、当然新婚家庭にお邪魔するのは初めてなわけで。少し緊張した。と同時に、ピンクを使っていたりハートマークがたくさんでてきそうな、いわゆる『らぶらぶ』風の内装なのかと興味もわいてきて。そんなことをああだこうだと話ながら、マンションのエレベーターの3階ボタンを押す。

 

「なんか緊張するな」


「ホントだね」


 言葉数も少なくなり、エレベーターのドアが開く。

 彼等の部屋は、エレベーターを降りて真っ直ぐいったところの305号室。

 少しソワソワしながらも、龍也くんがインターホンを押す。


「はーい」


 元気よく扉を開けてくれたのは、恵子ちゃんだった。


「こんにちは」


 龍也くんの挨拶に続き、私もご挨拶を。


「この度はお招きいただき……」


「ああ、そんな堅苦しい挨拶はいいから。さあ、上がって」


 そう促されて龍也たつやくんが、持ってきた手土産のクッキーを手渡す。


「ありがとう。そんな気を使わなくていいのに」


「おじゃましまーす」


 龍也くんに続いて私も。


「おじゃまします」


 思ったよりもあっさりとした内装。

 白と黒を基調にした、シンプルなお部屋に「へぇー」っと、声にならない声を心の中で発していた。


 リビングに案内されると、イケメン新入社員の浩ちゃんはもう既に来ていて、しかも寛いでいる。


「さ、適当に座ってて」


 そう言って台所の方に向かった恵子ちゃんを見送って、思わず龍也くんと目を合わせてニヤッとしてしまう。すっかり奥さんしている恵子ちゃんの姿を、微笑ましく見守っている智ちゃんの姿もまた微笑ましい。


 そうこうしているうちに、後輩の小川俊之くんと彼女の佐々木美枝さんもやってきた。


 その後少しみんなでおしゃべりをして、お昼には恵子ちゃんお手製の和風ハンバーグをご馳走になった。

 とっても美味しくて……と、ここまではいいのだが。


 何を思ったか、智ちゃんが食後のひとときを映画鑑賞の時間にしようと提案。

 と、ここまではいいのだが。


 問題はその映画だ。

 男子は乗り気で、いや、女子も私以外は結構乗り気で楽しくDVDを観ていた。

 そう、私以外は。


 私は基本映画大好き! なんだけど、今日はそうとも言い切れない。

 誰が好き好んで、そんな映画観る?

 もう、「きゃー」と叫んで彼にしがみつく……そんなレベルじゃない。

 映像からも音からも恐怖が伝わる。そんな映画、誰が新婚家庭訪問時に観ると思う?


 おかげで今日の新婚家庭訪問中の出来事は、殆どが記憶から吹っ飛んでしまう気さえした。

 頭の中でこだまする絶叫や映画の残像を、頭の外へと追いやるように、私は頭をぷるぷると振る。


 夕方になり、そろそろ帰ろうかとふたりの新居を後にするも、私たちの今日のデートも夕方でおしまい。

 彼は私を送ってくれた後、一度実家に帰りそれからまたお出かけだそうな。


 まあ、仕方ないとは思うんだけど。

 ふたりっきりのデートは明日までおあずけ。しかも、明日だけ。

 明後日には彼はまた千葉県へと向かわなければならない。


 彼が今夜どうするかって?


 なんでも、学生時代の友人と飲みに行くとか。

 なんとも人気者はお忙しい限りで。……なんて。



お読み下さりありがとうございまs。


次話「3連休(3)」もよろしくお願いします。

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