88 1556年末報告3
88 1556年末報告3
「ご紹介に預かりました。服部半蔵にございまする。現在、六角家に従っておらぬ伊賀の村落はございませぬ。全て手中に収めましてございます。」
伊賀の山間部や谷筋に点在する村々まで、漏れなく掌握済み。抵抗勢力は既に排除され、情報網と連絡路も整備済みとのことだ。
皆が更に驚く。今までは六角の影響力を伸ばせていなかった伊賀の箇所を自分たちの苦労なく手中に収めたのだ。
伊賀は地形が複雑で、従来は統治が困難とされていた。半蔵の手腕と治頼の信任が、六角の影響力を一気に押し広げた形だ。
「そして、これら全ては治頼様の直轄地となっておりまする。」
伊賀の収益や兵力はすべて治頼の裁量下にある。父義賢の信頼の証でもあり、若君としての責任と期待が重くのしかかる。
「と言う事だ。伊賀に関しては六角家で行っている施策を先取って行っているため特に内政改革や軍に関して行うことはない。管理する範囲がそのまま増えると考えてもらえれば良い。」
既に施策が浸透しているため、他国のような改革の手間は不要。むしろ、他国の模範として伊賀の運営を参考にすべきだ。
「「ははっ!」」
半蔵と望月の存在が、六角家の軍政に新たな重みを加えた。重臣たちの表情にも、警戒と期待が入り混じっている。
皆が半蔵達を認め落ち着いたのを確認した父は本題に入り始める。
父の声には、場を引き締める威厳があった。伊賀の統治が整った今、次なる焦点は伊勢の開発と軍備の拡充に移る。
「では、今年は我々が伊賀の分も纏めて報告するため適宜必要があれば補足をしろ。質問はまとめて後で聞く。では、まずは伊勢と伊賀だ。治頼。」
俺の番が来たようだ。皆の方へ身体を向ける。視線が一斉に集まる。若君としての初の本格報告に、緊張と誇りが入り混じる。治頼は一呼吸置いて、口を開いた。
「まずは内政からだな。
伊賀に関してだが、石高としては30万石近く上がっている。ほぼ全ての土地が開発し終わっており新たに作れる稲田もないため、河川の整備や溜池を設置して畑を作ったりしている。」
山間部には薬草栽培地も設け、忍びの医療支援にも活用している。土地の限界を補うため、知恵と工夫が凝らされている。
「それと新作の肥料を作ってもらっているがあれの管理は伊賀で行っているためできたものは全て伊賀に送っている。それのおかげだけではないが、伊勢と近江を繋ぐ中間地点として交易でも栄えている。そう言う意味では伊賀は六角の喉元でもある。」
伊賀を通じて物資と情報が流れ、六角の支配圏を繋ぐ要衝となっている。まさに軍政の要、内政の心臓部と言える。




