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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第2章】 はじまり
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初デート(4)

ああ、この歌好き!

 ♪  溢れるほどのこの想い

   言葉にするには照れくさいけど

   このまま何も言わないまま

   時間が過ぎてしまうのが

   とても切ないから ♪



 大好きな曲。


「この曲好きなんだよな」


 え……。


 ♪ 沈む夕陽に照らされながら

  ふたりたたずみ見つめ合う

  瞳とひとみ震わせながら

  お互いのこころ揺さぶりながら ♪



「私も」



 ♪ 未来のふたりを描く太陽道たいようみち

  空と海が溶け合う場所へ

  真っ直ぐに そう真っ直ぐに

  ふたりの未来が重なるように ♪



 そうしてしばらく大好きな曲を聴いていた。






 しばらくして、車は海に架かる大きな橋のたもとに着いた。

 高速道路を使わずにずっと地道を走ったので、景色を楽しみながらも結構な時間がかかった。


「少し歩こうか」


「そうだね。運転お疲れさま」


 駐車場に車を止め、大きく伸びをする彼。

 車を降りて、近くで見るとかなり大きいものだな、と感心しながら観光名所でもあるその大きな橋を見上げる。


 それからその周りを少し歩いて、橋のたもとのベンチに腰かけた。いつものように冗談交じりのたわいない会話を楽しんで、少し喉が渇いたと近くのカフェで龍也くんは、飲み物をテイクアウトしてきてくれた。


「お待たせ。はい、海彩みいちゃんはチョコレートが好きだから、アイスチョコレート」


「ありがとう」


 初デートということもあり、微笑みながら受け取ったけど……。

 確かにチョコレートは好きだけど。

 好みを覚えてくれているなんて嬉しいけど。



 こんな暑い日に、しかも喉が渇いている状態でいくらアイスとはいえども、チョコレートドリンクはいかがなものか。

 クーラーの効いた室内が懐かしい。


 微笑みながらも恐る恐るストロー越しに一口。


「あ、おいしい!」


「でしょー」


 喉の渇きを潤すべく、そのまま二口、三口と飲み続け……。


「あまっ!」


 やっぱり口の中にまとわりつくチョコレートのとろとろ。

 口中の水分をも変身させるその威力に脱帽だ。


「もうムリ……」


「え、マジ? ちょっ、かしてみ」


 ほよ?

 それ、私の飲みかけなんですがぁ~。


「確かに。オレのアイスコーヒー飲む?」


 そう言って差し出されたブラックのアイスコーヒー。


 はれ?

 それ、龍也くんの飲みかけなんですがぁ~。

 なんて、言っている場合ではない。

 とろっとろっからの脱出の方がその時の私には優先事項だったのだ。


「はぁ~、生き返る」


 あれ? 気のせいかな。心なしか龍也くんのほっぺがほんのり桃色感。


「ん? どした?」


 普通に聞いてみたけど。 


「今気づいたけどさ、それって間接キッ……」


「ゴホッ、ゲホッ」


「おい、大丈夫か?」


 そう言って背中をさすってくれたけど……。


 大丈夫なわけないよね。

 もちろん気づいていたけれど。

 そんなこと急に言われてもね。

 だってね、まだ初デートだしね。

 あー、びっくりした!



お読み下さりありがとうございました。


次話「初デート(5)」で、この初デートのお話は終了の予定です。

その後の展開は!?


尚、本文中の『♪』で括られた歌詞はオリジナルです。


今後もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
二人の思い出の曲ってありますよね。私の場合は目の前で歌ってくれて。40年後に再会し覚えてる?そう!そう!きっと素敵な思い出になるからね。がんばって!
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