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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第5章】 転勤間近
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一旦落ちつこう

 もやもやを胸に自室のベッドに腰かけて、いろいろと想いを巡らせていたとき、1件のメールが届いた。


 誰からだろう。


 恐る恐るスマホを確認すると……。



 龍也くんから……。


 凄く嬉しいメールのはずなのに、その反面、怖くて確認できない。

 いつものように楽しいメールなのか、それとも。


 スマホを胸に抱いたまま部屋の中を行ったり来たり。

 なかなか決心がつかない。


 テーブルの上にスマホを置いて、階下のリビングへと向かう。

 なにか飲み物でも口にしないと、とても落ちついてはいられないからだ。


 食器棚から涼しげな風鈴の絵柄のついたグラスを出して、冷蔵庫から取り出した麦茶を注ぐ。


 ゴクリ、と一口飲んだ。


 それから深い息をひとつついて一気に喉に流し込む。


「よし」


 小声でそう言って自室に戻る。



 メールを開いて……。


『よっ! 元気か? 全然連絡無いから心配しちゃったよ。って、オレも連絡できなかったんで人のこと言えないんだけどさ。今日時間ある? よかったら会おうよ。話はその時にでも』


 え……。


 そうなの?


 一気に緊張の糸が切れて、その場にへたり込んでしまった。

 涙がとめどなく溢れてくる。


 一喜一憂していた自分がバカみたい。

 もっと彼を信用すればよかった。


 今までの彼とのやり取りを思い出しても、いつも前向きだった彼。

 私に心配事があった時でも、口に出す前に気づいて気にかけてくれて、そっと元気づけてくれていた。そんな彼が気に入らないからと連絡をしてこないなんてあり得ないはずなのに。


 彼が1時間後にいつもの公園まで迎えにきてくれた。

 いつものように自室からSUVを確認し、家を出る。


 車の後で運転席側のサイドミラー越しに彼に手を振る。

 助手席側に回り、ドアを開けて元気よく「久し振り!」と笑顔で言う。


「おう! 元気だったか?」


「って言っても3日ぶりだけどね。9月になったらこんなの比じゃないよね」


「そうだな。じゃ、行こっか。話は道中で」


 そう言ってゆっくりと車を出す龍也くん。

 行くって一体どこに行くつもりなんだろう。


「どこに行くの?」


「ああ、そうだ。言ってなかったっけ? 姉貴がさ、出産で今実家に帰って来てるんだよ」


「え、お姉さんが?」


「ちょっと赤ちゃん見においでよ。可愛いぞ~」


 は?

 へ?

 ほ?


 ぬわんですと~!


「いやいやいや、実家って」


「子供、好きでしょ?」


「うん、好き! って、おいおい。違うでしょ!」


「なにが?」


「なにがって。あのね、一旦落ちつこう」


「ん? 落ちついてるけど?」


 あ、そうだ。落ちついてないのは私の方だった。


「あ、それからさ、元カノにはちゃんと言ったから。もう会えないって」


「え、そうなの?」


 いやいやいや、おいおいおい。って、そんなにサラッといろいろ言われても。

 


お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします!


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