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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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ベテラン女子社員(2)

 ベテラン女子社員の宮本さん、畑山さん。

 このふたりは2歳違いで、凄く仲がいい。


 宮本さんは30歳で独身。某プロ野球チームの大ファンで、いつもそのチームの話を楽しそうにしている。

 畑山さんは28歳で新婚ホヤホヤ。お姑さんとあまり上手くいっていないようで、いつも機嫌が悪い。


 このふたりは仲が良い。いつも一緒にいて新入社員若しくは若手女子社員に、チクッとひと言浴びせる。

 根はいい人なんだとは思う。たぶん。

 仕事もできるし、姉御肌的な。でも、若い女子には基本厳しい。だけど、気に入られると可愛がられる。

 厳しくされるか気に入られるかの微妙な境界線を、私たちは行ったり来たりの綱渡り状態だ。


 忘年会の時なんかも大変だったな。

 そう、あれは去年の12月のこと……。


 週末の仕事を終え、それぞれに忘年会の会場である居酒屋に集合する。


 そして忘年会が始まるわけだが、宴もたけなわ、みんな楽しく宴を楽しんでいると、いきなり始まった。

 日頃のうっぷんを晴らすべく、飲むペースがはやかったのか畑山さんの愚痴タイムに突入。

 なんでも、新婚ホヤホヤなもので、ふたりの時間を楽しみたいし、新居も自分たちのリラックスできる場所として、ゆっくりとくつろぎたいという。それはごもっともなお話。


 だがそうもいかないのが現実のようで、姑がいつでも好きなときに訪れるという。前もってなんの連絡もなしに。

 ふたりでゆっくりしたいと思っていても、お出かけしようと計画を立てていても、姑の来襲で全ては水の泡。


 いつもちょっと苦手だな、と思っていた畑山さんだけど、そんな話を聞くとなんだか可哀相な気がする。

 お姑さんの存在ってどうなんだろう。私にはまだ未知の領域だからなんとも言えないけれど。


 最後はお酒のせいか泣きだしてしまった畑山さんを、一生懸命慰めている宮本さんもそんなに悪い人ではなさそう。そう思ったのも束の間。

 「葉月さん、もっと飲みなさい」なんて言って飲めない私に勧めてくる。私がお酒に弱いことを知っているくせに。飲んだら顔が真っ赤になって心臓はドキドキ。その後気持ち悪くなってしまうのが解っているから、私はいつも乾杯の時に少し飲むぐらいにしている。

 だからやんわりと遠慮をすると、「私の勧めるお酒が飲めないの?」なんて絡んでくる始末。


 大騒ぎしてやっとお開きになったのはいいけれど、何人かは2次会、3次会と連れ回されたらしい。

 いつもは嫌だなと思う門限も、この時ばかりはあって良かったと思った。



お読み下さりありがとうございます。


次話「ベテラン女子社員(3)」もよろしくお願いします!

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