ベテラン女子社員(2)
ベテラン女子社員の宮本さん、畑山さん。
このふたりは2歳違いで、凄く仲がいい。
宮本さんは30歳で独身。某プロ野球チームの大ファンで、いつもそのチームの話を楽しそうにしている。
畑山さんは28歳で新婚ホヤホヤ。お姑さんとあまり上手くいっていないようで、いつも機嫌が悪い。
このふたりは仲が良い。いつも一緒にいて新入社員若しくは若手女子社員に、チクッとひと言浴びせる。
根はいい人なんだとは思う。たぶん。
仕事もできるし、姉御肌的な。でも、若い女子には基本厳しい。だけど、気に入られると可愛がられる。
厳しくされるか気に入られるかの微妙な境界線を、私たちは行ったり来たりの綱渡り状態だ。
忘年会の時なんかも大変だったな。
そう、あれは去年の12月のこと……。
週末の仕事を終え、それぞれに忘年会の会場である居酒屋に集合する。
そして忘年会が始まるわけだが、宴もたけなわ、みんな楽しく宴を楽しんでいると、いきなり始まった。
日頃のうっぷんを晴らすべく、飲むペースがはやかったのか畑山さんの愚痴タイムに突入。
なんでも、新婚ホヤホヤなもので、ふたりの時間を楽しみたいし、新居も自分たちのリラックスできる場所として、ゆっくりとくつろぎたいという。それはごもっともなお話。
だがそうもいかないのが現実のようで、姑がいつでも好きなときに訪れるという。前もってなんの連絡もなしに。
ふたりでゆっくりしたいと思っていても、お出かけしようと計画を立てていても、姑の来襲で全ては水の泡。
いつもちょっと苦手だな、と思っていた畑山さんだけど、そんな話を聞くとなんだか可哀相な気がする。
お姑さんの存在ってどうなんだろう。私にはまだ未知の領域だからなんとも言えないけれど。
最後はお酒のせいか泣きだしてしまった畑山さんを、一生懸命慰めている宮本さんもそんなに悪い人ではなさそう。そう思ったのも束の間。
「葉月さん、もっと飲みなさい」なんて言って飲めない私に勧めてくる。私がお酒に弱いことを知っているくせに。飲んだら顔が真っ赤になって心臓はドキドキ。その後気持ち悪くなってしまうのが解っているから、私はいつも乾杯の時に少し飲むぐらいにしている。
だからやんわりと遠慮をすると、「私の勧めるお酒が飲めないの?」なんて絡んでくる始末。
大騒ぎしてやっとお開きになったのはいいけれど、何人かは2次会、3次会と連れ回されたらしい。
いつもは嫌だなと思う門限も、この時ばかりはあって良かったと思った。
お読み下さりありがとうございます。
次話「ベテラン女子社員(3)」もよろしくお願いします!




