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遠距離恋愛の果てに  作者: 藤乃 澄乃
【第2章】 はじまり
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初デート(2)

初夏のような日差しの中、2人で歩く浜辺。日も高く波もキラキラと照らされて。


 初夏のような日差しの中、2人で歩く浜辺。日も高く波もキラキラと照らされて。

 6月の紫外線が一番強いと、慌てて日陰を求め走り出そうとした瞬間!


 ここはそう。

 綺麗なあおい海にサラサラの白い砂浜。


 そう、ここは砂浜。足をとられてよろめいた私。

 そのスローモーションの景色の中で考えたことといえば……。


『わわっ、こんなところで転んじゃったら、お洋服が砂だらけになるじゃん!』


 その時、龍也くんに左腕をグイッと掴まれて、そのままひきよせられた。


 え……。


 私が転びそうなのを助けてくれたのだ。

 でも勢い余ってそのまま彼の胸に着陸!


 仰向けに倒れ込んだ彼の上に飛び込んで。

 なんだか抱きしめられたような感じになって、そのまま固まってしまった私。


 あ……。


 ドキドキが止まらない。

 そして彼のドキドキも。……伝わってくる。


 このままこうしているべきなのか、それとも突き放すべきなのか。


 その瞬間は妙に長く感じられて。


 ふと顔を上げると思いの外彼の顔が近くにあって、恥ずかしくて。


 結局どちらともなくスッと離れて。


「あ、ありがと」


「大丈夫?」


「うん」


「あぶなっかしいなぁ。こんなところでころんじゃったら、洋服が砂だらけになっちゃうよ」


 ふふ、同じこと言ってる。


 思わず笑みがこぼれた。そのことで妙な緊張感は自然となくなっていた。


「龍也くんの洋服は砂だらけになっちゃったね。ごめん」


「オレのは別に構わないよ。こうやってパッパッとすればいいだけだから」


 そう言って洋服についた砂を払い落とす。



「そろそろお昼にしよっか」


「そうだね」


 そして差し出された左手。


「また転びそうになったらだめだから、掴まえててやるよ」


「しっかり掴まえててよ」


 そうして彼の左手に右手を重ねた。

 彼と初めて手を繋いで歩く。

 少し緊張するけど、彼の柔らかく大きな手は、なんだか安心する。

 こんな風に歩いてみるのもいいものだな……なんて。



「うわっ」


 右手に力が入った。思わずその手を引き寄せた私。


「ちょ、ちょっと大丈夫?」


「あー、ビックリした。あっぶねえ」


「ビックリしたのはこっちだよ!」


 ホント、どっちが掴まってるんだか。


「助かったぁ。砂浜ってやっぱ歩きにくいよな」


「命の恩人だからねっ!」


「大袈裟だな」


 彼といると笑いが絶えない。こんな人って珍しいんじゃない?

 でもまあ知り合って1ヶ月じゃあ、こんなものなのかな。


 いやいや、初デートって緊張して冗談もままならないこともあるし、話だって沈黙優先でなかなか弾まないとか、やっと喋ったら声が裏返っちゃうとかへんなこと言っちゃうとか?

 っていうのが定番かと思っていたけど。



お読み下さりありがとうございました。


次話「初デート(3)」もよろしくお願いします!

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