自己紹介
気の合う2人。
でもお互いの事は何も知らない。
やっぱ、お互いのことは知り合わないと、ね!
『普通な感じの同期くん』まずは、あなたのお名前は?
『普通な感じの同期くん』名前はまだ知らなかった!
「じゃあ、オレから自己紹介するね。オレは村上龍也。入社2年目でこの4月に24歳になったとこ。所属は国営」
「あ、そうなんだ。4月がお誕生月だったら学年では一番お兄さんだね」
「そうそう、だからちょっと偉そうでしょ」
笑いながら言う彼は全然偉そうじゃない。そこに好感がもてる。
「じゃあ、次私ね。私は葉月海彩。入社2年目だけど、8月生まれだからまだ
23歳。所属は総務」
「ふーん、年下かぁ」
「いや、同じ年でしょ」
「8月までは年下だな」
「まあ、そうだね」
彼といると本当に笑顔になる。
「じゃ、オレは”海彩ちゃん”って呼ぶね」
「うん、じゃあ私は……龍也くんで」
って、いきなり下の名前で呼ぶことになっちゃったけど……。でも全然嫌じゃない。
というか、寧ろ嬉しい。
「んで、海彩ちゃんは好きなこととかある?」
「好きなこと?」
「趣味とか、特技とか」
「なにこれ、面接?」
「はい、次の方~どうぞ」
なんだこのノリのよさは! ううっ、そりゃ気が合うよな。
「3番、葉月海彩。趣味は旅行とカラオケと……あと喋ること!」
「あと、食べることと寝ることと……ってか?」
「そうそう、休みの日なんか1日中食っちゃ寝食っちゃ寝……って、なんでやねん!」
とまあこんな感じで話も弾んだころ、お待ちかねの季節の会席『五月雨』が運ばれてきた。
まず先付けから始まり、お刺身の三種盛りに季節の一品。
私は男性と食事に行くと、必ずチェックしてしまうことがある。別にどうでもいい相手なら気にもしないことだが、少しでも好感がもてる相手の場合は気になってしまうのだ。
なぜって、気の合う人とはこれからも、一緒にでかけることがあるかもしれないでしょ?
その時にいやだなぁって思いながら過ごすのは嫌なの。最初に解っていれば、はいパス~って感じで、多分次はない。
どうしてそれが気になるかっていえば、私がまだ小さくって正しいお箸の持ち方ができなかった時に、母は食事の度に根気よく丁寧に教えてくれたからだ。
うちの家は厳しい。礼儀作法、言葉づかい……などなど。
門限だって、この年でもまだ22時だなんて。
だから、これは私の勝手な持論にすぎないし一般的であるかは解らないが、正しいお箸の持ち方ができる人は、ちゃんとした躾をされている。イコール常識がある、という一つの目安にしているからなのだ。
人それぞれに他人の言動で気になるところは違うと思う。同じ気配りに対しても、さり気ない気遣いに優しさを感じる人もいれば、いちいち細かいことを気にしている、とうっとうしく感じる人もいるかもしれない。
気になるところは十人十色。人によって違う。
私の場合は、食事の時に、まずお箸の持ち方に目がいく、ということだ。
いよいよ先付けからいただくが、龍也くんはどうなんだろう。ドキドキする瞬間だ。まだ嫌な人にはなってほしくない。
どうか正しい持ち方が出来ますように!
お読み下さりありがとうございました。
次話もよろしくお願いします!




