73 北畠との交渉
73北畠との交渉
天文24年1555年 6月 六角義賢
長野稙藤殿がその場を辞して帰ろうとした時、彼の息子からの伝令兵がやって来た。直ぐに通してやり稙藤殿と二、三話をすると再度稙藤殿がこちらにやって来た。しかし、少し具合を悪そうにしている。これは北畠が攻めて来たかな?
「義賢殿、いや御屋形様、我ら長野工藤氏以下北中部の伊勢国人衆は六角家との誓約を結ぶことに異存はありませぬ。ですので、我らを救ってはくれませぬか。北畠が3000の大軍でこちらに向かっておるようなのです。」
「あいわかった。こちらで用意している5000を直ぐに津へと向かわせよう。北畠に対しても伝令を出し戦をやめる様に努めようではないか。稙藤はどうする?」
「はっ、私は息子を助けてやりたいと思いまするので先に駆けさせて頂き向こうでお待ちしておりまする。」
「わかった。騎馬隊500と旗を貸すゆえ現地で六角の旗を立てると良い。」
「ありがとうございまする!失礼いたしまする!」
稙藤が出て行ったのを見届けると三雲を呼ぶ。
「三雲、公方様に北畠を止めるための使者をお願いしろ。長野は降ったが北畠が攻めるのをやめないとな。それともう一方で北畠への知らせはできるだけ遅らせて行え。津が取られなければある程度侵攻されても構わん。」
「はっ!」
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天文24年1555年 6月 六角治頼
「何?北畠が攻勢を開始しただと?父と長野の交渉はどうなっている?」
俺は観音寺城で近江と伊賀の内政問題に取り組んでいたところ半蔵からもたらされた情報に手を止めて聞いてしまった。
「はっ、私が知っている内容では長野内で六角に降伏しようと言う動きが強まっている最中でした。今頃は恐らくですが御屋形様の方に使者を送っている頃かと。」
「そうか、お祖父様の娘が嫁いでいる関係上北畠と無闇矢鱈に敵対するとは思えんな。しかし、横槍をいれたのはこちらでもある…一応手を打っておくか。壱岐守を呼べ、細川藤孝殿を通じて和睦の斡旋の必要があるかもしれぬことを知らせるのだ。」
「はっ!」
半蔵が壱岐守の元に向かうのを横目に再度仕事を始める。これで北畠と戦となってもならなくてもこちらに上手く転ぶだろう。父ならば利用するはずだ。
「各地で孤児院や学校を用意したからと言って文官を育てるのは中々に難しいな…。ある程度現場を任せられるもの達は揃いつつあるものの、彼らを任せられる立場の文官が不足している…。申し訳ないが光秀と一益、高虎にも出張ってもらうか。」




