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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第6章】 遠距離恋愛のはじまり
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やっと解放される

 9月も下旬にさしかかろうかとしているある日、高校時代の友人から電話があった。

 彼から電話があるなんて、すごく久し振りのことだ。もう何ヶ月ぶりだろう。

 例の『友達』と共通の友人、しかも『友達』の親友なのだ。


 そんな彼からの電話の内容は、一度会って話がしたいとのこと。

 私には別に話などない。もちろん断った。

 でも彼は、『友達』のことで話があるという。

 尚更会ってまで話すことはないと告げ、話なら今聞くと伝えた。


 どうやら、『友達』は今でも私のことが好きだと言っては、その友人に愚痴をこぼしているという。

 落ち込みが激しく、見ていられないとか。

 車も私の会社で販売している車種に乗り換えたという。

 私に自分の気持ちを伝えてほしいとでも、彼に頼んだのだろうか。

 

 気持ち悪い。


 そうだ、あのことを言ってみよう。


「あのさ、先月の私の誕生日に、自宅の門にプレゼントがかけてあったんだけど」


『うん』


「手紙もなにもなくて、包装紙にリボンがかけられたプレゼントらしきものと、ただ『友達』の写ってる写真が1枚入ってただけなんだけど」


『なにそれ』


「ただただ気味悪い」


『それはちょっとキツいなぁ』


「でしょう?」


『そんなことするヤツじゃないんだけどなぁ』


「でも、実際してるよ」


『よっぽど海彩みいちゃんのことが好きなんだな』


「そんなことされたら、余計嫌いになっちゃうよ」


『ホントだね』


「それに、もう会いたくないって言ったときにも、かなりひどいことを言われたんだよ。その上、その場に置き去りにされて」


『そりゃ嫌になるわな』


「でしょう?」


『わかった。俺からアイツに言っておくよ。海彩ちゃんのことは、もう諦めるようにって』


「ホント? よかった! 親友の言うことなら聞いてくれるよね」


『俺が責任を持って説得するよ。だからもう心配しないで』


 友人はそう言ってくれた。

 実際、それ以降『友達』からは、一切のコンタクトはなかった。


 やっと解放された。





 仕事の方は相変わらず忙しく、龍也たつやくんともあまり連絡がとれない日々が続いている。

 でも私はめげずに毎日せっせとハガキを投函して、ちょっとした自己満足を味わっている。

 その甲斐あってかどうかは解らないけれど、10月の3連休に龍也くんが帰ってくることになった。


 金曜日の仕事終わりにそのまま新幹線に乗って、実家に帰る。そして土曜、日曜と私と逢って、月曜日の夜にまた千葉に戻るという。


 今から待ち遠しい。

 これで、月末まで残業続きでも苦にならない。

 私って単純!



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!

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