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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第5章】 転勤間近
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第一関門突破

 龍也くんと元カノのことは、私が『龍也くんが思うようにすればいいよ。彼女のところに戻りたければそうすればいいし、私といたいと思えばそうすればいいし』なんて言っちゃったから、てっきり気を悪くしたと思っていた。でも彼は、私の言葉を素直に受け止めて、自分のしたいようにしたという。


 即ち、『私といたい』ということだ。


 嬉しい。凄く嬉しい。


 でも、もう少し言い方を考えてね、とチクリとひと言あったけど。


 って、それよりもどうして急に実家に行く羽目に?


「なんで前もって言ってくれなかったの? 急に言われても困るよ」


「え、どうして?」


「どうしてって。実家だよ、実家!」


「うん、そうだよ。それが?」


「彼女を実家に連れて行くんだよ」


「うん、そうだよ。それが?」


「はあ? なんで連れて行くの?」


「姉貴の赤ちゃんが可愛くってさぁ。もうすぐ帰っちゃうからその前に見に来たらいいなと思って」


 ん……。


 それだけ?


 そういうこと?


「なんだぁ。びっくりしたぁ」


「あ、着いたよ。ここ」


 

 え、もう?

 いくら赤ちゃんを見に行くだけって言われても、心の準備ができていない状態で行けると思う?


「やっぱやめとく。今日は遠慮する」


 彼はじーっと私の顔を見て、ニコッと笑ってひと言。


「そっかぁ。残念だな。可愛いのにな」


 と、本当に残念そうにしている。

 気づいてないのか?

 気づかないふりをしているのか?


「ごめんね」


「上手い口実だと思ったんだけどな」


 あ、やっぱり。


「その手にはのりません。前もって言ってくれないと、心の準備ってものがあるでしょう?」


「そうだな、ごめん。でも、一度見においでよ、赤ちゃん」


「うん、ぜひ!」





 龍也くんは私を家族に紹介したいみたいだった。

 それならそうと最初から言ってくれればいいのに。


 お互いに気を使いすぎずにサラッと紹介したかったらしい。


 2人でいろいろ話して、結局次の日、夏期休暇最終日に『お姉さんの赤ちゃんを見に行く』ということで、龍也くんの家に。

 お母さんもお姉さんも感じのいい人で、『海彩みいちゃん』と気さくに呼んで下さる。


 まずは第一関門突破というところかな。



お読み下さりありがとうございます。


次話もよろしくお願いします!


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