表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第5章】 転勤間近
52/168

夏期休暇(1)

 今年の夏期休暇は8月11日土曜日~19日日曜日までの9日間。

 10日に千葉から帰ってきた龍也たつやくんは、すぐに会おうと言ったけれど、転勤の下見を終えて慣れない土地から帰ってきたばかり。きっと疲れているだろうし、私もやっとの夏期休暇なので身体を休めたいということもあり、土日はお互いに家族との時間を楽しむことにした。


 そして13日、特に行き先など決めずに、ゆっくりまったりのんびりと、綺麗な景色を見に行ったりドライブを楽しんだりして過ごした。

 久しぶりに2人きりでのデート。少し緊張したけれど、楽しく過ごすことができた。

 だけど。


 うーん、なんだろう、今までとは違う距離感を覚えたのは。それがなんなのかまだ解らないけど。

 久々のデート。はじめのうちはそれを感じないほどの自然体だった。だけどふとした時に、そう感じた。


 昨日も夕食の後、空港に飛行機を見に行ったけど、ライトアップされた滑走路も綺麗だったけど。

 少しの沈黙が、今までとは違うように思えて。

 

 なにかもやもやが残る。


 何か言いたげであるようにもうかがえる。でも、まだ言い出せないでいるような。

 私の方も、そんな彼に何も言えずにいる。


 一緒にいると以前のように楽しい。

 また会えて嬉しい。


 だけど。


 龍也くんの心になにがあるのか掴みきれないでいる。

 私の方も、少しぎこちない素振そぶりを見せているかも。



 今日、15日。お盆ということもあり、夜は家族で食事に出かけるのでお昼の間だけ龍也くんと会うことになった。


 また空港に。昨夜はライトアップされた夜の空港に、今日はお昼間の明るい空港に。

 まあ、龍也くんの飛行機好きは知っていたけど、2日も続けて見にくるなんて、よほど好きなのだろう。


 展望台のフェンスのところで、飛び立つ飛行機を見ながら「すごいね」とか、着陸機を見ながら「上手いね」とか言いながらはしゃいでいたけど。終始楽しそうにはしていたけれど。


 そして時折見せる切なげな目。どう言葉をかけていいのか解らない。


 小一時間も経った頃だろうか。ウェーブのかかった短髪をかきあげながら、少しバツの悪そうな表情で彼は話しだした。


 なんでも、元カノが今東京にいて、先日千葉に転勤先の下見に行ったときに、久し振りに連絡がきたとか。

 彼が千葉にいると知った彼女に「会おう」と言われ、何度も断ったが結局根負けし、待ち合わせて食事をしたとか。


 そしてその時に「もう一度やり直したい」と強く言われて……。


「って、ええっ!? どういうこと?」


「ちゃんと断ったよ。オレには付き合ってる人が、大切な人がいるって」


「ふうん。それでその人は納得したの?」


「解ってくれた。……と思う」


「思うって」


「その日はちゃんと解ってくれて笑顔で別れたんだけど、その後も度々連絡が入って」


「それで?」


 それでどうしたいの?

 一体なにが言いたいの?



え、そんなこといちいち私に言うなんてデリカシーない?

でも、そこが龍也くんのいいところ……とか思っちゃう海彩。

恋するってそういうことなのかしら。


次話「夏期休暇(2)」もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ