初デート(1)
龍也くんに告白されてからの初めてのデート。
今から1ヶ月前の6月のある日。
海の見える夕陽の綺麗な展望公園で、龍也くんからの告白を受けた。
それから付き合うことになった私達。
6月は雨が多い。あの日も朝は雨が降っていたのに、夕方にはあんなに綺麗な夕陽がみられたなんて。
それから私達はなんとなく夕陽を見るのが好きになった。
あの日から、告白されて付き合うことになってから、初めてのデート。
まだ梅雨入りしていなかったからか、朝から天気もよく絶好のドライブ日和だ。
今日は少し遠出をしようということになり、途中、飲み物やおやつなんかを買い込んで、ちょっとした遠足気分をあじわいつつ、朝の日差しを背に車は進む。
車高の高い彼のSUVは見通しもよく、窓からの景色の移り変わりもまた楽しい。
小一時間も走った頃、左手に海が見えてきた。キラキラと輝いたコバルトブルーのなんと綺麗なことか。
思わずパワーウインドウのスイッチに指をのせた。
窓からは爽やかな風が吹き込み、颯爽と走る車の助手席で1人ドラマのヒロインを気取っていると、名前を呼ぶ声がする。
「海彩ちゃん」
「ん、なに?」
ヒロインな私はひとり夢心地。
なにか気の利いたセリフでも聞けるかと少し期待。
「お昼何が食べたい?」
は? ぬぁんだとぉ!
ロマンチックのカケラもない問いかけに、思わず吹き出してしまった。
「なんかおかしいこと言った?」
そりゃそうだ。ヒロインになっていたことを彼は知らないんだから。
「ううん、別に」
「何食べる?」
ふふ、まだ言ってる。
「海だからシーフードとか?」
「おっ、いいねぇ。じゃ、決まりっ」
そうして少し先にある海浜公園で休憩をしてから、公園内の有名なシーフードレストランに向かうことにした。
海浜公園には水族館や観覧車などがあり、カップルや家族連れで賑わっている。
私達は、とりあえず砂浜を歩いてみることにした。
案の定カップルが多い。
ま、カップルに海はつきものだからね。
いや、海にカップルがつきものなのか? なんて話しながら。
私達もれっきとしたカップルなんだけどね。
折角だからCMみたいに浜辺を走ってみようか。
追いかけっこなんかしてみる?
なんて冗談をいいながらゆっくりと波打ち際を歩いた。
初夏のような日差しの中、2人で歩く浜辺。日も高く波もキラキラと照らされて。
うっ……照り返しが。
ってか、日焼け止め塗ってないし、焼けちゃうじゃん!
6月の紫外線が一番強いんだよ。
慌てて日陰を求め走り出そうとした瞬間!
お読み下さりありがとうございました。
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